里親としての育児の難しさや夫婦の溝や喪失感の解放を描く『流水落花』が第18回大阪アジアン映画祭のSpecial Focus on Hong Kong 2023で日本初上映!
里親としての育児の難しさや夫婦の溝や喪失感の解放を描く『流水落花』が第18回大阪アジアン映画祭のSpecial Focus on Hong Kong 2023で日本初上映された。
映画『流水落花』…
ティンメイとバン夫妻は養育里親として様々な背景の子供たちを受け入れてきた。他人になかなか心を開かないサム、離婚した両親から育児放棄されたチェン、口蓋裂で自分に自信を持てずにいるファー、心優しいミン、大人を信じられなくなっているガーヘイとガーロンの姉弟、大学生になってもティンメイの家に留まりたいというチョンハン。里子たちと暮らす二人に少なからぬ試練が降りかかる。第三者が現れることで亀裂の入った夫婦の心が、事件と時を経て信頼を取り戻し、幼くして我が子を失くした深い悲しみに対峙し乗り越えていく。何十年と変わらぬ風景の中を散歩するティンメイだったが、別れの時が突然訪れる。
本作では、ティンメイを演じたサミー・チェンが脚本を非常に気に入り、新人監督であるカー・シンフォンをサポートするために無報酬で出演し、2023年香港電影評論学会最優秀女優賞を受賞した。
映画『流水落花』は、3月16日(木)19:00よりABCホールでも上映。
幼くして我が子を失くした深い悲しみに対峙しながら、里親として実の親と暮らせない子供達を育てていく物語。やんごとなき事情により、報酬を得られる里親制度に応募し、審査を経て里親となり子供を受け入れていくわけだが、単純な話ではない。各々の子供が複雑な事情で親元を離れてやってくる。単純に里親を受け入れることは出来ない。上辺だけの親心でお世話をしても、心は通じぬまま。まさに親身になって接してくれるからこそ、本当の家族のような関係性を構築することが出来る。しかし、ある日突然に子供を守れる状態ではなくなったり、いつまでも居てもらうことが出来なかったり、養子縁組を希望しても思い通りにならないことだらけ。それでも様々な環境で育っている子供達を受け入れ続けたティンメイとバン夫妻の決して完全ではない不器用ながらも徹した里親の姿には胸を熱くしてしまった。国は違えど親として抱かざるを得ない気持ちは共通している、と改めて実感する作品である。
- キネ坊主
- 映画ライター
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