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人間は共に暮らし、愛情があれば、猫と同じように特別な絆が出来上がる…『劇場版 ねこ物件』綾部真弥監督に聞く!

2022年8月17日

猫付きシェアハウスを舞台に、猫と人とのつながりや新しい家族の形を描いたテレビドラマ「ねこ物件」の『劇場版 ねこ物件』が8月5日(金)より全国の劇場で公開中。今回、綾部真弥監督にインタビューを行った。

 

映画『劇場版 ねこ物件』…

2匹の猫と暮らす30歳の二星優斗。祖父の死をきっかけに始めた猫付きシェアハウス「二星ハイツ」には4人の同居人が暮らしていたが、それぞれ夢を追い新たなステージへと旅立っていった。不動産会社の有美からは二星ハイツの再開を促されるが、乗り気になれない優斗。そんな中、幼い頃に離ればなれになった弟の存在を思い出し、捜し出すことを決意する。その方法は、猫付きシェアハウスと自分の存在を全国にアピールして入居者を募ることだった。そんな優斗をサポートするべく、かつての入居者たちが帰ってくる。そしてある日、加納直人と名乗る入居希望者が現れるが…
主演の古川雄輝さんをはじめ、キャストにはテレビ版のメンバーが再結集。監督は『おいしい給食』シリーズの綾部真弥さんが務めた。

 

当初から「ドラマ30分×10話と映画を作ろう」と企画していた綾部監督。ドラマでは「住人が増えていき、人付き合いが得意でない主人公が社会にふれて成長していく話にしよう。住人は夢を追いかけているので、最後には旅立っていく」という大まかなストーリーを組み立てた。映画に関しては「主人公は、他人と暮らすこと、家族とは何か、と向き合うことで、幼少期に弟がいたことを思い出す。血縁関係がある人間がこの世にいるかもしれない」と思いつき、監督自身も純粋に観てみたくなっていく。劇場公開を迎えた現在は「少し成長した優斗がいる中でストーリーが展開していく作品が出来た」と満足している。ドラマには伏線を散りばめており「映画単独でも楽しんで頂けるんですが、ドラマから観て頂くと、より一層に優斗にとって大事なものがあると気づけるように」と流れを考えて作り込んだ。

 

猫が登場する作品ではあるが、猫の行動を主体にしておらず「あくまでも猫と一緒に暮らしている主人公達が住む家の話にしたい。家族にまつわる話を描きたい」と考えており「コロナ禍の影響は大きい」と実感している。脚本は昨年3月から書き始めて半年の時間をかけており「コロナ禍が社会に大きな影響を与えているので、難しいですよね。家族とのふれあいをためらってしまう。家族の在り方を考えさせられる」と身に染みており「人付き合いが苦手で社会を知らなかった優斗がどうやって猫と共に他人との関係を作り自身を振り返る。現在の社会状況下で心に残る作品にしたい」と取り組んだ。ドラマ各回のタイトルには、竜雷太さん演じるおじいちゃんの格言を用いており「猫に関する諺や格言は沢山あり、リスト化して散りばめている」と説き「大きなストーリーを先に決めて、その中で優斗は毎回で壁にぶち当たるので、どう打開していくか。おじいちゃんとの会話を思い出させている。ストーリーを作り、その中でどのような言葉で乗り越えられるか。そこから良い言葉を見つけてタイトルが出来上がっている」と解説してもらった。

 

劇中に登場する猫達は、訓練をしっかりと受けたプロの猫だけではなく、一般のご家庭にいる猫も登場している。監督自身も猫との付き合い方は撮影しながら勉強していった。「猫だけのカットと人間だけのカットに切り離せないので、人間と猫が絡むシーンは出来る限り頑張って撮っていった」と振り返り「進めていく中で、この猫は機嫌が良いな、落ち着かないな、と状況が分かり、お気に入りの居場所に予め馴染ませておいて、少しずつ準備して積み重ねの上で寄り添いながら撮っていった」と思い返す。単独シーンを撮る時に難しい場合は、後日撮り直すようにして、割り切って撮っており「無理して撮ろうとしたら猫には負担になって撮らせてもらえない。スタッフとキャストも撮影しながら学んでいった。アニマルトレーナーの方に相談し協力いただきながら動いてもらった」と苦労を重ねた。

 

撮影自体は、昨年11月から12月にかけて、ほぼ順撮りで進行しており「1話から順に撮り、次第に住人が増えていく。最初は長井さんに古川君、1人ずつ増えていく」と撮影にもストーリーがあり「ドラマを撮り終わってから映画の撮影に入っている。竜雷太さんのシーンはまとめて撮っていますが、順撮りが出来たので成功した」と手応えを感じている。ロケーションとして用いられたのは、埼玉県坂戸市にある「坂戸名主の古民家」。撮影用に貸し出しされている場所であり「家内にある猫の遊び場は美術さんに作ってもらっている。優斗のキャラクターや猫との接し方を表現するためにも、猫カフェ等から猫を楽しませる方法を参考にして実現していった」と柔軟に手をかけていく。また、不動産屋さんが大事なシーンで登場しており「主ではないので突き詰めてリアリティを追及していないが」と控えめながらも「僕の人生の経験とウチが不動産関係で。実家の母親と伯父が不動産屋さんなんです。母親が大手不動産会社の支店に勤め、伯父が東京の下町にある個人経営の不動産屋さんを営んでいた。事務所での伯父さんの仕事ぶりを見たことがあるので、役立ったかもしれないですね」と話してもらった。全体的には非常に楽しく撮影しており「皆で和気藹々とした雰囲気を映したかったので、マイルドで優しい現場。順調に進んでいました」と安堵している。

 

優斗と猫達の何気ない仕草を大切にしており「猫と一緒にいる画の時、望んだように猫が存在してくれるとは限らない。二度と出来ない奇跡的な瞬間がいくらかある」と挙げると共に「優斗は必ず拍手する。なぜ拍手するのか。おじいちゃんがやっていたから。映画では、よぉく見るとおじいちゃんが拍手している。優斗は気づかないうちに受け継いで、おじいちゃんのように拍手していた」と言及。彼等の姿から「人間は共に暮らし、愛情があれば、猫と同じように特別な絆が出来上がる」とメッセージを込めている。二星ハイツについては「きっと小さなトラブルが家の中でいつも起こっている。でも、必ず美味しいごはんを食べて猫と遊んで、仕事から帰ってきたら家では猫と共にゆったりと過ごす。大きく拡げるのではなく、変わらぬ二星ハイツがあり続けると良いな」と望んでおり、新しい家族の形を届けてもらった。

 

映画『劇場版 ねこ物件』は、全国の劇場で上映中。関西では、大阪・梅田の大阪ステーションシティシネマや難波のなんばパークスシネマ、京都・三条のMOVIX京都、神戸・三宮のkino cinema 神戸国際等で公開中。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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