映画界で活躍する女性監督と女優が世界各地から集結し、女性が主人公の7つの短編を紡ぎ出す『私たちの声』がいよいよ劇場公開!
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各国を代表する女性監督と女優が7つの短編を紡ぎ出す『私たちの声』が9月1日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『私たちの声』は、世界各国の映画界で活躍する女性監督と女優が集結し、女性を主人公に描いた7本の短編で構成されるオムニバス映画。女優タラジ・P・ヘンソンが監督を務め、ジェニファー・ハドソンがドラッグ依存と多重人格を克服しようと闘う女性を演じた「ペプシとキム」、『トワイライト 初恋』のキャサリン・ハードウィック監督がマーシャ・ゲイ・ハーデンとカーラ・デルビーニュの共演で、コロナ禍のロサンゼルスで出会った医師とホームレスの交流を描く「無限の思いやり」、アルゼンチンのルシア・プエンソ監督がエバ・ロンゴリアを主演に迎え、亡き妹が遺した幼い娘との人生を考えるキャリアウーマンを描いた「帰郷」、『きみはいい子』の呉美保監督が杏とタッグを組み、育児と仕事に翻弄されるシングルマザーの多忙な日常をつづった「私の一週間」、イタリアのルチア・ブルゲローニ監督&シルビア・カロッビオ監督によるアニメーション作品「アリア」などを収録。ダイアン・ウォーレンが手がけ、ソフィア・カーソンが歌唱した主題歌「Applause」が第95回アカデミー賞で主題歌賞にノミネートされた。
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映画『私たちの声』は、9月1日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田の大阪ステーションシティシネマや難波のなんばパークスシネマ、京都・三条のMOVIX京都、神戸・三宮のkino cinema 神戸国際等で公開。
とにかく、四本目の「私の一週間」は観てください!と推したい。
オムニバスを構成する7本の作品は、作風とテーマが広く異なり、どれもクオリティが高い。実話に基づく再現ドラマ的な作品から、ファンタジックなアニメまで、色彩豊かである。その中で、日本からの参加作品「私の一週間(A WEEK IN MY LIFE)」は白眉の作品だ。
母親と幼い子供二人とが暮らす生活の中の、ある一週間を切り取った16分間。ただそれだけなのだが、見入ってしまう。主人公は早朝に起きて、朝食を作り、子どもたちを送ったあと職場に行って一日働く。疲れきって帰宅して即また子供たちの夕食作り。合間には家事もしないといけないし、幼い息子はすぐにぐずる。「ああもう!」と怒鳴りたいときもあるはずなのに、イライラする時間もないかのように、毎日の生活は目まぐるしい。食卓のミルクをこぼすシーンでは、観ていて思わず「あっ!」と声が出るだけでなく、画面に手を伸ばしてしまった。
ご飯を用意する場面など、日常の描写ひとつひとつが「わかる!」と言いたくなるほど上手い。食事は手早く簡単に済ませたい、でも子供たちには出来るだけちゃんとしたものを食べさせてあげたい、そんな愛情と苦労が滲みでる、ちょっとした所作がとてもリアルなのだ。演じる杏さんも、優しくていつも頑張る、でもホントは私もしんどいんだけどなぁ…という母親を演じ切っている。
アカデミー賞歌曲賞にノミネートもされた、主題歌の「Applause」がまた素晴らしい。美しい旋律と透き通る声が心地よいだけでなく、歌詞に胸が熱くなる。「あなた自身に喝采(applause)を。あなたはそれにふさわしい努力をしている、敬意を表されるべき存在なのだから。」と語りかける言葉は、すべての人を応援するフレーズであり、聴く者の心に勇気と自信を湧かせてくれる。自己肯定感が爆上がりする名曲だ。エンドロールに歌詞の字幕は表示されないので、気になった方は検索して、また余韻に浸ってみていただきたい。
fromNZ2.0@エヌゼット
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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