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これからも一歩ずつ歩いていきたい…『てっぺんの向こうにあなたがいる』合同記者会見開催!

2025年10月17日

女性初のエベレスト登頂者である田部井淳子さんの「人生、山あり“時々”谷あり」を原案に、1975年に世界最高峰制覇を果たした女性が、余命宣告を受けながらも山に挑み続ける姿を描く『てっぺんの向こうにあなたがいる』が10月31日(金)より全国の劇場で公開される。10月17日(金)には、大阪のホテルニューオータニ大阪に吉永小百合さんと天海祐希さんと阪本順治監督を迎え合同記者会見が開催された。

 

映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』は、吉永小百合さんの124本目となる映画出演作で、女性で初めて世界最高峰エベレストの登頂に成功した登山家である田部井淳子さんをモデルに、人生のすべてを懸けて“てっぺん”に挑み続けた女性登山家の姿を描いたドラマ。1975年、エベレスト日本女子登山隊の副隊長兼登攀隊長として、世界最高峰エベレストの女性世界初登頂に成功した多部純子。その偉業は世界中を驚かせ、純子自身や友人、家族たちに光を与えたが、同時に深い影も落とすこととなった。登山家としての挑戦はその後も続き、晩年には闘病生活を送りながら、余命宣告を受けた後もなお、純子は笑顔で周囲を巻き込み、山に登り続けた。キャストには、田部井淳子さんをモデルにしたキャラクター、多部純子を演じる吉永さんのほか、夫の正明役に佐藤浩市さん、エベレスト登頂の相棒で純子の盟友である北山悦子役に天海祐希さん、青年期の純子役にのんさんが名を連ねる。吉永さん主演の『北のカナリアたち』でもメガホンを取った阪本順治が監督を務め、同作以来13年ぶりに吉永さんとタッグを組んだ。

 

多部純子役の吉永小百合さん、北山悦子役の天海祐希さん、阪本順治監督が記者会見に登場し、冒頭の挨拶では、吉永さんが「私は20代の頃、ちょっとした山ガールで山に登ることが大好きだったのですが、そのうちに登ることが辛くなり、スキーに転向しました。今はほとんど登っていませんでしたが、2012年に田部井淳子さんにお会いしてすっかり魅了されました。今回このような形で田部井さんをモデルにした作品に出演できるということで、嬉しく思いました」と喜びを口にすると、天海さんも「今回は小百合さんの盟友という役を仰せつかりました。『小百合さんとまたご一緒させていただけるなら』と思って飛び込み、阪本監督を先頭にたくさんの方々の熱意がこもった映画に仕上がりました」と話した。また、阪本監督は「私の監督作品の主演級がほとんど男衆なので、女優さん二人と会見に臨むのは初めてかなと思っています。本当にお二人には可愛がっていただきました」とユーモアをまじえて挨拶した。

 

 

撮影中の印象的なエピソードについては、阪本監督は「富士山での撮影は天候に左右され、何度もトライできる場所ではありませんでした。そして『これは4日目の奇跡を狙うしかないね』と朝4時出発くらいに山へ登り始め、そこで(多部純子・正明の)ご夫婦の素晴らしい場面が撮れたことが印象に残っています。『これで映画が上手くいく』という安堵感を得られました」、天海さんは「吉永さんと一緒に山を登ったシーンがありますが、そのときに歩いた丘が『吉永の丘』というそうで、小百合さんにちなんで付けられたようなんです。そこに小百合さんと一緒にいられることがとても奇跡のようで嬉しくて。『なんて素敵なことなんだ』と一歩一歩、踏み締めて歩きました」、吉永さんも「あの丘の景色のすばらしさと空気のおいしさ、そして天海さんと一緒にテントに入って歌を歌ったり、本当に友だちという感じで演じられたりしたのは、ずっとずっと思い出に残ると思います。それと私が歌を歌うシーンがあり、天海さんが先に撮影を終えられたのですが、ずっとステージのわきで私が歌っているところを見守ってくださったんです。感謝、感謝です」と振り返った。

 

 

