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国からの公的扶助、生活保護を受給することに葛藤を抱える一家の物語を映画化した『スノードロップ』が関西の劇場でも公開!

2025年10月28日

©クラッパー

 

認知症の母と、持病が悪化した父を抱え、貯金がほとんどない状況で生活保護の申請を進めていく娘の姿を描く『スノードロップ』が関西の劇場でも公開。

 

映画『スノードロップ』は、生活保護を受給することに対し“根本的な矛盾の選択”をした、実在の一家をモデルに描いた社会派ドラマ。認知症の母であるキヨと暮らす葉波直子のもとに、蒸発していた父の栄治が20年ぶりに帰ってくる。突然の帰宅に困惑する直子だったが、キヨの希望で再び一緒に暮らすことになり、それ以来、栄治が新聞配達の仕事で家計を支えるようになる。それから10年ほど経ったある日、栄治は持病の悪化により新聞配達の仕事ができなくなり、一家は生活保護の申請を考えはじめる。申請のため市役所を訪れた直子は、ケースワーカーの宗村幸恵とのやり取りを重ねて申請作業を進めていく。母は重度の認知症、父も病気で仕事ができず、預貯金もほとんどない状態の一家は、生活保護を受けるには十分な資格があった。宗村の親切な対応により申請はスムーズに進み、訪問審査も受けて生活保護の受給はほぼ確定する。しかし訪問審査を終えた夜、栄治は直子に、ある衝撃的な言葉を投げかける。

 

本作では、西原亜希さんが直子役で17年ぶりに映画主演を務め、ケースワーカーの宗村役でイトウハルヒさんが共演。『Sexual Drive』『愛の病』の吉田浩太さんが監督・脚本を手がけた。

 

©クラッパー

 

映画『スノードロップ』は、関西では、京都・烏丸の京都シネマで公開中、11月1日(土)より大阪・十三の第七藝術劇場や神戸・元町の元町映画館で公開。なお、11月1日(土)には、元町映画館や第七藝術劇場や京都シネマ、11月2日(日)には元町映画館や第七藝術劇場にて、主演の西原亜希さんと吉田浩太監督を迎え舞台挨拶を開催予定。

やんごとなき事情により生活保護を受給しなければならない事態に遭遇することは、この国で生きていれば突然やって来るかもしれない。本作のように家族の介護に付きっきりになり働くことが出来なくなったり、突然の病気や怪我を患い早急に手術が必要であってもお金がなく貧困状態に陥ってしまったりすることもあるだろう。だからといって、心から生活保護を受給したいと思う方がどれほどいるだろうか。それは、生活保護に対する正しい理解が出来ていないからかもしれない。生活保護は、「健康で文化的な最低限度の生活」を出来ない日本国民に、これを保障し、自立の助長を目的に設けている公的扶助制度である。この主人公は、生活保護の趣旨を理解していたとしても、或る手段を選んでしまった。何を以て選択してしまったのか、本質的には彼女にしか分からない。それでも、この国には助ける方法があることを知った。本作は、監督自らの生活保護経験を鑑みて描いた作品とのこと。実体験と共にしっかりとしたリサーチがあったからこそ作り上げられたのだろう。タイトルであるスノードロップは、寒さに強く、早春の2~3月に白い花を咲かせる。今頃の時期に、どんな状況に追い込まれようとも、しっかりと生きようとした主人公にふさわしいタイトルだ。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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