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民衆の人達と一緒に拳を掲げて上に登っていく…!『犬王』アヴちゃんと森山未來さんと湯浅政明監督を迎え開幕記念関西凱旋舞台挨拶開催!

2022年5月29日

室町時代に名を馳せた能楽師と盲目の琵琶法師の友情の物語を描く『犬王』が5月28日(土)より全国の劇場で公開。5月29日(日)には大阪・梅田の梅田ブルク7にアヴちゃん(女王蜂)と森山未來さんと湯浅政明監督を迎え、開幕記念!関西凱旋舞台挨拶が開催された。

 

映画『犬王』は、南北朝~室町期に活躍した実在の能楽師である犬王をモデルにした古川日出男さんの小説『平家物語 犬王の巻』を、『夜明け告げるルーのうた』の湯浅政明監督が映像化した長編ミュージカルアニメ。京の都である近江猿楽の比叡座の家に、1人の子どもが誕生した。その子どもこそが後に民衆を熱狂させる能楽師の犬王だったが、その姿はあまりに奇怪で、大人たちは犬王の全身を衣服で包み、顔には面を被せた。ある日、犬王は盲目の琵琶法師の少年の友魚(ともな)と出会う。世を生き抜くためのビジネスパートナーとして固い友情で結ばれた2人は、互いの才能を開花させてヒット曲を連発。舞台で観客を魅了するようになった犬王は、演じるたびに身体の一部を解き、唯一無二の美を獲得していく。湯浅監督がかつてアニメ化した『ピンポン』の漫画家である松本大洋さんがキャラクター原案を手がけ、『アイアムアヒーロー』の野木亜紀子さんが脚本を担当。

 

上映前、劇伴の楽曲とお客様の手拍子によって気持ちが昂る中で、アヴちゃんと森山未來さんと湯浅政明監督が登壇。作品の雰囲気が伝わり”ぶち上がる”舞台挨拶となった。

 

アヴちゃんと森山さんは神戸出身。タワーレコード神戸店にポスターを掲示して頂けることになり「サインさせてもらった。アヴちゃんがデッカく”地元”って。嬉しかったですね」と話す森山さん。直近では「東京でチケットが取れずどうしても観たくて…」と大阪・心斎橋のBIGCATにThundercatのライブを観に来ていた。女王蜂を結成し、叩き上げられてきた場所が関西であるアヴちゃんは「関西は、コメディ・ゴッサム・シティだと思っています。小さい頃から保育園の先生にお話して、『アヴちゃん、オチないの?』って云われました」と振り返り「全員各々でオチがない会話で、オチがないとあかんねや、と察した。性なんですよ、全員に備わっているアプリだ」と思い返す。湯浅監督は、最初の長編映画が『マインド・ゲーム』という大阪を舞台にしていたので「タナカカツキさんやロビン西さんという大阪出身の方と一緒にトークショーをやると『まだキャラは決まんないの?』と云われて」と困ったことを挙げ「キャラが見つかったんで『このキャラでいってください』と。それもけっこう厳しいな、と。音楽を手掛けた山本精一さんも大阪なんで、ずっと大阪の人ばっかり」と大変だった。また、京都を舞台にした作品を手掛けているので、京都は馴染み深い。なお、大阪がスパイスカレーのメッカであることを挙げ「大阪は『カレー事情聴取』っていうイベントがあってよく来ているんですよね」と明かした。

 