また、吉永さんは、自身のラジオ番組に田部井さんが出演したときのことも回想。「2012年、私がやっておりますラジオ番組にご出演いただきました。そのときは東北の高校生たちを富士山に連れていくためのプロジェクトに対する想いをアピールされました。とにかく明るくて、なんでも話してくださって、お耳にはピアスをつけていらっしゃって。大ファンになりました。私が『登山家』と言ったら、田部井さんは『愛好者です』とおっしゃったんです。そういうところがとても謙虚でいらっしゃり、『こういう方がエベレストに登ったんだな』という思いがいたしました。私より3センチくらい背が低くていらっしゃって、そういう方が大変な苦労をなさりながらも世界中の山を踏破しているということで、大ファンになりました」と語った。また、田部井さんをモデルにした純子を演じるにあたっては「田部井さんの『一歩一歩、前へ』という心と、大変なご病気になっても『病人にはならない』と前へ進んでいらっしゃるところをしっかり出したいと思いました」と演じる上で心掛けたという。

 

 

そんな純子を青年期から支えた悦子について、天海さんは「悦子さんは、純子さんのことが大好きだったんだと思います。悦子さんの夢を実現しているというか、人として、女性としてのバイタリティ、生き方、純粋な想いなど、悦子さんからするとキラキラしたものを、ひけらかすわけではなく自分の中に秘めて毎日を大切に生きている純子さんがとても魅力的だったのではないでしょうか。すごく憧れていた人なんじゃないかなと私は受け止めていて、それは私自身の小百合さんに対する想いとリンクしていたんです。悦子さんが、純子さんを見つめる視線などは、私が見つめる先にいつも小百合さんがいらっしゃったときの気持ちと重なります」と役に共感できたのだそう。

 

 

劇中では、純子の青年期をのんさんが、現代期を吉永さんが演じている。阪本監督は二人について「のんさんと吉永さんには、田部井さんの書物の中から印象的だった言葉などを箇条書きしてお渡ししていました。そして、そこから外れないようにやってもらいました。のんさんに対しては自在に生きているという印象があり、田部井さんとの近さを感じていました。あと吉永さんのデビュー当時の写真集を見てみたら、のんさんと目元がそっくりだったので、キャスティングをさせていただきました。(撮影は)吉永さんの場面からクランクインしました。のんさんは、吉永さんの演じる様子の見学にも来られ、(演技の)リズムをつかもうとしていらっしゃいました」と共通点などを挙げた。

 

 

本作で心を揺さぶるのが、純子と正明の夫婦の関係性。二人で富士山に登る場面は特に感動的だ。吉永さんは「浩市さんは高所恐怖症だと仰っていて、私は『富士山はどうだろう』と心配していたのですが、七合目くらいではものすごく力強く私を引き上げてくださいました。だから高所恐怖症というのは“三味線”だったのではないかと私は思っています。あと純子が、手が痺れて料理ができなくなるシーンでは、浩市さんが夫役として料理を作ってくださいました。すごく上手で、大根の面取りなども普段からやっていらっしゃるのか、奥様から教わっていらっしゃるのか謎なのですが、安心して夫婦の関係をお互いに演じられました」と思い返した。

 

 

ちなみに、吉永さんと天海さんは今作を通してさらに絆が深まったようで「もし親友になったら、二人でやりたいことは?」との質問に対し、天海さんが「小百合さんと親友だなんて、百万年早いです」と謙遜しながら「旅行がしたいです。これが実現するならカメラに付いて来ていただいて。私が全部企画して、小百合さんを(旅に)お連れするので」と旅行プランを打ち明けると、吉永さんは「いつも天海さんから500文字くらいメールが届くのですが、それで励まされることがとても多かったです」と天海さんへの信頼を表した。

 

 

記者会見の最後には、吉永さんは「田部井さんは『人生、八合目からがおもしろい』とおっしゃっていました。ちょうど私もその辺に差し掛かっています。これからも一歩ずつ、田部井淳子さんのように歩いていきたいと思います」、天海さんは「自分が信じた道を一生懸命、一歩一歩、歩いていくということをこの映画を見て実感していただけたら。見ていただいた方の心に、田部井さんの想いや、スタッフ、キャストのみなさんの想いが届くように祈っています」、阪本監督は「劇中には高校生たちがたくさん出て来ます。思春期の子どもたちにもたくさん見ていただきたいです。昨今、道標になるような大人を見かけなくなりました。ですから高校生のみなさんに『あなたたちの映画でもあります』と思っています」とそれぞれ作品をアピールした。

 

 

映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』は、10月31日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のTOHOシネマズ梅田や、心斎橋のイオンシネマシアタス心斎橋kino cinema 心斎橋、難波のTOHOシネマズなんば、京都・二条のTOHOシネマズ二条や三条のMOVIX京都や九条のT・ジョイ京都、兵庫・神戸のkino cinema 神戸国際等で公開。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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