育ちも性格も異なる2人が一瞬で惹かれ合い、友情が恋へと変化していく『シチリア・サマー』がいよいよ劇場公開!
©2023 IBLAFILM srl
実際の事件を基に、初夏のシチリアで出会った少年たちの悲劇の恋を描く『シチリア・サマー』が11月23日(木)より全国の劇場で公開される。
映画『シチリア・サマー』は、イタリア・シチリア島の美しい景色を背景に、少年たちのみずみずしい初恋と彼らを待ち受ける運命を、実在の事件を基に描いたラブストーリー。1982年、初夏のシチリア島。16歳のニーノと17歳のジャンニは、バイク同士の衝突事故をきっかけに運命的な出会いを果たす。育った環境も性格もまったく異なる彼らはひかれあい、友情は激しい恋へと変化していく。かけがえのない時間を過ごす2人だったが、彼らのまぶしすぎる恋はある日突然の終わりを迎える。
本作では、オーディションで選ばれた新星ガブリエーレ・ピッツーロとサムエーレ・セグレートが主人公ニーノとジャンニをそれぞれ演じ、『はじまりは5つ星ホテルから』のファブリツィア・サッキが共演。『海と大陸』等に出演する俳優ジュゼッペ・フィオレッロが長編初メガホンをとり、イタリア最古の映画賞であるナストロ・ダルジェント賞で新人監督賞を受賞した。
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映画『シチリア・サマー』は、11月23日(木)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田の大阪ステーションシティシネマや難波のなんばパークスシネマ、京都・三条のMOVIX京都、神戸・三宮のkino cinéma神戸国際で公開。
1983年の北イタリアでの出来事を描いたのが『君の名前で僕を呼んで』だったが、本作は、1982年のイタリア半島西南部に位置する島であるシチリアが舞台だ。1980年に実際に起きた事件をベースにしながら、異なる環境で育った2人が出会う心象風景を描いている。1人は自身の性的指向が故に矯正施設に入れられたこともあり、それが周囲に知られ謗られながらも、僅かながらの良き理解者に守られながら日々を生きている17歳のジャンニ。もう1人は、大家族の下で愛情たっぷりに育てられた16歳のニーノ。偶然のようでありながら、導かれるように出会った2人が親しくなっていく光景は美しく描かれていく。だが、周囲は芳しく受けとめることは無かった。ニーノの家庭では、厳しくも立派な男に育て上げようとしてした中での驚天動地な出来事だ。ジャンニの周囲にいる者達が退いてしまうような出来事が起こってしまう。これは、イタリアでは国教であるキリスト教ローマ・カトリック教会は、許されざる恥ずべき大罪の一つとされていることが大きい。だが、2人の愛情は決して途絶えることはなく、行きつくところまで至ってしまう。本作のベースとなった事件は、当時のイタリアを震撼させ、社会を変化させていくきっかけとなった。とはいえ、本作は事件を単純に描くのではなく、2人のドラマチックな出来事を切なくも美しく丁寧に描いており、観る者の心を動かしていく作品である。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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