わたしは、わたしを、生きていく…在日コリアンの大学生を描く『雨花蓮歌』が関西の劇場でも公開!
©Jengilpark
ひとりの女子学生が、姉の結婚をきっかけに始まった家族内の衝突を通して、自分と他人の関係性や相手を思う気持ちについて考える姿を描く『雨花蓮歌』が11月14日(金)より関西の劇場でも公開される。
映画『雨花蓮歌』は、在日韓国人の大学生とその家族を中心に、十人十色な選択をして生きる人々の姿をつづった青春映画。2022年の短編映画『ムイト・プラゼール』で注目された朴正一監督が長編初メガホンをとり、在日3世である監督自身の経験や、日本人と在日外国人、さまざまな国籍の若い世代への取材を通して得たリアルな声をもとに撮りあげた。都内の大学に通うハルミは平穏な学生生活を送りながらも、友人の何気ない言葉や家族関係に悩まされていた。ハルミの姉レイコは恋人シゲルとの結婚を考えているが、在日2世の母や周囲は反対する。次第に彼女たちは周りの人々と小さな衝突を繰り返すようになるが、それは相手を愛するが故に起こることだった。
本作では、『ムイト・プラゼール』にも出演した山﨑悠稀さんがハルミ、『ぼくが生きてる、ふたつの世界』の齊藤由衣さんが姉レイコ、ミュージカル舞台「刀剣乱舞」シリーズの林光哲さんがレイコの恋人シゲルを演じた。SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2024の国内コンペティション長編部門で観客賞を受賞している。

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映画『雨花蓮歌』は、関西では、京都・出町柳の出町座や大阪・十三のシアターセブンで公開。
在日韓国人である大学生の視点を中心にして描いている本作…と聞くと、どのような印象を受けるだろうか。在日韓国人に対する謂れもない出来事に関する描写があると想像する方もひょっとしたらいるかもしれない。だが、本作はそういった類の作品ではないのだ。現代をイキイキと生きている大学生の姿を描いていた。母親からはハングルを教わっていないことから、大学で改めて教わっている姿にはポジティブな姿勢が伺える。在日3世であることから、もはや日本人とほぼ変わらない日々を送っていることがとても印象的に映っていた。だが、彼女に影響を与えている姉が気がかりで仕方がない。日本人の恋人と付き合っていることについて様々なことを思われながらも凛々しく生きていることがせめてもの救いだが、何気ない一言の中にマイクロアグレッションが含まれていることは気になってしまう。それでも周囲に屈せず、凛として日々を生きている姿を見せてもらったことに安堵する。自身のアイデンティをしっかりと認識した上で、”わたしは、わたしを、生きていく”といったことをまさに体現していることを表現した本作を応援せずにはいられない。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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