待たせたな―俺を呼んだのは君達だろ?『劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>』神谷明さん、伊倉一恵さん、こだま兼嗣総監督に加え、原作者の北条司さんを迎え舞台挨拶開催!
新宿を舞台に法で裁けぬ悪と戦う“シティーハンター“こと冴羽リョウの新たな活躍を映し出す『劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>』が、2月8日(金)より全国の劇場で公開されている。2月10日(日)には、大阪・梅田のTOHOシネマズ梅田に神谷明さん、伊倉一恵さん、こだま兼嗣総監督に加え、原作者の北条司さんを迎えて舞台挨拶が開催された。
映画『劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>』は、1980~90年代にテレビ放送された大ヒットアニメ「シティーハンター」の20年ぶりの新作となる長編アニメーション映画。新宿に事務所を構えるシティーハンターの冴羽リョウと相棒・槇村香のもとに、何者かに襲われたというモデルの進藤亜衣がボディガードを依頼にやって来る。美女の依頼を快諾するリョウだったが、撮影スタジオで更衣室を覗いたりとやりたい放題。亜衣がキャンペーンモデルを務めるIT会社の社長・御国真司は香の幼なじみで、撮影現場で久々に再会した彼女をデートに誘う。一方、海坊主と美樹は新宿に傭兵が集結するという情報を入手するが、その傭兵たちはなぜか亜衣を狙っており……。
声優陣にはリョウ役の神谷明さん、香役の伊倉一恵さんらオリジナルキャストが再結集。進藤亜衣役を女優の飯豊まりえさん、御国真司役を人気声優の山寺宏一さんが担当するほか、お笑いコンビ「チュートリアル」の徳井義実さんが特別出演。初代監督のこだま兼嗣さんが総監督を務め、「TM NETWORK」によるおなじみの主題歌「Get Wild」も起用。北条司さん原作の「キャッツ・アイ」からも主人公の来生三姉妹が登場する。
上映後、お客さんの興奮冷めやらぬ中で、神谷明さん、伊倉一恵さん、こだま兼嗣総監督に加え、原作者の北条司さんが登壇。特に、北条司さんの登場はお客さんには伝えらえていなかったため、盛大な盛り上がりとなった。
まず、こだま総監督は「大阪に来たくて、舞台挨拶があるなら自分も加えてほしいと志願しました」と打ち明ける。神谷さんは「待たせたな―俺を呼んだのは君達だろ?」とファンに向けて冴羽リョウ風にご挨拶。伊倉さんは「新宿は大変です。帰れないかも?なぐらい壊れちゃって」とおどけながら「今回は思い切り100tハンマー振り回しました」と満面の笑み。北条先生は「今日は大阪に友達に会いに来たんですけれども、新大阪に着いたら拉致られまして。ココにいるならこっちに来いとやって参りました」と話しながら「大阪はほぼ30年振りです。1990年に『劇場版シティーハンター 百万ドルの陰謀』と『劇場版シティーハンター ベイシティウォーズ』の舞台挨拶で梅田コマ・ゴールドの舞台に立ったのが最後かな。このメンバーで立っておりました」と懐かしんだ。
公開3日目を迎え、伊倉さんは「私もイチ観客として観ています。初日初回を日比谷でお客さん気分で観たんですが、観る度に凄いところを毎回発見するようになって、最近は新作の音楽が凄いと思います。画にバッチリとハマっています」と評する。また「御国が豹変していく中で付いてくる音楽が感情を昂らせていく」と絶賛。作曲者の岩崎琢さんに伺い「監督から頂いた映像を何百回も観て、感情に合わせた音楽と自然と付けていけるようになりました」と聞き「本当にピッタリとハマっているので見所です」とオススメしていく。
20年振りの新作制作に関して、北条先生は「僕は単純に楽しんだだけ。楽でした。イチャモン付ければいいだけですからね」とおどけて見せる。こだま総監督は「20年経っていますけど、頭の中は20年前で止まってます。今回はすんなり入ることが出来ました」と明かす。参加したスタッフ達は40歳前後の方が多く「『シティーハンター』を子どもの頃に観ていた世代。絵を描く人達に指導しても『観てました。説明要らないです』と返された」と、ファンの人達と一緒に作品を作っている感覚で楽しんだ。
