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1969年5月13日!知の頂上決戦!伝説の討論会を紐解く!『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』が全国の劇場でいよいよ公開!

2020年3月18日

(C)2020映画「三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」製作委員会/(C)SHINCHOSHA

 

1969年5月13日、東京大学駒場キャンパスの900番教室を舞台に繰り広げられた、三島由紀夫と東大全共闘の伝説的な討論会の模様を収めたドキュメンタリー『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』が、3月20日(金)より全国の劇場で公開される。

 

映画『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』は、1969年5月に東京大学駒場キャンパスで行われた作家の三島由紀夫と東大全共闘との伝説の討論会の様子を軸に、三島の生き様を映したドキュメンタリー。1968年に大学の不正運営などに異を唱えた学生が団結し、全国的な盛り上がりを見せた学生運動。中でも最も武闘派と謳われた東大全共闘をはじめとする1000人を超える学生が集まる討論会が、1969年に行われた。文学者の三島由紀夫は警視庁の警護の申し出を断り、単身で討論会に臨み、2時間半にわたり学生たちと議論を戦わせた。伝説とも言われる「三島由紀夫 VS 東大全共闘」のフィルム原盤をリストアした映像を中心に当時の関係者や現代の識者たちの証言とともに構成し、討論会の全貌、そして三島の人物像を検証していく。

 

本作では、ナビゲーターを三島の小説「豊饒の海」の舞台版にも出演した東出昌大さんが務める。監督は「森山中教習所」「ヒーローマニア 生活」の豊島圭介さんが担った。

 

(C)2020映画「三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」製作委員会/(C)SHINCHOSHA

 

映画『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』は、3月20日(金)より全国の劇場で公開。

本作は、決して過激なドキュメンタリーではない。三島由紀夫と東大全共闘の論者がお互いの意見を正々堂々と交わしユニークな議論を展開していく興味深い作品である。

 

かつての学生運動で最も武闘派と謳われた東大全共闘。錚々たる知能を持った若者が集った中での幹部層の思想や哲学は、レベルが高く一般人には理解できないところも多々あるだろう。だが、難易度が高くともシンプルな言葉を用いており、理解しようとすれば歩み寄れる。対して三島由紀夫は、戦後の日本文学界を代表する作家の一人であり、小説家としてだけでなく、劇作家であり随筆家であり評論家である。そして、晩年には政治的思考を強め、民兵組織「盾の会」を結成。独自の右派思想を以て世の中に切り込んでいく。

 

この二者が討論会に登壇したら、どうなるか。過激で暴力的な展開になっていくのではないか、と素人なら想像してしまう。実際は、とても牧歌的でユニークな議論の場が作り上げられていった。当時の情勢に対して、距離をおいたところから分かりやすくも深い意味を伴った言葉を用いて鋭角的に切り込んでいく。一触即発な危うい空気になりそうであっても、お互いの語りには余裕があり、異物が投げ込まれても軽く窘めていた。舞台となった900番教室の外側には危険な空気が漂っていたが、教室の中では、一定の平和があり、まさに奇跡的に開催された討論会である。

 

両者の思想哲学は異なるプロセスを経て形成されていったが、最終的に行き着くところは共通していた。これは、現代の政治思想においても通ずることであるとも気づかされていく。ならば、三島由紀夫が、この翌年に自決せず現在まで生きていたとしたら、何を感じていただろうか。討論会から50年を経て世に放たれる本作の意義を改めて噛み締めたい。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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