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精神的に本人しか見えないものが映像として映っていくのがおもしろい…『彼女はひとり』主演の福永朱梨さんと中川奈月監督に聞く!

2021年11月19日

自殺を図るも生還した少女が、原因を作った幼馴染に孤独な復讐をするさまを描く『彼女はひとり』が関西の劇場でも11月19日(金)から公開。今回、主演の福永朱梨さんと中川奈月監督にインタビューを行った。

 

映画『彼女はひとり』は、インディーズ映画界の登竜門として知られる田辺・弁慶映画祭の2019年(第13回)コンペティション部門で、主演の福永朱梨さんが俳優賞を受賞した作品。橋から身を投げて自殺を図ったものの、死ぬことができずに生還してしまった高校生の澄子。幼なじみの秀明が教師の波多野とひそかに交際しているという秘密を握っていた澄子は、煩わしい日々が続く中で、その秘密をネタに秀明を脅迫し始めるのだが…
監督の中川奈月さんが立教大学大学院映像身体学科の修了制作として手がけ、脚本の完成度の高さから、黒沢清監督作品などを多数担当してきた撮影監督の芦澤明子さんが参加している。

 

「私は映画を作ります」と研究目標を定め、立教大大学院映像身体学科に入学した中川監督。当初から「ホラー寄りの作品を撮りたい」と願っており「精神的に本人しか見えないものが映像として映っていくのがおもしろい。幽霊の存在に追い詰められて、主人公が情動的な行動を起こす作品を作りたかった」とイキイキと話す。とはいえ「復讐に至ることが物語の核として作っている。最初はホラー描写に凝ってしまい、それだけではおもしろくない」と気づき「彼女自身は様々な人から愛情が外れていく。改稿しながら、女の子のドラマ性を強くして出来上がっていきました」と明かす。本作は修了制作として手掛けており「作品化に辿り着くまでは長い道のりがあり、完成して本当に良かったです」と感慨深い。

 

撮影前に芦澤明子さんが参加することが決まり、告知文に記載した上で出演者を募った。「この主役は演技がうまい人じゃないと務まらないよ」と指導教員の方から云われていたが「来て頂いた福永さんとは初めて会いましたが、澄子としての背景を感じる方として良かった」とひと安心。オーディションを受ける前から脚本が公開されており、読んだ上で応募した福永さんは「自分と離れている存在とは感じず、無理なくスッと入れました。オーディションでも完全に澄子として参加し監督に怖がられました」と告白。中川監督は「全然笑わなかった。素の状態を全く出してくれない状態で登場されたので、本人も怖い人なのかな」と困惑した。幼なじみの秀明役については金井浩人さんを選んでおり「金井さんは、しっかりしていそうな見た目の人で、浮ついた印象がない。普通に見ていると、この人はちゃんとした人だろうな、というイメージを持ちつつ、そういう人が先生と関わっていたら嫌だな、と感じさせてくれそうな人だった」と説く。福永さんは「共演相手として演じやすい」と感じており「澄子がイジメればイジメるほど反応してくれてた。楽しくて『自分達は芝居の息が合うんだね」と話していた。こんなに息の合う役者と出会ったのは初めて」と驚いた。

 

プロのカメラマンとの仕事が初めてだった中川監督。芦澤さんと事前に打ち合わせを行い「カット割を決めないで当日決めましょう」と撮影の方針を決めた。撮影現場に入るも、最初は何がなんだか全然分からず「芦澤さんにカット割を決めてもらい、必死についていきました」と打ち明ける。とはいえ「役者さんがおもしろかったので、見ている立場としては楽しかったですね」と少しずつ初めての現場に馴染んでいく。役者さんの動きをどう使うのか、芦澤さんに教わり「カット割をあなたもやりなさい」と云われ、アドバイスを受けながら、撮影を進めていった。なお「ロケーションがおもしろい」と褒めてもらっており「マンションの造形が珍しかった。カメラに収められる場所を探して、撮ってもらいました。要所要所でどう映えるか教えてもらいました」と作品の資質を高めることにも繋がっていく。また、河原では昼・夜で撮影しており「役者さんの動きが最優先。おもしろくなるように毎回探ってくれました」と感謝している。福永さんにとっても心地よい現場となり「芦澤さんは、カメラリハーサルをしながら、動きのおもしろさを評価してもらい、決めてもらった。細かい演技を決めず、自由にやらせてもらった」と演じやすかった。

 

全ての撮影が終わり、映像をつなげてみたが「これが作品になるのか私は分からなくなっていった」と告白。編集作業では、指導して頂いた方も次第に困惑してしまい、数人ではあるが外部の方にも見てもらった。「台詞を長めに書いてしまっていたので、演出していても、心が離れていってしまうシーンがいくつかありました」と打ち明け「作品をどれだけスッと受け入れられるか。見やすいようにカットしたところがあります。最終的に作品として繫げてみたら、スッと見やすいようになり60分の作品になりました」と苦労を重ねた。完成した作品を観ながら、福永さんは、澄子が実在したら、と考えてみると「友達になれるかなぁ。ただ単に人を傷つけている子ではないと思うので、直接的に親切にすると嫌がるから、気づかないところでスッと助けてあげたいな」と寄り添った。なお、『』というタイトルについて、中川監督は「直接的で、ストレート。そのまま本質を付いたタイトルだなぁ、と思っています。難しいタイトルを考えられないので、簡単で分かりやすく言えるタイトルだったかな。『彼女はひとり』にしてみたらしっくりと来た。難しく考え過ぎずに考えたタイトルです」と打ち明ける。今後は「エンターテインメントに舵を切った作品を作りたい」と考えており、現在は、ストーリーのプロットを検討中で「一度は、男性を主人公にして作りたい、と思ったが、女の子が主人公となるストーリーに戻ってきてしまった。澄子とは目つきが違った子の話を書けたらいいかな。孤独の中で誰かとの繋がりを探そうとする話にしたいな」と未来を楽しみにしている。

 

映画『彼女はひとり』は、、関西では、11月19日(金)より京都・出町柳の出町座、11月20日(土)より大阪・九条のシネ・ヌーヴォで公開。また神戸・元町の元町映画館でも近日公開。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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