8歳の少女を主人公にした喪失と癒やしの物語『秘密の森の、その向こう』がいよいよ劇場公開!
(C)2021 Lilies Films / France 3 Cinema
祖母を亡くし、母親が失踪してしまった少女が、森で不思議な出会いをする『秘密の森の、その向こう』が、9月23日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『秘密の森の、その向こう』…
大好きだった祖母を亡くした8歳の少女ネリーは両親に連れられ、祖母が住んでいた森の中の一軒家を片付けに来る。しかし、少女時代をこの家で過ごした母は何を目にしても祖母との思い出に胸を締め付けられ、ついに家を出て行ってしまう。残されたネリーは森を散策するうちに、母マリオンと同じ名前を名乗る8歳の少女と出会い、親しくなる。少女に招かれて彼女の家を訪れると、そこは“おばあちゃんの家”だった…
本作は、『燃ゆる女の肖像』のセリーヌ・シアマが監督・脚本を手がけ、娘・母・祖母の3世代をつなぐ喪失と癒しの物語をつづった作品。本作が映画初出演のジョセフィーヌ&ガブリエル・サンス姉妹がネリーとマリオンを演じ、『女の一生』のニナ・ミュリス、『サガン 悲しみよこんにちは』のマルゴ・アバスカルが共演。2021年の第71回ベルリン国際映画祭コンペティション部門出品となった。
(C)2021 Lilies Films / France 3 Cinema
映画『秘密の森の、その向こう』は、9月23日(金)より全国の劇場で公開。関西では、9月23日(金)より大阪・梅田のシネ・リーブル梅田や心斎橋のイオンシネマ シアタス心斎橋や京都・烏丸の京都シネマや神戸・三宮のシネ・リーブル神戸で公開。
時空を超えて通じ合う2人の女性による喪失と救いの物語である本作。8歳の少女である主人公のネリーと母親が祖母を失った時、やはり悲しさの重みは違うだろう。母親にとっては、自身の母親である祖母を失い、残された”思い出”を整理しなければならなくなった時、ショックが積み重なっていくしかない。突然、いなくなる可能性は大いにある。そして、不意に現れてしまったのは、ネリーと同じ8歳で、母親と同じ名前を持つ少女。突然にもファンタジー要素が織り込まれたのか、と思ってしまうが、作中では自然な成り行きのごとく描かれていく。ある種の特異な出来事が起こっているが、森の中で起こっていることはシンプルに表現されており、観る者にスッと入り込んでくるような空気感が漂っていた。2人の少女は双子の姉妹が演じており、混乱するかと思ったら、本人達が物語を深く理解した上で繊細に表現していた。前作『燃ゆる女の肖像』の次に再び「生涯の一本」と云われるような作品を手掛けたセリーヌ・シアマ監督。世代を問わず女性の深淵にある多様な”情”を見事に描き切っていた。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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