2022年5月15日に100歳となるはずであった瀬戸内寂聴さんに17年間密着したドキュメンタリー『瀬戸内寂聴 99年生きて思うこと』がいよいよ劇場公開!
(C)2022「瀬戸内寂聴 99年生きて思うこと」製作委員会
僧侶と作家のふたつの顔を持つ瀬戸内寂聴の生誕100周年を記念したドキュメンタリー『瀬戸内寂聴 99年生きて思うこと』が5月27日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『瀬戸内寂聴 99年生きて思うこと』は、2021年11月に99歳で没した作家で尼僧の瀬戸内寂聴さんのドキュメンタリー。大正・昭和・平成・令和と4つの時代を生きた瀬戸内寂聴さんは、駆け落ち、不倫、三角関係など自らの体験を私小説のかたちで発表し、世間からバッシングを受けながらも、作家としての不動の地位を確立した。51歳で出家してからは僧侶と作家の2つの顔を持ち、2020年1月まで毎月一回行っていた法話には全国から人が訪れるなど晩年まで大きな人気を集めた。女性であるということを忘れずに人生を楽しむ彼女の生きざまを通して、不寛容な空気が充満する現代社会において人間の生命力とは何か、いかに生き、老いていけばよいかというヒントを探る。監督は、17年間にわたり瀬戸内寂聴に密着して撮影を続け、2015年に放送されたNHKスペシャル「いのち 瀬戸内寂聴 密着500日」のディレクターも務めた中村裕さん。
(C)2022「瀬戸内寂聴 99年生きて思うこと」製作委員会
映画『瀬戸内寂聴 99年生きて思うこと』は、5月27日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のテアトル梅田、京都・烏丸御池のアップリンク京都、神戸・三宮のシネ・リーブル神戸等で公開。
瀬戸内寂聴さんの姿をLIVEで一度だけ観たことがある。2013年7月13日に東日本大震災復興支援のため行われた『FREEDOMMUNE 0 <ZERO> ONE THOUSAND 2013』での説法だ。
オールナイトイベントの中で行われ、異様な盛り上がりがあったことを覚えている。説法で語られたことは、寂聴さんならではの話し方で、観る者の気持ちを昂らせ、今後の人生に良い意味で影響を与えてくれる内容であった。メッセージが十分に詰まっているので、ある種のマイペースで展開されながらも、誰もが拍手を送っていたことを今も覚えている。どれだけ貴重な機会だったか、今改めて実感させられた。
本作は、寂聴さんに17年間にわたり瀬戸内寂聴に密着して撮影を続けた中村裕さんだからこそ撮れた映像がたっぷりと収録されている。瀬戸内寂聴さんと聞くと、尼僧のイメージが強かったが、幾冊も出版されている小説について知れば知るほど、かつては世間からバッシングを受けていたんだよな、と改めて知った。人生の酸いも甘いも噛み分けてきたからこそ、尼僧の姿があるんだよな、と気づかされる。されど、教えを乞う方に対して、尼僧になることを勧めない姿を見てしまえば、軽やかな言葉の中に人生の重みを感じてしまう。長く生きてきたからこそ発することが出来る言葉がある。
2021年11月に99歳で人生を全うされたことは周知の事実。中村監督が可能な限り最後まで追い続けた軌跡が本作には収められている。生命力にあふれた寂聴さんの姿から、生きて老いていくことの意義を少しでも掴むことが出来たら、未来は明るいと信じられるかもしれない。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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