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素直な目で自分なりの答えを見つけて頂けたら…『隣人X -疑惑の彼女-』上野樹里さんと林遣都さんを迎え舞台挨拶開催!

2023年11月15日

惑星Xの難民を受け入れた日本で、スクープを狙う記者がXの正体を追う『隣人X -疑惑の彼女-』が12月1日(金)より全国の劇場で公開される。11月15(水)には、大阪・梅田の大阪ステーションシティシネマに上野樹里さんと林遣都さんを迎え、舞台挨拶付き先行上映が開催された。

 

映画『隣人X -疑惑の彼女-』は、第14回小説現代長編新人賞を受賞したパリュスあや子さんの小説「隣人X」を、上野樹里さんと林遣都さんの共演で映画化した異色のミステリーロマンス。故郷の惑星の紛争によって宇宙から難民として地球にやってきた「X」と呼ばれる生命体が世界中に溢れ、各国がその対処に苦慮する中、日本はアメリカに追随するように彼らの受け入れを決める。Xは人間にそっくりな姿で日常に紛れ込み、人々はXを見つけ出そうと躍起になって社会に不安や動揺が広がっていく。そんな中、週刊誌記者の笹憲太郎はX疑惑のある柏木良子の追跡を開始。自身の正体を隠しながら良子に接近し、ふたりは徐々に距離を縮めていく。やがて良子に対して本当の恋心を抱くようになった笹は、彼女への思いと罪悪感、記者としての矜持に引き裂かれそうになりながらも、ある真実にたどり着く。監督・脚本・編集は『ユリゴコロ』の熊澤尚人さん。良子とともにX疑惑をかけられる留学生リン・イレン役で台湾の女優ファン・ペイチャさんが出演するほか、野村周平さん、嶋田久作さん、バカリズム、川瀬陽太さん、原日出子さん、酒向芳さんらが共演する。

 

今回、上野樹里さんと林遣都さんが上映前に登壇。関西出身である2人ならではの雰囲気を醸し出した舞台挨拶が繰り広げられた。

 

滋賀県大津市生まれの林さんは「関西弁はオフモードなんですしょうね。(オフモードは)人前では無理ですよ」は仕事モードだ。上野さんは、兵庫県加古川市出身で加古川の観光大使でもあるが、大阪については「いとこが働いている」「長年CMをやってきた大和ハウスの本社がある」と挙げながら「昔、大阪のNHKで朝ドラを撮影させて頂いた」と振り返る。「がっつり大阪は知らないかもしれない」と話しながらも「USJは行きましたよ。ゾンビに追っかけられていた。おばと一緒に行って、乗り物酔いで支えながら歩いていたらゾンビも襲ってこなかった。それどころじゃなかった」と思い返す。滋賀で1ヶ月オールロケで撮影された本作。林さんは「樹里さん演じる良子さんと歩きながらのシーンがちょこちょこ出てきます。船が見える港のロケ地は、僕が学生時代にずっといた場所。琵琶湖を眺めながら様々なことと向き合っていた時期だった。思い出の地です」と明かし「家族も呼んで、見にきてもらった。育った場所で上野樹里さんと撮影しているのが感慨深い。まさかこんな日が来るとは…素敵な1日の撮影でした」と印象深い。

 

初共演となった2人。上野さんは、林さんに対して「今回は、髭を生やしたビジュアルが似合っていて大人の色気が出ている感じがした」と気に入っている。自身が演じた良子について「平凡な36歳。ひっそりと暮らしている。笹に徐々に距離を縮めてこられるとドキッとしてしまう瞬間があるんじゃないかな」と思い浮かべ「今日は、林遣都さんのファンの方達は良子と同じ気持ちでドキドキしながら映画を楽しんで頂きたいですね」と記載させていく。また「凄く真面目な方。最初のリハの時には凄い熱量で、この映画は絶対おもしろくなるな」と確信し「この映画で共演できて良いタッグが組めたんじゃないかな」と満足している。林さんは、上野さんについて「本当に、出会えて良かったなぁ」と喜んでおり「映画の撮影が終わってからも、一緒に取材の場でもお会いする時に毎回思うんですが、人間力が凄くて、考え方や生き方がお芝居に滲み出ている。今の時代にいなくなってはならない人だな。必要な人だな」と評した。「良子さんもそういう方だ」と思っており「良子さんは樹里さんがやったからこそ、ああいう人物像になったんだな」と納得している。

 

 

熊澤監督とは2006年の『虹の女神/Rainbow Song』以来となった上野さん。「二十歳の頃、岩井俊二さんプロデュースによる映画がありました。その頃は、岩井さんも編集に携わっていた」と思い返していた。今作では「密に熊澤さんの脚本・演出・編集であり、17年振りの再会どこまで成長した姿を見せられるのか。成長した姿で一緒におもしろい作品作りが出来るのか」と重きをおいており「台本を頂いて直ぐに読みました。電話したけど、ワークショップ中だったのに出てもらった。そこから1年半ぐらいかけて、良子という女性を作り上げていった」と振り返っていく。林さんは2008年の『ダイブ!!』以来15年ぶりだ。「当時は、このお仕事を始めたてだった。とても厳しい方」という印象が残っていたが、歳を重ね「自分のことを厳しく指導してくださる方にはなかなか出会えない」と分かってきた。本作へのオファーを頂き「今の自分を確認するためにも、監督とご一緒したい」と切望。本作に出演しながら「愛情ある厳しさは全然変わっていない。1つの役を演じる上で丁寧に向き合ってくださいます。足りていない部分があると細かいところまで詰めてきてくださる」と信頼を寄せている。『ダイブ!!』では「若者が集まった青春映画だった。男達が影では熊澤さんのことを”鬼澤監督”と呼んでいた。鬼澤監督の千本ノックは、役を演じる上で追い込んで下さる。それによって出る表情がきっとある。映画を観た時、最近忘れかけていたものを自分自身で確認することが出来た。15年ぶり出させて頂いて、良いことばかりでした」と大満足だ。