作中、犬王と友魚は、観客の感情をぶち上げようとしていく。そこで、ぶち上がった出来事について聞かれ、アヴちゃんは「日々ぶち上がってはいるんですが…」と云いながら「LIVEでぶち上がることが多くて。勿論この映画を観て。昨日、10回目ぐらいに観たんですが、また新しくぶち上がって」とお気に入りであることを告げる。近況報告としては「今、歯の矯正をしていて。歯が大好きなんですね。でも『人よりも歯の動きが遅い』と言われて。『なんでだろう』と思って、レントゲンを撮ったら、普通の人よりも葉の強さが、人間じゃないぐらい強かった(歯の全体が大きかった)」と判明したことを挙げ「人間離れやぁん、と思って。人間離れした役もやっていますし、良いなぁ、と思って、歯医者さんでも静かにぶち上がってました」とユニークなエピソードを語った。森山さんは、再びThundercatのLIVEを観に来た時のことを挙げ「久しぶりにライブハウスに入りました。少しずつ規制が緩く優しくなってきた。LIVEのパフォーマンス自体も凄い良かったですし、久しぶりにむっちゃ揺れてましたね」と振り返る。湯浅監督は「若い時にアニメーターで上手くいかないなぁと思っていた時に、初めて演出の仕事をしたら、めちゃくちゃおもしろくて。観ている人が凄い喜んでいるのを見た時、頭から変な汁がピューっと出たような感じがした」と明かし「それまでは向いていない仕事だと思っていたのが、これはもう天職だなぁと180度変わるようなことがあって、今もその時の勢いで作っていますね」と語った。また、アヴちゃんが「初めて監督が青いところを見たんですよぉ。いつも白いの。今日は青いんですね、って言ったら、そういう時もありますね、って。めっちゃぶち上がりました」と話すと、森山さんも「シャツとニット帽を合わせて着はりますよね」と指摘。湯浅さんは「そういう時もあってね」と照れながらも「最近は人前に出ることが多いので。服がないので、こないだ初めてPARCOに服を買いに行きました。PARCOは俺には関係ない場所だと思っていたので、勇気出して初めて買いました」と打ち明けた。

 

今作の見どころについて、湯浅監督は「犬王がやる舞台は、平家物語をひろって、その新しい話をひろう。しょぼしょぼっとした話が『いや、俺はそんなことはない。ずっと負けないぞ、俺はどうにかしてやる』という応えのストーリーになっているので、歌の中で歌詞も注目してもらえれば、力強く上っていく構成の話になっています」と述べ「底辺から犬王達は頑張って上に登っていくんですね。そういう時に、民衆の人達と一緒に拳を掲げて上に登っていく感じに一緒になれれば、盛り上がれると思うので、是非歌詞とか注目しながら観てもらえると良いな」とアピール。ラッシュの状態から10回程度、完成した状態でも何度も観ているアヴちゃんは「うわぁ、凄いなぁ。なんでこう思うんだろう」と思っていたが、昨日、鑑賞後に湯浅監督と話し「生えている草の種類にも意味があった。群衆の中の一人一人にも実は、こういう生き方をしているから、こういう状態があるんだ、と。全部に裏付けがあったんですね」と驚愕。「モンスター映画だぁ、ヤバぁ、クラったぁ」と実感しながらも「まだまだ分かりきれていない映画のことを思いながら私は何度も観ているんだなぁ」と自身の探求心にも気づかされていく。本作に対し「1回目は凄く新鮮に『うわぁ、ヤバぁ』ってなると思うんですけど、もし良かったら沢山観て頂いて、好きなポイントを沢山探求して頂けると嬉しいな」と期待している。

 

