実在した女優の長谷川泰子、詩人の中原中也、評論家の小林秀雄による壮絶な愛と青春を描く『ゆきてかへらぬ』がいよいよ劇場公開！
©2025 「ゆきてかへらぬ」製作委員会
大正時代を舞台に、長谷川泰子、中原中也、小林秀雄といった実在した男女３人の愛と青春を描く『ゆきてかへらぬ』が２月２１日（金）より全国の劇場で公開される。
映画『ゆきてかへらぬ』は、大正時代の京都と東京を舞台に、実在した女優の長谷川泰子と詩人の中原中也、文芸評論家の小林秀雄という男女３人の愛と青春を描いたドラマ。大正時代の京都。２０歳の新進女優である長谷川泰子は、１７歳の学生である中原中也と出会う。どこか虚勢を張る２人は互いにひかれあい、一緒に暮らしはじめる。やがて東京に引越した２人の家を、小林秀雄が訪れる。小林は詩人としての中也の才能を誰よりも認めており、中也も批評の達人である小林に一目置かれることを誇りに思っていた。中也と小林の仲むつまじい様子を目の当たりにした泰子は、才気あふれる創作者たる彼らに置いてけぼりにされたような寂しさを感じる。やがて小林も泰子の魅力と女優としての才能に気づき、後戻りできない複雑で歪な三角関係が始まる。
本作では、広瀬すずさんが長谷川泰子、木戸大聖さんが中原中也、岡田将生さんが小林秀雄を演じた。『探偵物語』『ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ』の名匠である根岸吉太郎監督が１６年ぶりに長編映画のメガホンをとり、『ツィゴイネルワイゼン』の田中陽造さんが脚本を担当している。
©2025 「ゆきてかへらぬ」製作委員会
映画『ゆきてかへらぬ』は、２月２１日（金）より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のＴＯＨＯシネマズ梅田や心斎橋のkino cinema 心斎橋、京都・二条のＴＯＨＯシネマズ二条や九条のＴ・ジョイ京都、神戸・三宮のkino cinema 神戸国際等で公開。
大正時代を中心に描いた本作、長谷川泰子、中原中也、小林秀雄といった面々は、今でも語り継がれている文化人だろうか。特に今でも中原中也という人物にふれることは、様々な作品や誌面においてもあるだろうか。本作においては、それぞれの視点に立って、大正時代から日本が戦争に巻き込まれていく手前にあった激動の時代を描いていく。各種資料を調べていくと自然に分かっていくが、当時にこの３人は実際に出会っており、交流を深めていた。当時の学制で云えば中学生である１７歳の中原中也が長谷川泰子に出会うと共に、詩人の富永太郎と出会うことまで丁寧に描かれており、モラトリアム真っ只中を過ごしている中原の姿は実に瑞々しい。瑞々しいが故の愚かさまで表現しており、退廃的な詩人の在り方を体現しているようにも感じられた。そして、少し年上の存在である小林秀雄を岡田将生さんが演じているのがバランスよく感じられる。しっかりとした大人の振る舞いをしていながらも、長谷川泰子には振り回されている姿は滑稽でもあった。そして、長谷川泰子は、複数の著名な文化人や文学者との恋愛や交遊関係があり、今や文学史にも名を残す存在にもなっており、８８歳まで生きた女性の若き頃を広瀬すずさんが瑞々しさと大正時代的な麗しさを以て表現しているのが印象的だ。あくまで史実をベースにしている作品ではあるが、現代にも通ずる不安定な時代を過ごしていく若者の姿を丁寧に描いている、名匠・根岸吉太郎監督ならではの作品であった。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
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