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ナチズム台頭前夜な1931年のドイツ、青年の恋と惑いの退廃的な日々を紡ぐ『さよなら、ベルリン またはファビアンの選択について』がいよいよ関西の劇場でも公開!

2022年6月14日

(C)2021 LUPA FILM / DCM Pictures / ZDF / Arte (C)Hanno Lentz / Lupa Film

 

ナチス台頭前夜のベルリンで、作家を志す青年の恋と友情に揺れる姿を描く『さよなら、ベルリン またはファビアンの選択について』が6月17日(金)より関西の劇場でも公開される。

 

映画『さよなら、ベルリン またはファビアンの選択について』…

1931年、ベルリン。時代は狂躁と頽廃の20年代から出口の見えない不況へと移り変わり、人々の心の隙間に入り込むようにナチズムの足音が忍び寄る。作家志望の青年ファビアンは、目的のない無為な日々を過ごしていた。女優を夢見るコルネリアとの恋や、唯一の親友であるラブーデの破滅。世界が大きく変わる予感と不安の中、ファビアンはどこへ行くべきか惑い、焦りを募らせていく。やがてコルネリアは女優の夢をかなえるためファビアンのもとを離れるが…

 

本作は、ドイツの児童文学作家エーリッヒ・ケストナーが1931年に発表した大人向け長編小説「ファビアン あるモラリストの物語」を、『コーヒーをめぐる冒険』のトム・シリング主演で映画化。コルネリアを演じるのは『ある画家の数奇な運命』でもシリングと共演したサスキア・ローゼンタール。監督は、ドイツでテレビ映画を中心に手がけてきたドミニク・グラフ。2021年の第71回ベルリン国際映画祭コンペティション部門に出品された。

 

(C)2021 LUPA FILM / DCM Pictures / ZDF / Arte (C)Hanno Lentz / Lupa Film

 

映画『さよなら、ベルリン またはファビアンの選択について』は、関西では、6月17日(金)より大阪・梅田のシネ・リーブル梅田や京都・烏丸の京都シネマ、7月15日(金)より神戸・三宮のシネ・リーブル神戸で公開。

現代のベルリンから1931年当時へとシームレスに遡っていくオープニングシーン。過去と今は繋がっており、同じことが起こっているんだ、と伝えているようにも感じた。主人公の青年ファビアンは怠惰に日々を過ごしていく。遭遇する出来事はどこか歪で、観客はアヴァンギャルドな映像を見せつけられてしまう。同時に、第一次世界大戦が終わっているが、次の戦争が起きようしている空気感はどことなく感じさせる要素を時折見せてくる。緊張感とは違った感覚を以て、儚ささえ感じてしまう。そんな時代、モラトリアムの真っ最中にいる若者にとっては居心地の悪さしか感じ得ない。

 

本作が1931年の出来事であるならば、3年後にはナチス政権がドイツを掌握してしまう。原作者のエーリッヒ・ケストナーは児童文学作家ではあるが、時代の行く末を感じ取り、成人向けの文学作品として、ファビアンの視点を通してベルリンの荒廃を描いただろうか。ケストナーが自身をファビアンに投影したようには感じずにいられない。されど、ファビアンが当時を実際に生きていたら、誰にも寄り添うことが出来ず、孤独な人生の旅路を歩んだだろうか。じっくりと考察し、現実の世界をしっかりと生きていきたい。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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