手掛けた楽曲について、アヴちゃんは「レペゼン室町ということで、初めて室町時代について書いたんですけれども、歌詞一つにとっても湯浅監督と野木さんが点で置いてくれていたメモやポエムを紡いで書き上げることが出来た」と達成感があり「女王蜂というバンドでやっていることと違って声だけの出演だったので、最初は『大丈夫かなぁ』と思ったことはあったんですが、未來氏と一緒にやったことや大好きな湯浅監督の作品に出たことに対して肩をぶん回していたので、全体のうねりを楽しんで頂ければ音楽は嬉しいかな」と充実していた。湯浅監督は、レコーディングについて振り返り「楽しかったですね。ガンガンいくんで。アヴちゃん中心でドンドンと。次のテイクはこれを、と。本当に良いテイクが沢山あったんですけど、入れるのは1テイクだけなんですけど」と申し訳なさげ。森山さんは「僕のレコーディングの時も、湯浅さんがOKを出すのではなかったですね。まずアヴちゃんがOKかどうか」と告げると、アヴちゃんは「どれくらい喧嘩売れているかなぁ、ぶち切れているかなぁ、っていうテイクを選んで紡ぎましたね」と独自の視点を説く。湯浅監督が「レコーディングといっても、LIVEの雰囲気を作ってレコーディングしているんですね。ステージング的な雰囲気をお任せしてやって頂いていますね」と述べると、森山さんは「アヴちゃんの存在そのもの、つまり犬王。与えられた楽曲や歌詞に対して歌で返すというよりも、歌詞を自分で書かれたり譜割りを大友さんと打ち合わせしながら作っているので、かなりアヴちゃんのフィジカルがそのまま乗っかっているのが観ていて分かると思います」と解説。演技での声に関しても「本当に七色の声を持っているので、幼少期から大人までずっと演じているので、声の使い分けがハンパない。それは今までの努力の賜物と元々持っているポテンシャル、様々なものを総動員していらっしゃいます」と絶賛すると、アヴちゃんは「全キャストがうねってて、この私のうねりを一番吸い上げてくれて、バディを汲んでくれた未來氏なので。ここの仲良しな神戸出身で10年来の仲良しな友達の関係性のままバディのままアニメーションでやれた」と満たされている。湯浅監督は、森山さんによる歌唱についても「注目してほしいですね。ガッツリいっているんで。特に冒頭に技があるんですけど、普通は根本的な謳いから語りに返っていくんですが、かなり難しい注文だったんですけど」と打ち明けながら「その前に琵琶や歌を練習して下さったので、割と数回でスラッと出来たんですが、簡単なことではないところも観てほしいですね。上手い歌い回しがあり、歌から語りになっていく。無茶振りですけど」と解説。森山さんは「その時は、どういう音楽になりどういう歌を唄うのか分からなかったんですが」と云いながらも「琵琶法師という設定だったので、先生を紹介して頂いて練習していたんですよね。平家物語を琵琶法師さん達はひろいあげて日本全国を行脚しながら物語を民衆の人達に伝えていったり奉納していったりしていたので、歌であり語りでありということが渾然としているのが琵琶法師さんの在り方なんですよね。それを練習できていたのが良かったのかな」と自身の学びにしていた。

 

最後に、アヴちゃんは「今は自分の名前を名乗ったりアカウントで名乗ったり、好きなことを発信したりするのは、とても気軽なことですが、今着ている服や使っている言葉一つにしても、様々な人達が紡いできたものが残っていただけなので、残っていなかったものがこんなにも沢山ある中で、こんな人が名前だけ残っていて、ここまで解釈すると、こんなおもしろいカオスが出来るんだな」とふまえ「映画体験として、この映画のことをモンスターだと謳っていますし、このモンスターの中核の一番ヤバいモンスターとして今回、犬王として呼ばれたんだと思って、思い切りやらせて頂きました。何度も観てほしい、と同時に、帰り道に湧いてくるものがあれば、参加して良かったな、と心から思えます」と感慨深く伝えた。森山さんは、本作を”フェス映画”と呼び「ここ数年なかなかこうやって人と会ったり皆で場所を共有したり声を出し合ったりなかなか難しい状況だったのが、少しずつ人と出会って実際にフィジカルでふれあって、みたいなことをこれから皆さんがどんどん希求していると思いますし、そのような動きにもなっています。その幕開けのような映画になるのではないか。ぜひ体で浴びてもらえればな」とメッセージ。湯浅監督は「歌詞を聴いた方が楽しめるんじゃないか、等と細かいことを言いますけど、楽しんでもらえると良いなぁと思っています。いつも映画を作るとき、解放されたいなぁと思っているので、映画を出来るだけ楽しんでもらえたらなぁ」期待しており「古川さんが書かれた平家物語の新訳は琵琶法師達が伝えたお話で、琵琶法師達や能楽師達の話を書いたのが、この『犬王』です。室町時代の名前が残っていない人達にアヴちゃんや森山さんがまた命を与えてくれたような感じの映画なので、是非今いる人達のように楽しんで観てもらえると良いなぁ」と思いを込め、舞台挨拶は締め括られた。

 

映画『犬王』は、5月28日(土)より全国の劇場で公開中。

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映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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