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アウシュヴィッツ強制収容所と壁一枚隔てた屋敷に住む所長と家族の暮らしを描く『関心領域』がいよいよ劇場公開!

2024年5月21日

©Two Wolves Films Limited, Extreme Emotions BIS Limited, Soft Money LLC and Channel Four Television Corporation 2023. All Rights Reserved.

 

第2次世界大戦下でアウシュビッツ強制収容所に隣接する屋敷で暮らす、家族の平和な生活を描く『関心領域』が5月24日(金)より全国公開される。

 

映画『関心領域』は、ホロコーストや強制労働によりユダヤ人を中心に多くの人びとを死に至らしめたアウシュビッツ強制収容所の隣で平和な生活を送る一家の日々の営みを描く。タイトルの「The Zone of Interest(関心領域)」は、第2次世界大戦中、ナチス親衛隊がポーランド・オシフィエンチム郊外にあるアウシュビッツ強制収容所群を取り囲む40平方キロメートルの地域を表現するために使った言葉で、映画の中では強制収容所と壁一枚隔てた屋敷に住む収容所の所長とその家族の暮らしを描いていく。

 

本作は、『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』のジョナサン・グレイザー監督がイギリスの作家マーティン・エイミスの小説を原案に手がけた。2023年のカンヌ国際映画祭ではパルムドールに次ぐグランプリに輝き、第96回アカデミー賞では作品賞、監督賞、脚色賞、国際長編映画賞、音響賞の5部門にノミネートされ、国際長編映画賞と音響賞の2部門を受賞した。『白いリボン』『ヒトラー暗殺、13分の誤算』のクリスティアン・フリーデル、主演作『落下の解剖学』が本作と同じ年のカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞したサンドラ・ヒュラーが出演している。

 

©Two Wolves Films Limited, Extreme Emotions BIS Limited, Soft Money LLC and Channel Four Television Corporation 2023. All Rights Reserved.

 

映画『関心領域』は、5月24日(金)より全国公開。関西では、大阪・梅田の大阪ステーションシティシネマテアトル梅田、難波のなんばパークスシネマ、京都・三条のMOVIX京都や烏丸の京都シネマ、神戸・三宮のkino cinema神戸国際等で公開。

アウシュビッツ強制収容所の隣で、普通の生活を送る所長一家の営みを描く本作。壁一枚を隔てた向こう側では、どのような悍ましいことが起きていようとも、実態が見えていない限り、無いものとして一家は普通に過ごしている。それが如何に異常なことであるか、本作は淡々と伝えていく。庭に作られたプールで子供達が燥いでいる姿を微笑ましく眺めているのは父親。だが、彼は所長であるが故に、出で立ちが異なっている。それを普通であるが如く子供達は過ごしている。やはり異常だ。あくまでこの家族が関心があるのは、この家の中での出来事である。映画だからこそ、独特の異常さを以て描いているが、当時を過ごしていた人達は本当にどう感じていたのかインタビューしてみたい。壁の向こう側から悲鳴が聞こえていたり、謎の煙が立ち上っており、平然と過ごせているのは異常だ。本作では、その異常さの極みを描くために、あえてモノトーンのスクリーンで表現する。観客の想像力に委ねる大胆な演出であるとしか言いようがない。そして、本作で描かれていることが現在の世界で起きていることと地続きであることを訴えていく。このようなことがさらに現実とならないことを願いたく、最後まで目に焼き付けておきたい一作である。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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