リョウと香のコンビを20年振りに演じ、神谷さんは「冒頭のシーンで格好良く登場したなと思ったら、相変わらずシャワーのシーンになってリョウが忍び込んでいって、思い切り2019のハンマーで叩かれる。あの辺りで『キター!』と思ったね。あ、シティーハンターだ!いっぺんに20年の月日が吹っ飛びました」と実感。伊倉さんが「絵はちっとも変わらず若いままなのに、こちらは順調に老けてますから」と漏らすが、神谷さんは「今の声での芝居が皆さんに受け入れてもらえるだろうか、公開までちょっとドキドキしてました」と告白。上映後の拍手を聞き「嬉しいですよね。最近ではそんなにあることではないと思うんですね。本当に大きな拍手を頂いたので、やったー!」と手ごたえを感じた。さらに、お客さんによる沢山のツィートを1日かかって読んでおり「昨日は大阪に向かう新幹線でずっと読んでいました。嬉しくてウルウルしながら読んでいるから字がちゃんと読めなかったけど、皆さんの思いを知れ、有難くて嬉しい。これから頑張ろうという気持ちになりました」と感謝の気持ちを伝えていく。
アフレコ現場の雰囲気を振り返り、伊倉さんは「声優陣には、当時の作品を観ていた方が参加していることが多かった」と話すと、神谷さんは「スタジオの空いているスペースに沢山の若手声優が座っていた」とフォロー。伊倉さんが「本当は神谷さんのサインを貰いたいけど我慢していた。なのに、神谷さんは自分の台本を持って全員のサインを貰っていた」と明かすと、神谷さんは「国がアニメの博物館を作ったら、絶対に寄付しようと思っています。歴史だから自分のものにはしないですよ」と伝える。さらに、かつての『シティーハンター』で役を担った茶風林さんや大塚芳忠さん、山崎たくみさんや山寺宏一さんがメインキャラクターとして出演しており「素晴らしい演技を見せてくれた」と喜んだ。なお、今作では、飯豊まりえさんが声優に初挑戦しているが「21歳の感性でリアリティのある演技を作ってくれて、端々に彼女の可愛さが出ている。そして、十分にお芝居してくれて、素晴らしいキャスティングでしたね」と絶賛。伊倉さんも「役者さんなのでお芝居が出来ることは分かっていたが、マイクの前でも本意気で演技していた」と評した。また、御国役の山寺宏一さんについて、神谷さんは「感動した。収録前日まで、まりえちゃんや山寺君のキャスティングも知らなかった。前日のリハーサルで、どう考えても御国は山ちゃん以外考えられなかった。当日行ったら居るじゃないですか」と喜んだ。伊倉さんも「私も相手役を誰が演じるか分からずに台本は読んでいた。久しぶりに幼馴染に会うシチュエーションだったが、山寺君と聞いて本当に安心しました」と満足している。
神谷さんは20年振りに演じた冴羽リョウについて「香に対して直接的なことは言わない。なんとなく思わせぶりな態度をとる。他の女性にちょっかいを出していても、どこかで香のことを考えているんじゃないかな」とずっと思っていた。「今回は冷たくないかな。演じている僕としても抵抗を感じながら役は演じましたけども、最期の台詞に集約されているとは…あれはこだまさんの思いです」と確信している。これを受け、こだま総監督は「リョウに喋らせる格好良い台詞は自分が理想とする言いたい台詞。現実には言えない台詞を沢山貯め込んで、最後のカットに吐き出すようにしています。実際には格好良い台詞を言ったことはありません」と素直に話した。
2019年の新宿が舞台となった本作について、神谷さんは「冴羽リョウ自身は変わり様がない。昔も今も同じ生活をしているだろう」と思っている。こだま総監督は「今の時代と融合させるために、現在の新宿を描くことで冴羽リョウが生きていると映像として見せたかった。出来るだけ克明に新宿のあらゆる所に許可を頂きまして、画面を作りました」と苦労を重ねた。公開を迎え、神谷さんは「僕の望みは、盛り上がりの輪が広がっていって、『シティーハンター』を全然知らない人が興味を持ってくれて、劇場に足を運び、その人達が広めてくれることでムーブメントが起こったら最高」と願っている。これを受け、北条先生さんは「ウチの娘が子どもを連れて早速観に行って、2人の孫が大好きになって『また行く~!』と言ってくれた」と明かした。
最後に、神谷さんは「『シティーハンター』は、20年振りに変わらぬ姿で戻って参りました。この後も変わらぬ姿でいつまでも皆さんに愛される作品でありたいなと思っています」と伝え「変わんねぇよ、綺麗なもんも。それから『シティーハンター』ファンへの思いも」と冴羽リョウ風に締め括る。さらに、壇上から降りた去り際には「これからも、もっこりよろしく!」と放ち、盛大に舞台挨拶は締め括られた。
映画『劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>』は、大阪・梅田のTOHOシネマズ梅田ほか全国の劇場で絶賛公開中!
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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