飲食店へのエールを僕等からメッセージとして伝えられたらな…『劇映画 孤独のグルメ』松重豊さんによるお礼行脚!全国舞台挨拶キャンペーンin大阪開催!
輸入雑貨の貿易商を営み、商談で訪れた土地の飲食店で食を楽しむことを喜びにしている井之頭五郎が、祖父の依頼でスープのレシピを探して世界を旅する『劇映画 孤独のグルメ』が全国の劇場で公開中。1月24日(金)には、大阪・梅田のTOHOシネマズ梅田に松重豊さんを迎え、舞台挨拶が開催された。
『劇映画 孤独のグルメ』は、久住昌之さん原作、谷口ジローさん作画による漫画を実写化し、グルメドキュメンタリードラマの代名詞的存在として長年にわたり人気を集めるテレビドラマ「孤独のグルメ」シリーズの劇場版。主演の松重豊さんが自ら監督を務め、主人公の井之頭五郎が究極のスープを求めて世界を巡る姿を描く。輸入雑貨の貿易商である井之頭五郎は、かつての恋人である小雪の娘である千秋からある依頼を受けてフランスへ向かう。パリに到着するといつものように空腹を満たし、依頼者である千秋の祖父・一郎のもとを訪れる。一郎は子どもの頃に飲んだスープをもう一度飲みたいと願っており、五郎にそのレシピと食材を探してほしいと依頼。わずかなヒントを頼りに、究極のスープを求めてフランス、韓国、長崎、東京を駆け巡る五郎だったが、行く先々でさまざまな人物や事件に遭遇し、次第に大きな何かに巻き込まれていく。
韓国領の島で暮らす女性の志穂を内田有紀さん、スープ探しを手伝うことになる青年の中川を磯村勇斗さん、五郎をフランスに呼ぶ千秋を杏さん、千秋の祖父である一郎を塩見三省さん、中華ラーメン店「さんせりて」の店主をオダギリジョーさん、五郎の同業者である滝山を村田雄浩さんが演じ、ドラマ「梨泰院クラス」のユ・ジェミョンが韓国入国審査官役で特別出演している。
今回、上映後に松重豊さんが登壇。「おなかを空かせてしまいまして、申し訳ございません」とお詫びしながら「おなかが空くに違いない」と確信しながらの御挨拶。劇中に登場するオニオングラタンスープ、ちゃんぽん、韓国料理に合わせて近隣のお店をご案内、ラーメンについては劇中では一風堂ニューヨーク店の制服が用いられていることを明かし、一風堂の全面協力だったことも紹介していく。そして、本作について「どういうものが食べたくなるか。その間に登場人物の人間模様が描かれています。そういうもので気持ちを温めていただいて、帰りに美味しいスープを飲んで体まで温めていただく」と紹介した。
ドラマ「孤独のグルメ」Seoson6では、大阪が舞台になった回があり「(池乃)めだか師匠と鉄板焼きを食べたのと、下柳(剛)さんと(平野の)串揚げ屋台に行った。無茶苦茶美味しい。この辺だったらどこでも出張してくれる、と言うので、撮影があったら絶対に呼ぼう、と思っているんだけど、なかなか機会が訪れないで、おばちゃん元気かな」と振り返る。
そして、今回は、お客様から松重さんへの質問タイムがたっぷりと設けられた。また、質問をしてくださったお客様には、井之頭五郎の名刺に松重さんがサインを入れたものがもれなく差し上げられる貴重な機会に。まずは、広島県尾道市出身のお客様から、好きなラーメンについて聞かれ「生まれも育ちも福岡なので、やっぱり、豚骨ラーメンが食べたいな、と思う瞬間がよく訪れる。意外と最近は、福岡に帰って美味しいものを食べるよりも、東京は何でもあるので、僕が子供の頃から好きなラーメン屋さんで、箱崎に”赤のれん”があった。様々な方がのれん分けをされていて、実は、東京の赤のれんが凄く美味しいので僕はよく行く。東京に来られたら、丸ビルの6階にあるので。ハーフにメンマをトッピングしてちょっと固麺にして食べるのが大好きなので、是非食べてください」とおススメ。
『地獄の警備員』からの大ファンなお客様から、五島列島をロケ地に選んだ理由を聞かれ「北部九州の人間にとっても、行ってみたい憧れの場所なんですよ。魚が美味しくて釣りのメッカだし。五島ちゃんぽんも含め、独自の進化を遂げたものが多い。同時に、隠れキリシタンの聖地でもあったし、アジアの中継点でもあったし、尚且つ西洋と繋ぐ起点になるようなものがある。憧れるんですよね。景色も、日本なんだけど異国の雰囲気を漂わせるものがある。もっと日本の人にも知ってほしい。今回、福江島ではなく奈留島の”みかん屋食堂”で撮ったので、非常に行きづらいところなんです。福江なら日帰りできなくはない」と説き「聖地巡礼される方は、どこも行きづらいぞ、と…でも、どこに行っても、あのおかみさんが実際に運んでくれる、というスペシャルなことがあります」とお薦めしていく。
また、松重豊さんと同じ誕生日(1月19日)で10歳になったばかりの男の子がおり、誕生日を祝ってもらいながら「五郎の車のナンバープレートは、563になってたんだよね」とトリビアを披露。さらには、フランスで聖地巡礼した(”ル・ブクラ”にも訪れ、オニオングラタンスープを食べた)お客様から、フランスでの撮影について聞かれ「(ル・ブクラは)フランスの中でも行きづらい場所。下町なんです。観光地の近くにある場所じゃない。穴場中の穴場。(オニオングラタンスープが)無茶苦茶美味しいんです」と改めて紹介し「パリで”孤独カット”をエッフェル塔の前で撮りたい、と無茶なことをお願いしたので、この映画でパリに行くことになった。生まれて初めてパリに行った。スープは何を探せばいいか分からなかった。現地で日本人シェフに聞くと、オニオングラタンスープがフランス料理の中でも基本中の基本だと。そこだけは手が抜けない、手間がかかる作業をしている。それが美味しいと、どんな料理を食べても美味しいお店だと言われている。ル・ブクラに辿り着くまで、3日間で昼・夜毎に4回と皆で2班に分かれて食べ歩いた。あそこが一番美味しかった。場所も良いし、マダムの雰囲気も良いのでお願いした。日本の『孤独のグルメ』と言っても、フランス人は誰も知らないので、日本の映画で使うことが大変だった」と振り返った。
