マックス・リヒターの8時間以上に及ぶコンサート追ったドキュメンタリー『SLEEP マックス・リヒターからの招待状』がいよいよ劇場公開!
(C)2018 Deutsche Grammophon GmbH, Berlin All Rights Reserved
観客が8時間以上に渡って眠りながら音楽を聴くライブ「SLEEP」の全貌に迫ったドキュメンタリー『SLEEP マックス・リヒターからの招待状』が3月26日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『SLEEP マックス・リヒターからの招待状』は、『メアリーとエリザベス ふたりの女王』『アド・アストラ』『メッセージ』等、数多くの映画音楽も手がけた音楽家マックス・リヒターが企画した「眠り」をテーマにしたコンサート「SLEEP」を追ったドキュメンタリー。真夜中に開演し、終演時間は明け方まで。会場に並べられたベッドに横たわる観客たちが聞くのは、眠っている間に聞くために作られたリヒターの「SLEEP」ライブ演奏だ。8時間以上におよぶライブ中、本当に眠ってしまっても、会場を歩き回ることも自由というこのライブは、ロサンゼルス野外のグランド・パークやシドニーのオペラハウス、アントワープの聖母大聖堂といった世界各地のシンボリックな場所で開催され、大きな話題となった。本作では観客に新たな音楽体験を提示したこのコンサートの全貌と裏側、そしてリヒター自身の素顔に迫っていく。
本作の監督は『アイ・アム・タレント』をはじめ、U2のボノを題材にしたテレビドキュメンタリーなどを手がけたナタリー・ジョンズが務めた。また、公私にわたるパートナーであるユリア・マールが撮りためたリヒターのプライベート映像等も収められている。
(C)2018 Deutsche Grammophon GmbH, Berlin All Rights Reserved
映画『SLEEP マックス・リヒターからの招待状』は、3月26日(金)より大阪・梅田のシネ・リーブル梅田と京都・烏丸御池のアップリンク京都、4月9日(金)より神戸・三宮のシネ・リーブル神戸で公開。
マックス・リヒターはクラシックに電子音楽や環境音楽を組み合わせたポスト・クラシカルを代表する作曲家。音楽に詳しくない人でも『メッセージ』のオープニングとエンディングに流れる「On the Nature of Daylight」など知らず知らずのうちに彼の音楽に触れているかもしれない。偉大な作曲家であるマックス・リヒターが眠りをテーマに世にも珍しいコンサートを開催した様子を捉えたのが本作だ。
普通、コンサートといえば目の前にいるアーティストの演奏を観客が熱心に聞く。しかし、マックス・リヒターはコンサートの概念を覆した。会場にはベッドが用意され、観客は8時間に渡る超大作「Sleep」を聞きながら心地よく眠りにつけるようになっている。勿論じっくり演奏を聞いてもいいし、会場を自由に歩いて物思いにふけってもいい。せわしない日常や堅苦しい縛りから解放された観客達は眠りという神秘的な時間の中で一体となる。まるで子宮の中にいるかのようだ。美しい夜の情景と共に描かれるライブの模様はとても荘厳であると同時に心が落ち着く。そして、深夜にスタートしたコンサートが終わり、朝日に包まれた会場にいる観客達のすっきりとした表情がとても羨ましく思えた。もしまた眠りのコンサートが開催されたなら是非とも参加したい。
また、科学的な見地を取り入れながら音楽と眠りの調和を目指し、加速度的に進み続ける日常への反抗として作られた「Sleep」の制作秘話やコンサートの舞台裏、実は苦労人だった下積み時代のエピソード等、知らなかったマックス・リヒターの人となりを知ることが出来てとても興味深かった。是非、映画館で彼の美しい調べを堪能してほしい。なんなら今作を見ながら映画館で寝るというのもアリだ。
今作を見てマックス・リヒターを好きになった人は是非とも彼のアルバムを手にとってみてほしい。「On the Nature of Daylight」が収録された『The Blue Notebooks』と「November」が収録された『Memoryhouse』は本当に素晴らしく、是非聞いてみてもらえたら幸いだ。
fromマリオン
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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