手紙を投函するだけのはずが、800kmの手ぶら旅に出ることに…『ハロルド・フライのまさかの旅立ち』がいよいよ劇場公開!
©Pilgrimage Films Limited and The British Film Institute 2022
定年退職した男が、かつての同僚から届いた手紙の返事を伝えるために、イギリスを縦断する『ハロルド・フライのまさかの旅立ち』が6月7日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『ハロルド・フライのまさかの旅立ち』…
定年退職し妻モーリーンと平穏な日々を過ごしていたハロルド・フライのもとに、北の果てから思いがけない手紙が届く。差出人はかつてビール工場で一緒に働いていた同僚クイーニーで、ホスピスに入院中の彼女の命はもうすぐ尽きるという。近所のポストから返事を出そうと家を出るハロルドだったが、途中で考えを変え、800Km離れた場所にいるクイーニーのもとを目指してそのまま手ぶらで歩き始める。ハロルドには、クイーニーにどうしても会って伝えたい、ある思いがあった。
本作は、イギリスの作家レイチェル・ジョイスによる小説「ハロルド・フライの思いもよらない巡礼の旅」を、『アイリス』のオスカー俳優ジム・ブロードベント主演で映画化。ハロルドの思わぬ行動によって自身も変化していく妻モーリーンを、「ダウントン・アビー」シリーズのペネロープ・ウィルトンが演じた。原作者ジョイスが自ら脚本を担当している。
©Pilgrimage Films Limited and The British Film Institute 2022
映画『ハロルド・フライのまさかの旅立ち』は、6月7日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田の大阪ステーションシティシネマや難波のなんばパークスシネマ、京都・三条のMOVIX京都、神戸・三宮のkino cinema神戸国際で公開。
かつての同僚がホスピスに入っている、という報せが届いた…余命幾許もない、ということが分かり、自身に何が出来るか…手紙の返信をするだけでなく、今から歩いてホスピスに向かうので(800Kmも!)、それまでは生きていてほしい…どれだけ無謀なことであろうか。だが、彼にとっては、それだけことを成すべき使命があった。誰かに支持されたわけでもない。ホスピスに到着するまで同僚が生きている保障はどこにもないのだ。だが、彼は懸命に歩いていく。その道中では、いくらでも歩みを止める時があった。休息を得た場所ではかけがえのない出会いがあり、救われていく。それによって、また再び歩き出す。時には、予期せぬ注目を浴びる時もあった。それが功を奏する時もあるが、決して彼が望んだプロセスではない。改めて、彼が成し遂げようとしたことの意味を認識し、歩き出していく姿が頼もしかった。最終的に彼が望んだことは実現しただろうか。だが、彼が旅の過程で出会った人々に光をもたらしたことだけは間違いない、と思える一作であった。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
- 最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!