親友の死を受け入れられずにいる女性が、深い悲しみを抱えながらも前に踏み出そうとする姿を描く『やがて海へと届く』がいよいよ劇場公開!
(C)2022 映画「やがて海へと届く」製作委員会
憧れでもあった親友の死を受け入れられずにいる主人公が、悲しみを抱えながらも、未来への一歩を踏み出そうとする姿を描く『やがて海へと届く』が4月1日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『やがて海へと届く』…
引っ込み思案な性格で自分をうまく出すことができない真奈は、自由奔放でミステリアスなすみれと出会う。2人は親友になったが、すみれは一人旅に出たまま突然姿を消してしまう。すみれがいなくなってから5年、すみれの不在をいまだ受け入れることができずにいる真奈は、すみれを亡き者として扱う周囲に反発を抱いていた。ある日、真奈はすみれのかつての恋人である遠野から彼女が大切にしていたビデオカメラを受け取る。カメラに残されていたのは、真奈とすみれが過ごした時間と、真奈が知らなかったすみれの秘密だった。真奈はもう一度すみれと向き合うため、すみれが最後に旅した地へと向かう。
本作は、彩瀬まるさんの小説を岸井ゆきのさん主演、浜辺美波さんの共演で映画化。真奈役を岸井さん、すみれ役を浜辺さんが演じるほか、杉野遥亮さん、中崎敏さん、鶴田真由さん、中嶋朋子さん、新谷ゆづみさん、光石研さんが脇を固める。監督は『四月の永い夢』『わたしは光をにぎっている』の中川龍太郎さんが務めた。
(C)2022 映画「やがて海へと届く」製作委員会
映画『やがて海へと届く』は、4月1日(金)より全国の劇場で公開。
中川龍太郎監督は、美しい映像と共に感情を搔き立てていくエモーショナルなストーリーが印象的な作品を多く手掛けている。本作においては、主人公の真奈が忘れられない親友のすみれが遭遇した避けられなかった出来事について、幻想的な世界観を以てアニメーションによって表現されていた。耐え難い出来事について、作中の台詞や真奈が訪れる場所について描いており、直接的に描くには、いたたまれないことを、人の想いと命の循環を印象的に表現し、唯一無二の世界観を作り出していく。
真奈とすみれは、お互いが憧れに近い感情を直接的には表現できず不器用でありながら、強い絆で結ばれた親友同士以上の関係性を以て描かれている。ある出来事によって親友を突然失ってしまった真奈について、岸井ゆきのさんが、芯のある演技を以て挑んでいることが印象的だった。対して、すみれを浜辺美波さんが演じており、自由奔放でありながらもブレない心を持っており、不思議な魅力を放っている。演じた役を入れ替えてしまうと成立しない、各々にとってピッタリのキャスティングだと気づかされた。
決して見つけ出すことは出来ないであろう、失ってしまった友人を探す旅。彼女が残してくれたものは実は意外と身近な場所にあるんだよ、と気づかせてくれる。誰しもの心に寄り添ってくれる中川龍太郎監督ならではの作品を大いに堪能してほしい。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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