今回のオファー、最初は断ろうと思っていた…でも、今は幸せです!『室井慎次 生き続ける者』大ヒット御礼舞台挨拶in大阪開催!
警察を早期退職して、犯罪加害者・被害者家族を支援している室井慎次が、故郷の秋田で発生した死体遺棄事件を解明する『室井慎次 生き続ける者』が11月15日(金)より全国の劇場で公開中。11月17日(日)には、大阪・梅田のTOHOシネマズ梅田に柳葉敏郎さん、福本莉子さん、本広克行監督、亀山千広プロデューサーを迎え、舞台挨拶が開催された。
映画『室井慎次 生き続ける者』は、1997年に放送されたテレビドラマのほか、映画版も大ヒットを記録してきた人気警察ドラマ「踊る大捜査線」。シリーズの中心人物のひとりで、柳葉敏郎さんが演じる室井慎次を主人公に描いた映画2部作の後編。警察を辞めて故郷の秋田に戻り、事件被害者・加害者家族の支援をしたいという思いから、タカとリクという2人の少年を引き取り、暮らしていた室井慎次。しかし、彼の家のそばで他殺死体が発見され、さらにかつて湾岸所を占拠した猟奇殺人犯である日向真奈美の娘だという少女の日向杏が現れたことから、穏やかな日常は徐々に変化していく。かつての同僚であり今は秋田県警本部長になっていた新城に頼まれ、警視庁捜査一家の若手刑事の桜とともに捜査に協力することになった室井。そんな彼のもとに、服役を経て出所してきたリクの父親が訪ねてくる。柳葉さんや筧利夫さん、真矢ミキさんらシリーズおなじみのベテランキャストたちに加え、日向杏役の福本莉子さん、タカ役の齋藤潤さん、桜役の松下洸平さんら新たなキャストも出演。メインスタッフにも、プロデュースに亀山千広さん、脚本に君塚良一さん、監督に本広克行さんと「踊る大捜査線」シリーズを支えてきた顔ぶれがそろった。
上映後、柳葉敏郎さん、福本莉子さん、本広克行監督、亀山千広プロデューサーが登壇。室井慎次を27年間も演じ続けた柳葉さんを労う舞台挨拶が繰り広げられた。
2023年度後期のNHK連続テレビ小説「ブギウギ」にヒロインの父親役で出演していた柳葉さんは「大阪の方々の熱い気持ちの中で、現場を過ごさせて頂きました」と感謝の気持ちを伝えていく。また、11月2日放送のMBSテレビの番組「ごぶごぶ」にゲスト出演しており「大阪、変わりましたねぇ。びっくらこきましたよぉ」と振り返り「僕、浜ちゃんとも久しぶりだったので。時々、どっかのスタジオですれ違った時に『ギバさん、なんか一緒にやりましょうよ』と何度か声をかけて頂いていたんですけど、なかなか時間がマッチングすることがなくて、今回あぁいう形で。楽しい時間でしたねぇ。行くところ行くところ、大阪の方々の熱い想いが伝わってきました。丸一日お世話になり、久しぶりに大阪の空気を楽しませていただきました」と喜んでいる。大阪出身の福本さんは通学路だったこともあり毎日のように梅田へ来ていたこともあり「LUCUA行ったり、NU chayamachiに行ったりしていました。学校帰りにカフェへ友達と行っていた」と明かし「大阪は、安くて美味しいのが一番の醍醐味。鉄板焼きとかたこ焼きを食べてほしいですね」とお薦め。柳葉さんも喜んで応じていくが、”粉もん”のアクセントについて福本さんにツッコミを受けてしまい、タジタジに。
27年間も室井さんを演じ続けた柳葉さんは「感謝の気持ちだけです」と伝えると共に「この作品のハナシを頂いたのが、去年の夏ぐらい。朝ドラの撮影の真っ最中。それどころじゃないのに、室井のハナシが届きました。断ろう、と思っていたんです」と告白。そこで、亀山プロデューサーと会合を何度も重ねており「何故、あの時に断ろうと思っていたのかなぁ、と今は反省しております。27年間付き合ってきた大親友をこういう形で締め括らせて頂くことが出来て幸せです」と今は感慨深げだ。本広監督も「最初は断っていて…やっぱ嫌じゃないですかぁ、室井さんが死ぬシーンを撮るってねぇ。『踊る大捜査線』を観ていらっしゃる方は。なんでこんなことをするんだろうなぁ」と思っていた。だが、亀山プロデューサーが論破することになり「僕もギバさんもまんまとやってますけど…ホントにやってよかったなぁ。こういうエンターテインメントもあるんだな」と感じている。亀山プロデューサーは「大変でした」と率直に話し「君塚さんから、一昨年の年末にメールがポンッと来ました。普段はそんなにメールの交換とかしていないんですけども。『室井を書きたい。久々に亀山・本広と3人で仕事がしたい』と言われました。直ぐに会いにいって、君塚さんの思いを確認しました。『柳葉敏郎を解放させたい』という気持ちが君塚さんに非常に多く『分かりました。引き受けます』と。当時、立場上の仕事があり、プロデューサーを直接やれる、とは思っていないので。