マレーシアで映画監督になることを夢見た男の挫折と再起を描く『水に燃える火』が第19回大阪アジアン映画祭のコンペティション部門でアジア初上映!
マレーシアで少数言語であるタミル語の映画監督になることを夢見た映画青年の挫折と再起を描く『水に燃える火』が第19回大阪アジアン映画祭のコンペティション部門でアジア初上映された。
映画『水に燃える火』…
マレーシアでは少数言語であるタミル語の映画監督を夢見て業界に入った男。しかし現実は厳しく、私生活も荒れていくなか、ある日バーで泥酔した女と出会い…。挫折を繰り返しながらも夢に向かう男の姿を描く。
映画『水に燃える火』は、3月6日(水)16:00よりABCホールでも上映。
タミル語は、インドの公用語のひとつであり、南インドのタミル・ナード州、スリランカの北東部で話されている。タミル人の移民によってシンガポール、マレーシアをはじめとするアジア・アフリカの各地にも話者がいるが、本作の舞台であるマレーシアでは少数派にあたる。現在のマレーシアは多民族国家であり、映画文化は各民族の言語ごとに作られ、そこから他の文化圏には拡がっていかないようだ。そういった環境下において、一部の成功した映画監督の下について映画監督を目指すことは尚更大変であることが伝わってくる。最初は短編映画を制作したとしても映画祭で受賞されるかどうかは映画祭側の審査方針に委ねられる。長編映画の企画があったとしても配給会社が必要であり、TV側に依頼しても、旧態依然な体制に振り回されることになっていく。本作を手掛けたサンジェイ・ペルマル監督の半自伝的な作品でもあるが、国が違っても同じような境遇が待ち受けていることに変わりない。そして、映画業界を目指す人間それぞれに人生があり、様々な苦労が伴った経験をしていく。親近感を持ちながらも、作品の不思議な魅力が伝わってくる。挫折と再起を経験したからこそ、今作が作り上げられたことは大いに称賛したい限りだ。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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