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暴走牛VS村人!精肉店から脱走した暴れ牛が村中をパニックに陥れ人間同士の醜い争いに発展!『ジャッリカットゥ 牛の怒り』がいよいよ劇場公開!

2021年7月13日

(C)2019 Jallikattu

 

密売の罪で追放された荒くれ者と密告した男、ひとりの女の存在が、村中を暴れ回る水牛を通して凄惨な末路を迎えていく様を描く『ジャッリカットゥ 牛の怒り』が7月17日(土)より全国の劇場で公開される。

 

映画『ジャッリカットゥ 牛の怒り』は、怒り狂う暴走牛と1000人の村人たちが繰り広げる戦いを描いたインド発のパニックスリラー。南インド、ケーララ州のジャングルにある村。冴えない肉屋の男アントニが1頭の水牛を屠ろうとすると、命の危機を察した牛は怒り狂って脱走する。肉屋に群がっていた人々は慌てて追いすがるが全く手に負えず、暴れ牛は村の商店を破壊し、タピオカ畑を踏み荒らす。恋心を寄せるソフィに愛想を尽かされたアントニは、牛を捕まえてソフィに見直してもらおうと奔走。村中がパニックに陥る中、密売の罪で村を追放された荒くれ者クッタッチャンが呼び戻されるが、アントニとクッタッチャンはかつてソフィを巡っていがみあった仲だった。牛追い騒動は、いつしか人間同士の醜い争いへと展開していく。

 

本作では、リジョー・ジョーズ・ペッリシェーリ監督が、類まれな視覚的トリックとアイデアを駆使して作品を彩る。出演はアントニ・ヴァルギースら。第93回アカデミー賞国際長編映画賞にインド代表として選出された。

 

(C)2019 Jallikattu

 

映画『ジャッリカットゥ 牛の怒り』は、7月17日(土)より全国の劇場で公開。関西では、7月17日(土)より京都・烏丸御池のアップリンク京都、9月9日(木)より大阪・九条のシネ・ヌーヴォで公開。また、神戸・元町の元町映画館で公開。

ポスタービジュアルやキャッチコピーからして強烈なインパクトを放つ本作。あらすじを読み、牛追いパニック・スリラー映画?何だそれは!?と困惑した人も多いだろう。タイトルの「ジャッリカットゥ」とはインドの伝統的な牛追い競技を意味するが、一匹の水牛をめぐって村中が大騒ぎする様子はまさに“お祭り”さながら。あらゆる説明が野暮に思えるほどの映像表現で、その看板に偽りなしの内容になっている。

 

冒頭、一日の始まりと共に物語は幕を上げた。夜明け前の自然と屠殺シーン、そしてあっという間に肉となり売られていく牛。生と死の対比が、後に逃げ続ける牛と、追いかける群衆の関係性を印象づける。アニマトロニクスを駆使した牛は作り物とは思えないリアルさ。神々しい程の存在感を放っており、混沌や怒りを象徴している。舞台となった南インドの熱気が画面越しに伝わってくるような生々しい映像や
研ぎ澄まされたサウンドが観るものの不安を掻き立て、一種の恐怖を生み出していく。言い換えるならば傍観者ではいられない緊張感に近い。物語は、牛を追う人々の本性を露わにしながら怒涛のラストへとなだれ込むが、塊となった人々が一つの大きな生き物のように蠢く様子はまさに「獣」そのもの。追うものと追われるものの関係がどこかで境目を無くしたように、観る者と観られる者の関係性も曖昧になっていく。鑑賞中、「獣」の塊の中に自分も含まれているような感覚に陥った。

fromマエダミアン

 

序盤のカメラワークは男達の無様さを覗き見しているかのように捉えていく。村人の目線で鑑賞すれば良いのかと思いきや、後半に進むにつれて撮り方に統一感がなくなってくる。しかし、撮り方に統一感がないことこそ、本作の意図を感じる部分だ。人間達の狂気をヒキで見せ、冷静さを観客に与えたかと思いきや、次の場面では、村人の目線から視覚的にも聴覚的にも狂騒の渦に放り込まれてしまう。冷静と狂乱を繰り返した先には、牛なんて二の次になった「男達の欲と自尊心をかけた醜い争い」を楽しんでしまっていた。もはや感覚が麻痺せざるを得ない。ラスト20分の狂気は、退廃的でありながらもカルト的要素もしっかりと含んでおり、観る人によっては救いとなりかねない麻薬的な側面を感じた。絵面だけであれば、まさにゾンビの登場しないゾンビ映画といえば言い得て妙である。

fromねむひら

 

きたぞこの感じ!何なんだ!これは!冒頭から終始流れるケチャ一つ見ても、人々の生活音から、荒い息、叫びへと変化し、物語の感情の起伏に合わせ、ボルテージを着々と上げていく。サメ映画等で垣間見るモンスターパニックの様ではあるが、相手は一匹の水牛!一見勝てそうだけれど、恐ろしい…この妙なリアル感が程良い。一方、水牛に向かっていく群勢!彼らの数による力に、画面からの圧が強過ぎる!村文化に潜む怖い要素、各々の欲望がどんどんと溢れ出し、人間達が狂い、獣になっていく姿を眺めていると。途中から水牛側に感情移入してしまう!さらに、どさくさに紛れインドの様々な文化を叩きつけてくる本作。また新しいインド映画を知ってしまった…迫力満点、いや、”迫力の暴力”ともとれる凄みのある絵と、狂気の”ケチャ”を是非、映画館で味わって頂きたい!

from関西キネマ倶楽部

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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