 

衣装や小道具等も役に合わせて十分に考えられており、上野さんは「脚本が徐々に形になっていくと、良子さんのシルエットも見えてきた。街中歩けば、表参道でも”あれ、良子かな”と良子さんを探している自分がいた。髪を伸ばしてみたり、インナーカラー入れて金髪にしてみたり。ブレスレットを選んでみたり、自分の私物でも使ってみたり」と挙げ「『ヒヤマケンタロウの妊娠』では亜季という女性を演じ、同じカーディガンを着ていた」と秘話を話す。「自分の私物を混ぜることもあります。モノをゲットしたら、画像を監督に送っていた。意見がずれることもなかった」と信頼しており「そうやって良子さんのビジュアルや話す声のトーン等、全てを徐々に作り上げられていった」と説く。1ヶ月間の撮影となり、上野さんは「ホテルより良子みたいにアパートを借りたかった。でも、さすがにそれはプロデューサーからは危険であるために御許しが出ませんでした」と断念しながらも「マンスリーマンションを借りて色々持ち込んだ。(撮影の)帰りにスーパーへ寄って帰って、朝晩はごはんを作って暮らすようにしていた」と良子さんの暮らしに近づけようとした。「缶詰めになるのは生き苦しいから、そこに暮らしているような感じで仕事が出来ると良いな」と考え「料金も変わらない。だったら、どっちの環境を選ぶか」と検討した。

 

 

 

週刊誌記者である笹という役を演じ、林さんは「自分達にとって身近なお仕事でもあるので、一度知ってみたい、覗いてみたい。おもしろそうだな」と興味津々であると共に「笹が気づいて変わっていくことは、映画の大事な部分。その役割をしっかりと果たさないといけないな。そういう人物作りをしていかないといけないな」と認識。全てを明かせない役を演じた上野さんは「観終わった後、皆さんで、どこが印象に残ったかそれぞれ話し合ってほしいですね。心の中は絶対分からない。自分自身でも分からないまま、偏見というフィルターをかけていることすら無意識にやっているかもしれない、ということをこの映画を体験していくと、徐々に笹と一緒に物語を観進めていくうちに、自分の何かしらのフィルターをかけて世の中を見ているのかもしれない、と体感して気づいていく。2回目は、全部分かった上で誰がXなのか、良子の目線で観てみると、もしかしたら笹が異質な存在に見えるかもしれない。女性や男性の目線だけでも楽しみ方が2つある。1人1人の心の内は同じではないので、観終わった後に皆さんが話して頂けると良いかな」と楽しみにしている。林さんは「良子さんをはじめとする登場人物は、我々が失くしてはいけない大切なものを持っている人達。その人達は順風満帆で過ごしている人達ではない。壁にぶつかっていたり、嫌な思いをしていたりする。その人達を見ていて感じるものが大切。日常の中に目を向けてみると、こんなに素敵なものが散らばっているんだ、と注目してほしい。いっぱい見つけてほしいな」と願っていた。

 

最後に、林さんは「最近、僕もUSJに行きました。学生時代はよく行っていた。ザ・フライングダイナソーに初めて乗ったんですが凄かったですね。またゆっくりと大阪に来たい」と楽しみにしながら「コロナ禍になってからしばらく経って、まだまだ不安な日々の中で僕も怖いことばっかりですけど、普段見逃しがちなことにふと時間を作って目を向けてくれるだけで、まだまだ捨てもんじゃないな、と思えることが沢山あると思っています。そんなことに気づくきっかけを届ける映画になっていたら良いな」とメッセージ。上野さんは「世の中が目まぐるしい勢いでどんどん変わっていって、惑わされたり、自分の一番大切なものを見失いがちだったり、忘れかけてしまいそうになったり。大切な人の心の中をどれだけ見れているんだろう。自分の心の中をどれぐらい耳を傾けてあげられて、それに対して実行して生きられているんだろう。生きていくだけでも精一杯だし、生きていくためにはお金が必要だし。様々な情報をいち早く取って、様々なことに気をつけながら、怯えながら、恐怖と向き合いながら、時代や世の中が次の日を迎えている」と昨今の日々を鑑みながら「記者と縦社会から離脱して生きている良子という人間が主人公になっている。20代の頃は仕事で一番忙しかった時、メディアで傷つくこともいっぱいありました。人を楽しませたい、という思いでやっていても、報われない。でも、そういう時代を経たからこそ、良子さんを演じることができる。笹という記者とラブストーリーに発展するなんて、20代の頃には分からなかったと思う。パーソナルな部分が通い合うことも楽しんで観て頂きたい。フィルターもかけていない素直な目で世の中を見つめていくことはどんな感じなんだろう、とこの映画を通して様々なことを感じて自分なりの答えを見つけて頂けたらな」と思いを込め、舞台挨拶は締め括られた。

 

映画『隣人X -疑惑の彼女-』は、12月1日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田の大阪ステーションシティシネマなんばパークスシネマ、京都・三条のMOVIX京都、神戸・三宮のkino cinéma神戸国際等で公開。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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