社会学者で人気作家の女性とアメリカ南部で過酷な労働を強いらている女性の姿を描く“パラドックス・スリラー”!『アンテベラム』がいよいよ劇場公開!
(C)2020 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.
公私ともに順風満帆な日々を送っていた女性と、アメリカ南部のプランテーションで過酷な労働を強いられている女性の姿を描く『アンテベラム』が11月5日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『アンテベラム』は、異色スリラー。人気作家でもあるヴェロニカは、博士号を持つ社会学者としての顔も持ち、やさしい夫と幼い娘と幸せな毎日を送っていた。しかし、ある日、ニューオーリンズでの講演会を成功させ、友人たちとのディナーを楽しんだ直後、彼女の輝かしい日常は、矛盾をはらんだ悪夢の世界へと反転する。一方、アメリカ南部の広大なプランテーションの綿花畑で過酷な重労働を強いられている女性エデンは、ある悲劇をきっかけに仲間とともに脱走計画を実行するが……。
本作では、『ムーンライト』『ドリーム』のジャネール・モネイが境遇の異なるヴェロニカとエデンの2人の人物を1人で演じている。製作に『ゲット・アウト』『アス』のプロデューサーであるショーン・マッキトリックが携わった。
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映画『アンテベラム』は、11月5日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田の大阪ステーションシティシネマや難波のTOHOシネマズなんば、京都・二条のTOHOシネマズ二条、神戸・三宮の神戸国際松竹などで公開。
冒頭から長回しのロングショットを経て映し出されるのは、1861~1865年のアメリカ南北戦争前(アンテベラム)における南軍がアフリカ系アメリカ人を虐げている頃だと思わせる映像。白人に対して苛立ちしか感じさせない映像であり、いつまでこのような映像を見せられるんだ、と不快感を感じずにはいられなかった。すると、機転の利いた表現を用いて。現代のアフリカ系アメリカ人の女性である社会学者が明確に権利を訴える映像を映し出す。ブラック・ライブズ・マター運動を経た後の現代アメリカであるように伺える。2つの時代を映し出すことで、結局、アメリカはいつの時代も共通する問題を抱えていると訴える、まさに今観るべき作品だと感じさせていく。されど、かつての時代を映し出されると、辛くてどうしようもないなぁと思っていたら、とあるものが映し出され、アレ?どういうこと?と疑問を抱き、結局、何を見せられているの!?と混乱は混迷を極めていく…
これは、巧みな脚本の勝利である。ポスター等に書かれている”パラドックス・スリラー”。こんなジャンル映画の言葉が元々あったっけ??と思いながら観始めたが、なるほど、そういうことか。矛盾となる要因を見事に見せている。これは大いにネタバレ厳禁な作品だ。『ゲット・アウト』『アス』のプロデューサーが携わっており、所謂ジャンル映画と社会問題を絡ませ、エンターテインメント作品に仕上げる手法として新たな産物だと感じる。多用されてしまうとおもしろくなくなるが、時折このような想定外の要素がある作品を存分に楽しみたい。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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