夢と声を失った少女の再生の物語『裸足になって』がいよいよ劇場公開!
©THE INK CONNECTION – HIGH SEA – CIRTA FILMS – SCOPE PICTURES FRANCE 2 CINEMA – LES PRODUCTIONS DU CH’TIHI – SAME PLAYER, SOLAR ENTERTAINMENT
内戦の影響が残るアルジェリアを舞台に、踊ることも声を出すこともできなくなった女性が再起しようとする様を描く『裸足になって』が7月21日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『裸足になって』は、声と夢を理不尽に奪われた少女の再生をみずみずしく描いたヒューマンドラマ。内戦の傷跡が残る北アフリカのイスラム国家アルジェリア。バレエダンサーを夢見る少女フーリアは、男に階段から突き落とされて大ケガを負い、踊ることも声を出すこともできなくなってしまう。失意の底にいた彼女がリハビリ施設で出会ったのは、それぞれ心に傷を抱えるろう者の女性たちだった。フーリアは彼女たちにダンスを教えることで、生きる情熱を取り戻していく。
本作は、『パピチャ 未来へのランウェイ』のムニア・メドゥールが監督・脚本を手がけ、『オートクチュール』『パピチャ 未来へのランウェイ』のリナ・クードリが主人公フーリアを演じ、『女はみんな生きている』のラシダ・ブラクニが共演。『コーダ あいのうた』でろう者の俳優として初めてオスカー像を手にした俳優トロイ・コッツァーが製作総指揮を務めた。
©THE INK CONNECTION – HIGH SEA – CIRTA FILMS – SCOPE PICTURES FRANCE 2 CINEMA – LES PRODUCTIONS DU CH’TIHI – SAME PLAYER, SOLAR ENTERTAINMENT
映画『裸足になって』は、7月21日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田の大阪ステーションシティシネマや難波のなんばパークスシネマ、京都・三条のMOVIX京都、神戸・三宮のkino cinema 神戸国際等で公開。
とても過酷で困難な現実が描かれているにも関わらず、力強いパワーと美しさがあふれだす。『裸足になって』はさまざまな不条理や圧力に虐げられるアルジェリアの女性たちのささやかな抵抗を描いた映画だ。監督のムニア・メドゥールは長編デビュー作『パピチャ 未来へのランウェイ』でも抑圧された社会に生きる女性たちの戦いを描いており、彼女の強いメッセージ性がうかがえる。
バレエダンサーを夢見るフーリア。しかし、突然すべてが壊れてしまう。踊ることもできず、声も出すこともできなくなった彼女は絶望の淵へと追いやられてしまった。フーリアだけでなく、今作に登場する女性たちは皆、悲しい過去を背負って生きている。背景には内戦の傷が癒えぬ現代アルジェリア社会の問題やイスラム原理主義があり、一筋縄ではいかない状況だ。それでも彼女たちは自由を求めて、生きることをやめない。ひとりでは立ち向かえなくても、仲間がいれば強くなれる。かけがえのない連帯と「私たちはここにいる!」という強い意志を、手話やダンスという体全体を使って表現する彼女たちの姿に感動せざるを得なかった。生身の身体から放たれる躍動感はどんな言葉を尽くして説明されるよりも雄弁なのだ。
また、映像の美しさも素晴らしい。アルジェリアの太陽と海を背景に踊るフーリアの姿や生活感あふれる部屋や自然など色彩豊かに切り取られていて見惚れてしまう。そして、アルジェリアの風景がフーリアたちにとって大切な場所であることを改めて実感し、故郷がよりよい場所になっていってほしいという彼女たちの願いを強く感じた。
fromマリオン
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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