3年以上の歳月を掛けて、イラク、クルディスタン、シリア、レバノンの国境地帯を撮影した『国境の夜想曲』がいよいよ劇場公開!
(C) 21 UNO FILM / STEMAL ENTERTAINMENT / LES FILMS D’ICI / ARTE FRANCE CINEMA / Notturno NATION FILMS GмвH / MIZZI STOCK ENTERTAINMENT GвR
イラク、クルディスタン、シリア、レバノンの国境地帯に暮らす市井の人々を、3年以上の歳月をかけて撮影した『国境の夜想曲』が2月11日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『国境の夜想曲』は、『ローマ環状線、めぐりゆく人生たち』でベネチア国際映画祭の金獅子賞、『海は燃えている イタリア最南端の小さな島』でベルリン国際映画祭の金熊賞と、それぞれドキュメンタリー映画で最高賞を受賞しているジャンフランコ・ロージ監督が、3年以上の歳月をかけ、イラク、クルディスタン、シリア、レバノンの国境地帯で撮影したドキュメンタリー。9.11米同時多発テロやアラブの春、そしてアメリカのアフガニスタンからの撤退。さまざまな情勢によって巻き起こる侵略、圧政、テロリズムなどにより、多くの人々が犠牲となり、数多の痛みに満ちた土地を、ロージ監督は通訳も伴わずにひとりで旅をし、土地に残された母親や子ども、若者たちの声に耳を傾ける。母親たちの哀悼、子どもたちの抱える癒えない痛み、精神病院の患者たちによる政治の無意味さについての演劇など、ロージ監督が旅の中で見聞きしたものを通し、暗闇の中に一条の希望を見いだし生きようとする者たちの姿を浮かび上がらせる。
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映画『国境の夜想曲』は、2月11日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のテアトル梅田、京都・烏丸の京都シネマ、神戸・三宮のシネ・リーブル神戸で公開。
イラク、クルディスタン、シリア、レバノンの国境地帯。民族同士の戦争含め、古くから当時の情勢によって巻き起こる侵略、圧政、テロリズム等により、多くの人々が犠牲となり、数多の痛みに満ちた土地となってしまった。『海は燃えている イタリア最南端の小さな島』に続いて、ジャンフランコ・ロージ監督のカメラは、淡々としたテンポで捉えていく。そこにあるのは、現代を象徴するかのような分断だけが映っているものではなかった。彼等が歩んでいく希望の光がある未来、新たな人生の朝が伺える姿がある。至高の作品として仕上がっていた。
かつて戦場となっていた土地の姿が映し出される本作。まだ何も変わらない状態が続くかもしれない。だが、いつかは平和で平穏な人々の営みが再びやってくる可能性がある。明るい未来が訪れる前の姿を「夜想曲」として映し出す。”朝”が来ると想像できるように映し出すものの一つとして、本作では、精神病棟での演劇に励む患者達の姿があった。それぞれに生まれ育ってきた土地で過酷な経験を経て精神病棟に入院してしまったかもしれないが、改めて歴史を知り、自らが演じる姿には大いに希望を感じてしまう。彼等が演じている際の表情にこそ未来があった。もし可能なら、数年後の彼等の姿を再びスクリーンを通して眺めてみたいものだ。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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