刑務所の収監者達が舞台演劇に挑む『シンシン/SING SING』がいよいよ劇場公開!

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NYの収監施設を舞台に、無実の男性が更生プログラムの演劇をきっかけに、希望を見出していく『シンシン/SING SING』が4月11日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『シンシン/SING SING』は、米ニューヨークで最も厳重なセキュリティが施されたシンシン刑務所で行われている収監者更生プログラムの舞台演劇を題材に、無実の罪で収監された男と収監者たちとの友情を描いた実話を映画化。無実の罪で収監された男、ディヴァインGは、刑務所内更生プログラムである「舞台演劇」のグループに所属し、収監者仲間たちと日々演劇に取り組むことで、わずかながらの生きる希望を見いだしていた。そんなある日、刑務所で一番の悪人として恐れられている男、通称ディヴァイン・アイことクラレンス・マクリンが演劇グループに参加することに。そんな中で演劇グループは、次の公演に向けた新たな演目の準備に取り掛かるが…
本作で主人公ディヴァインGを演じたコールマン・ドミンゴは、第97回アカデミー主演男優賞にノミネートされ、『ラスティン ワシントンの『あの日』を作った男』に続いて2度目の主演男優賞ノミネートを果たした。その他のキャストには、シンシン刑務所の元収監者で、舞台演劇プログラムの卒業生及び関係者である俳優たちが多数参加している。監督は『ザ・ボーダーライン 合衆国国境警備隊』等の作品を手がけてきたグレッグ・クウェダーが務めた。
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映画『シンシン/SING SING』は、4月11日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田の大阪ステーションシティシネマや難波のTOHOシネマズなんば、京都・烏丸の京都シネマ、兵庫・神戸のシネ・リーブル神戸や西宮のTOHOシネマズ西宮OS、和歌山のジストシネマ和歌山で公開。

本作で描かれるのは、アメリカ・ニューヨークに実在する最重警備の収監施設であるシンシン刑務所で、舞台演劇を通して収監者の更生を目指すプログラムであるRTA に取り組んだ人達の中で育くんだ友情と再生。主要キャストの 85% 以上が実際にシンシン刑務所の元収監者であることが実に興味深い。実在のシンシン刑務所をロケ地に用いることが実現すれば、尚更に興味深い作品であるが、さすがにそれは現在も使用されている刑務所であるために無理だったようだ。とはいえ、本作の撮影で使用されたのは、2022年3月に廃止されたばかりの刑務所とのこと。ニューヨーク州の仮受け入れ刑務所だったそうだ。とはいえ、刑務所として使われていた場所であるため、精神的な苦痛をスタッフさえも感じたようで、入念なケア体制もあったそうで何より。そういった現場で、収監されていた経験がある人も含めて、この一作を撮り終えたことを考えると感慨深い。演じた戯曲は、様々な要素を存分に詰め込んだ喜劇である。悲劇を演じるなら、より一層にメンタルが危険になりそうで避けたのかと思いきや、実際にこのような喜劇に取り組んだようだ。されど、人を悲しませるよりも、人を喜ばせ楽しませる方が実は難しい。しかも、収監されている立場の人が演じるのだから、人をおもしろがらせることが、翻って観客の怒りにも繋がりかねない。舞台に立っている演者が真剣に取り組んでいる姿から如何にして慈悲深く楽しむことが出来るか。最後まで観終えると、どれだけ趣深げな作品であるか、身に沁みわたってきた。

- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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