日本でも２０１７年に公開されたイタリアのコメディ映画『おとなの事情』。「スマートフォンのロックを解除し、届く電話やメールの内容を全員に公開すること」という基本的なルールを用いたゲームを繰り広げる低予算映画は、まさに人間の裏側を炙り出そうとする面白い作品であった。イタリアで公開された後は、世界１８ヶ国でリメイクされ、日本の劇場でも韓国版の『完璧な他人』が公開されたり、Netflixにてフランス・ベルギー版の『ザ・ゲーム 〜赤裸々な宴〜』が配信されたりしている。そんな状況で日本版リメイク作品を作るならどうするか。基本的なキャラクターの設定やストーリーテリングは同じながらも、知られざる関係性を盛り込んでいた。

そもそもがイタリアン・コメディであるため、際どい表現をどうするか気になったが、見事に再現していて驚いた。よくぞ日本の俳優にここまで演じさせたな。また、多様性に関する表現についても思い切っていた。一歩間違えれば炎上しかねないギリギリのラインがある。Netflix限定配信作品になってもおかしくない。数々のテレビドラマを手掛けてきた光野道夫さんと岡田惠和さんによるコンビならでは手腕によって見事に表現しきっている。

オリジナル作品や韓国版作品を観ている方なら、こんな風に日本でも制作出来るんだな、と思うだろう。勿論、所々に異なる要素が含まれている。伏線もしっかりと盛り込まれており、真相が明らかになった時、日本ならではの作品であると気づかされた。イタリア版や韓国版を観ている方も観ていない方も存分に楽しめる作品になっている。さて、あなたはスマホにある情報を公開できますか？同じゲームを仲間と遊んでみたら、どんな修羅場が待ち受けているでしょうか…