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一家殺人事件の容疑者として死刑判決を受けた青年の343日間にわたる逃走劇を描く『正体』がいよいよ劇場公開!

2024年11月25日

©2024 映画「正体」製作委員会

 

脱走した殺人事件の容疑者を追う刑事が、逃走先で容疑者と出会った人々との取り調べから、まるで別人のような新たな人物像に出会う様を描く『正体』が11月29日(金)より全国の劇場で公開される。

 

映画『正体』…

日本中を震撼させた凶悪な殺人事件を起こして逮捕され、死刑判決を受けた鏑木慶一が脱走した。鏑木を追う刑事の又貫征吾は、逃走を続ける鏑木が潜伏先で出会った人々を取り調べる。しかし彼らが語る鏑木は、それぞれがまったく別人のような人物像だった。さまざまな場所で潜伏生活を送り、姿や顔を変えながら、間一髪の逃走を繰り返す鏑木。やがて彼が必死に逃亡を続ける真の目的が明らかになり…

 

本作は、染井為人さんのベストセラー小説を、横浜流星さんの主演、『新聞記者』『余命10年』の藤井道人監督のメガホンで映画化したサスペンスドラマ。これまでも『ヴィレッジ』や『パレード』で藤井監督とタッグを組んできた横浜さんが、姿を変えて逃亡を続ける鏑木を熱演。鏑木が日本各地の潜伏先で出会う人々を吉岡里帆さん、森本慎太郎さん、山田杏奈さんが演じ、山田孝之さんが鏑木を追う刑事の又貫に扮した。

 

 

©2024 映画「正体」製作委員会

 

映画『正体』は、11月29日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田の大阪ステーションシティシネマT・ジョイ梅田、心斎橋のイオンシネマシアタス心斎橋や難波のなんばパークスシネマ、京都・二条のTOHOシネマズ二条(12月5日(木)まで休館)や三条のMOVIX京都や七条のT・ジョイ京都、神戸・三宮のkino cinema 神戸国際で公開。

観る者が歯がゆさや刹那さを感じることが多い作品を多く手掛けてきた藤井道人監督作品。本作の原作となった染井為人さんによる小説は、既にWOWOWでテレビドラマ化されているが、ストーリーの大筋を変えずとも、2024年の今に合わせた脚色を施し、藤井道人監督の集大成かと思えるような作品に出来上がっていた。

 

主人公は、一家殺人事件の犯人として死刑判決を受けてしまった鏑木慶一。冒頭では、ある目的のために入念な計画を立てた上で、自らの負傷を天秤にかけてでも必死に脱走するシーンから始まる。以降は、目的を果たすため計画的に日本の各地に潜伏してくのだが、素朴な鏑木の姿が垣間見えていく。不器用なキャラクターでありながら知的な才能を発揮することがあったり、大人の女性に恋する純朴な青年の姿があったり、誰からも信頼されながら真面目に仕事に勤しむ姿を見せられたりしながら、鏑木が殺人犯とは決して思えない、と気づかされるはずだ。ならば、事件では一体何が起こっていたのか。真実を知らされた時、本当に狂おしくなるほどの歯がゆさを感じずにはいられない。まさに藤井道人監督作品の真骨頂である。

 

だが、藤井監督が本当に見せたかったのは、ラストシーンではないのか、と感じられた。脱走し潜伏を続けて目的を果たした先で、まさに洗練された渾身のシーンには感情が揺さぶられずにはいられない。本作の試写に招待頂き拝見した際、周囲に迷惑をかけないように余計な音を発しないように真剣に鑑賞していたのだが、感極まりどうしても音を発しそうになり、どうにか堪えていたのだが、このラストシーンには感極まり過ぎて、本当に身体の底から感情が沸き上がるように震えてしまった。このような映画鑑賞体験は滅多に無いものである。それほどに本作が素晴らしいことを伝えたい。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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