沖縄県立第二高等女学校から看護のため動員された白梅学徒の証言を集めたドキュメンタリーと再現ドラマで構成された『乙女たちの沖縄戦~白梅学徒の記録~』がいよいよ関西の劇場でも公開!
(C)Kムーブ
わずか18日間の看護教育を受け野戦病院で従事した少女たちに迫る『乙女たちの沖縄戦~白梅学徒の記録~』が8月5日(金)より関西の劇場でも公開される。
映画『乙女たちの沖縄戦~白梅学徒の記録~』は、沖縄戦に看護学徒として動員された「白梅学徒」の真実を、ドキュメンタリーと再現ドラマで描いた作品。沖縄県立第二高等女学校の4年生56名で編成された白梅学徒。それまで青春を謳歌していた10代の少女たちは、わずか18日間の看護教育を受けた後に八重瀬岳の第一野戦病院に配属される。負傷した日本兵が次々と運び込まれ、多くは治療するよりも腕や足を切り落とすしかないという悲惨な状況の中、その手術の手伝いや負傷兵の世話に追われる学徒たち。やがて病院壕にも米軍が迫り、歩けない兵士たちを医師が薬で毒殺、学徒たちも攻撃にさらされ命を落としていく。
本作では、現在90代の中山きくさんと武村豊さんが当時の状況を語り、その証言を基に再現ドラマパートを制作。ドキュメンタリーパートの監督を『ドキュメンタリー沖縄戦 知られざる悲しみの記憶」の太田隆文さん、再現ドラマパートの監督を『ある町の高い煙突』の松村克弥さんが担当した。
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映画『乙女たちの沖縄戦~白梅学徒の記録~』は、関西では、8月5日(金)より京都・九条の京都みなみ会館、8月6日(土)より大阪・十三のシアターセブンで公開。
看護要員として従軍した高等女学校の女子生徒、と聞くと、”ひめゆり”学徒隊のことだと気づく方も多いだろう。中学の修学旅行で沖縄に行った時、「ひめゆりの塔」がこれだということを印象的に覚えている。だが、戦争に従事した女子生徒は、ひめゆり以外も存在していた。本作では、「白梅学徒」に関する真実を、当時を生きた方と、証言を元にした再現ドラマで描いていく。
太平洋戦争において唯一の地上戦が行われた沖縄。沖縄が戦地となった理由も本作では伝えられるが、それを聞くと理解できないわけではないが、憤りすら感じてしまう。一種の人柱のようにすら感じられ、その根底的な考え方は現代も通じているのではないか、と感じてしまった。明確な勝算は無いにも関わらず、あらゆる人間が動員されていく。ひめゆり学徒隊の方々は、短期間の看護教育を経て、野戦病院に配属される。劣悪な環境下、病院とは言い難く、洞窟でしかない。生き延びたことは奇跡としか言いようがない。二度とこのようなことが起きないように本作のようなことは語り継いでいかないと改めて実感する次第である。
- キネ坊主
- 映画ライター
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- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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