流浪のボディビルダーと、凶悪な父を持つ女性の出会いから始まるクィア・ロマンス・スリラー『愛はステロイド』がいよいよ劇場公開!

©2023 CRACK IN THE EARTH LLC; CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION ALL RIGHTS RESERVED
ジムで働く女性がボディービルダーと恋に落ちるが、自分の家族の事情により犯罪に巻きこまれていく『愛はステロイド』が8月29日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『愛はステロイド』…
1989年、トレーニングジムで働くルーは、自分の夢をかなえるためラスベガスへ向かう野心家のボディビルダー、ジャッキーと運命的な出会いを果たし恋に落ちる。しかしルーは、街の裏社会を仕切り凶悪な犯罪を繰り返す父親や、夫からDVを受けている姉など、家族にさまざまな問題を抱えていた。そんなルーをかばおうとするジャッキーは、思いもよらない犯罪網へと引きずりこまれていく。
本作では、『スペンサー ダイアナの決意』のクリステン・スチュワートと、『ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング』等に出演した元ボディビル選手の俳優ケイティ・オブライアンが共演。父親を嫌悪しながらもその影響下から抜け出せないルーをスチュワート、彼女のパートナーとなるボディビルダーのジャッキーをオブライアン、圧倒的な力を持つルーの父親をエド・ハリスが演じ、ジェナ・マローン、アンナ・バリシニコフが共演。『セイント・モード 狂信』のローズ・グラス監督がメガホンをとり、ノワール、ラブストーリー、スリラー、ユーモアなど多様なジャンルを横断しながら、大胆で示唆に富んだストーリーテリングと刺激的な演出で描き出す。
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映画『愛はステロイド』は、8月29日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田の大阪ステーションシティシネマや難波のTOHOシネマズなんば、京都・烏丸の京都シネマ、神戸・三宮の kino cinema 神戸国際等で公開。

『愛はステロイド』…このタイトルを初めて見た時、なんだ、この邦題は!?どんな内容の映画なのか、全く想像がつかない…!というのが本音だった。そもそも、ステロイドは、体内で作られるホルモン(副腎皮質ホルモン)を人工的に合成した薬であり、小生もお世話になっている。また、腰痛、肩こり、五十肩、テニス肘、ゴルフ肘などの筋肉や関節の痛みにも効果があるのだ。そして、アナボリックステロイド薬と云われるものを投与することで、体内のテストステロンの血中濃度を高めた結果、筋肉が成長する体内環境を人工的に作り出され、筋肉の成長と筋肉量の増加に繋がる訳だ。世間でステロイドに対するイメージはこういったものだろうか。本作で中心となるキャラクターは、ジムで働く女性とボディービルダー。つまり、ステロイド注射が劇中で用いられていくわけだ。それが2人の関係性を高めていくのか、或いは、負の効果をもたらすか、は観てのお楽しみ。筋肉に命を懸ける2人による愛の物語が紡がれていくのか、と思いきや、そうとは限らない。父親が危険な人物であることから、予想だにしない方向へとストーリーは展開していくので、慄くばかり。2人の周囲には様々な危険がはらんでいるので、最後まで落ち着くことはないのだ。まさか、ステロイド注射によって、あんなことが起ころうとは…!現実と虚構を行き来しながら、エンパワーメント映画になろうとは思わないだろう。なお、本作の原題は「Love Lies Bleeding」。直訳すれば、愛は血を流して横たわる、だろうか。エルトン・ジョンの楽曲にあるタイトルの一部でもある。このタイトルが何を意味するのか、原題と邦題の違いも意識ながら、是非とも劇場で楽しんでみてはいかがでしょうか。

- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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