大阪の雰囲気にのまれている柳葉敏郎が即『なんで今”室井”をやるんだ』としか返ってこない。そして、コメディの好きな監督は『ほとんどコメディがない台本で撮りたくない』と言って逃げている。それを説得するのに1年以上かかりました。挙句の果てに柳葉敏郎さんとは大喧嘩もしました。監督はその時は横にいたんですが、下を向いてニコニコ笑っているんです」と明かす。これを受け、本広監督は「コレで流れたなぁ」と安堵し、休暇のことを考えていたようだ。とはいえ、亀山プロデューサーは悔しくなりながらも「これはもう矢面に立って”やってやる”と作り始めて、今ココに来ています」と決意し「申し訳ありません。室井慎次はコレが最後になりますが、柳葉敏郎はまだまだ芝居をしていきますので、皆さんの熱望が強ければ、幽霊で次回は登場して頂ける、と」お客様に向けて宣言。だが、柳葉さんは「誤解するような発言をするな」とツッコミ。すかさず亀山プロデューサーは「真下あたりに幽霊で出て来て、”起きろ”ということもあるじゃないですか」と応戦。柳葉さんは「くそぉ、先手を打ちやがったな」と苦虫を嚙み潰したような思いだが、亀山プロデューサーは「幽霊だと気が楽だと思いますので」とフォローしていく。また、先日の「ごぶごぶ」の中で、浜田雅功さんと2人で『踊る大捜査線』のテーマ曲である織田裕二さんの「Love Somebody」を歌う姿を挙げ「この27年間で僕は観たことがないんですよ。最近のバラエティ番組での出演や弾け方から、どれだけ”呪い”が嫌だったか、よく分かりました。しかも「Love Somebody」が上手いんですよね。絶対に家で練習しているとしか思えない」と指摘。思わず盛り上がってしまうお客様を抑えることに柳葉さんは必死になりながらも「室井さん!」と青島のモノマネで応じていく。この二部作への出演が決まった時、福本さんはビックリしており「私が生まれる前から室井さんを演じている。まさかこんな大プロジェクトに呼んで頂けるとは思っていなかった」と驚くと共に嬉しかったが、役名を聞き「日向真奈美さんの娘…どうしようかなぁ、と悩みました」と打ち明けた。
ここで、お客様からの質問タイムを実施。登壇者がお客様の近くに直接伺う機会も設けられた。室井さんの恋についても聞かれ、柳葉さんは「『容疑者 室井慎次』を観て下さい。そこに答えがあります」と即答。亀山プロデューサーからも「今絶版になっているんですけど、小説にもなっていますので、探して頂けると…」とフォローしていく。また、里親になった室井さんを演じたことについて聞かれ、柳葉さんは「”里親”という言葉は環境に過ぎない。普通に、親としての気持ちで接していました。(私が)2人の子供を育てているのと同じ気持ちで接していました、普段の時から。だから、特別な思いじゃなくて、彼等を愛する、それ以外見つからないです。彼等を愛する気持ちだけで時間を過ごしてきました」と伝えた。そして、室井さんに対する気持ちを聞かれ「彼に声をかけるとしたら…”よぉやったな”ということですかね。あとは、感謝です。俺と27年間付き合ってくれてありがとう」と素直に語っていく。そこに、亀山プロデューサーは「室井さんの殺害を計画したのは僕ですけど…実行犯は…」と本広監督のことを指しながら「室井さん、僕等を逮捕しますか?」と質問。柳葉さんは「現場の君達を信じる」と室井さんの台詞で応えた。本広監督は、当初は別のクライマックスを考えていたことがあり「2人が猛反対するんです。ギャグにしてやろう、と思っていたんですが駄目でした」と懺悔していく。
最後に、柳葉さんは「ありがとうございます。27年間、一緒に時間を過ごしてきた男です。”敗れざる者”であり、”生き続ける者”です。今回の作品で彼の生き様、或いは心意気、愛、人として感じる感情を、皆さんの中で感じたものをこれからの環境の中で時々思い出してやって下さい」と伝え「室井は、これが最後です。でも『踊る』は永久に不滅です。皆さんに支えらえた男の生き様を今一度皆さんの心の中で振り返ってやってみてください」とお願いし、舞台挨拶を締め括った。
映画『室井慎次 生き続ける者』は、11月15日(金)より全国の劇場で公開中。関西では、大阪・梅田のTOHOシネマズ梅田や大阪ステーションシティシネマや心斎橋のイオンシネマシアタス心斎橋や難波のTOHOシネマズなんば、京都・二条のTOHOシネマズ二条や三条のMOVIX京都や七条のT・ジョイ京都、神戸・三宮のOSシネマズミント神戸等で公開中。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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