20歳で甘いものが嫌いになり、わさび醤油が好きになったお客様から、今まで味覚が変わった瞬間について聞かれ「子供の頃から辛いものが平気だった。何でも食べられた。でも、若い頃は煙草を吸っていたので、味覚を失わせる。井之頭五郎も最初のSeosonでは煙草を吸っていた。その頃には煙草は吸っていなかった。井之頭五郎はハードボイルドで、店で煙草を吸うんじゃないか、という意見もあり吸っていた。でも、時代が大きく変わり、煙草をやめた。途中からは自身でもお酒を呑まなくなった。井之頭五郎と次第に同化していった。そうすると、いくらでも食べるようになったのがビックリします。撮影中はスタッフがビックリするぐらい食べられちゃう。味覚が変わった、というよりも、胃袋が変化していったじゃないか」と察する。
ドラマ「孤独のグルメ」で日本語を勉強している中国人のお客さんから、中国ロケの機会について聞かれ「中国に行きたい。僕は中華料理が大好きなんです。昔、甲本ヒロト君と中華料理屋さんでアルバイトしていたので、僕の中では、中華料理が大きい。中国も行きたい、と何度か提案していた。韓国が距離的にも近いし、物語も作りやすかった。でも、本当に、中国と韓国と台湾で愛してくれている方が沢山いらっしゃるので、ご要望があれば、いくらでも行きたい。その時は、是非スタッフでもキャストでも参加してください」と伝えた。
ドラマのリピーターであるお客様から、食べる時の気遣いについて聞かれ「それまで食べないですね。とにかく収録日の前夜からセーブしています。おなかが空いた状態で、そのお店に行ってずっと食べている。昼食休憩になると、スタッフが食べている横でプレッシャーを与えつつも過ごし、2,3時頃に食べ始めるので、めちゃくちゃ空いている。胃は拡張傾向にあるので、いくらでも食べられる。最近は、撮影中にお店の方とやり取りしながら、ほんとはコレを食べてほしかったんだけど…と言われるので、追加で頼んでみる。1人前は多いので、ハーフメニューを増やしていってもらっている。この番組は、お店の方とずっと一生懸命に番組を作ってきたので、今まで、スタッフの努力で、お店から苦情がきたことが一度もないんです。この番組で取り上げていただいてありがたかった、と。忙しすぎて体がきつくなった、という声は心苦しいですけども、コロナ禍もあり苦境の中で飲食店が大変な時に、こういう映画を観て、飲食店へのエールを僕等からメッセージとして伝えられたらな、と思っています。そういう気持ちを込めて、僕は一生懸命に食べるだけですけども頑張らせて頂きます」とメッセージを送っていく。
眼鏡が好きな男性のお客様から、松重さんの眼鏡について聞かれ「福岡にある武田メガネのイメージキャラクターをやっています。そこで沢山の眼鏡を作っていただいた。僕も遠近両用の眼鏡で普段は過ごしています。髪の毛を白と黒で使い分けたり、眼鏡によって役の表情が変わったりします。大事な小道具だと思っています。役を演じたり皆さんの前に出たりする時に考えてやっています」と話した。
ドラマを流しながら医学部での勉強に集中できているお客様から、音楽の使い方について聞かれ「今までドラマの劇伴を作っている、久住昌之さんが率いるTHE SCREENTONESさんも今回の劇伴に参加されています。映画用に全部録り直していただいた。映画のトーンで井之頭が食べているシーンを作っていただいた。後半に、志穂が登場してから、僕のイメージの中で、志穂さんの感情のリズムをピアノの音で表したかった。最初は単音、感情が揺れ動いたところで少しリズムが出て来る。最後に向かって、大きく動いてアンサンブルになっていく。志穂さんの気持ちをピアノで連動させたかった。Kan Sanoさんにお願いして、志穂さんの気持ちの流れをピアノで表現していただくことをお願いした。後半は、今までの『孤独のグルメ』というよりも、劇映画として、人の気持ちに流れているものをベースに考えた。それと全然関係ないところで主題歌は甲本ヒロト君という僕の盟友にお願いした。Kan Sanoさんの”神様のメロディ”が配信されたのでお確かめください」と紹介していった。
『劇映画 孤独のグルメ』は、全国の劇場で公開中。関西では、大阪・梅田のTOHOシネマズ梅田や難波のTOHOシネマズなんば、京都・二条のTOHOシネマズ二条や三条のMOVIX京都や七条のT・ジョイ京都、神戸・三宮のOSシネマズミント神戸等で公開中。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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