幸福なはずの誕生日会が大混乱に…カトリーヌ・ドヌーヴ主演の家族ドラマ『ハッピー・バースデー 家族のいる時間』がいよいよ劇場公開!
(C)Les Films du Worso
母の70歳の誕生会が開かれ、行方不明だった長女が突然帰郷したことから、一見幸福だった家族の過去や秘密が暴かれていく『ハッピー・バースデー 家族のいる時間』が2021年1月8日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『ハッピー・バースデー 家族のいる時間』は、誕生日に集まった家族のほろ苦い愛のドラマ。フランス南西部の邸宅で夫や孫と優雅な暮らしを送るアンドレア。彼女の70歳の誕生日を祝うため、しっかり者の長男バンサンと妻と2人の息子、そして映画監督を目指す次男ロマンが恋人を連れてやって来る。楽しい宴が始まる中、3年前に姿を消した長女クレールが帰って来る。アンドレアは娘を温かく迎え入れるが、他の家族は戸惑いを隠しきれない。情緒不安定なクレールは家族の秘密や問題をさらけ出し、彼らの間に大きな火種を生んでしまう。
本作では、フランスの名優カトリーヌ・ドヌーブが主演。家族を優しく見守るアンドレアをドヌーブが存在感たっぷりに演じ、長女クレールを『モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由』のエマニュエル・ベルコ、次男ロマンを『冬時間のパリ』のヴァンサン・マケーニュが演じた。『よりよき人生』のセドリック・カーンが監督・脚本を手がけ、長男バンサン役で出演している。
(C)Les Films du Worso
映画『ハッピー・バースデー 家族のいる時間』は、2021年1月8日(金)より大阪・梅田のシネ・リーブル梅田、京都・烏丸の京都シネマ、1月22日(金)より神戸・三宮のシネ・リーブル神戸をはじめ全国の劇場で公開。
観終わった時、呆気に取られたような気分だった。あれよあれよと展開し、気がつけばエンドロールの白い文字。本作品は母アンドレアを主体として、そこに集まる親族の群像劇だ。一見まともそうで頭の硬い長男ヴァンサン、嵐のような長女クレール、出来は悪いが口の達者な次男ロマンと三者三様の子供たちが登場していく。
シーンの端々に見える家族間のコミュニケーションのズレには、他の映画にはない演出があると感じた。居心地の悪いような、過去自分もこういうことを体験したかのような気持ちに近い。その後の展開に「然るべき時に家族で話し合うこと」がいかに大切なのかが窺える。アンドレア一家を通して大きなテーマ「家族とはなにか」が描かれるが、もう一つ書いておきたいのは、”突然花が届いたような”存在である長女クレールの存在だ。彼女は少し問題を抱えており、キャラクター性が本作品に深みを与えていく。躁鬱疾患を患っているかのような言葉と行動が繰り返される。クレールに振り回される人々のどれに自分が当てはまるのか、それとも彼女に共感できるのかは観る人の育ってきた環境に依るのだと考えさせられた。
「ジャングルの掟」で圧倒的な存在感を放っていたヴァンサン・マケーニュが、今回はとことんダメな出来損ないのロマンを好演しており、観れば観るほど愛おしさが増す俳優。そして筆者が今回初めて演技を拝見したクレール役エマニュエル・ベルコには拍手を送りたい。前を歩くもの全てをなぎ倒していくような彼女のパワフルな演技は、カトリーヌ・ドヌーヴよりも輝いていた。
from君山
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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