1950年代に活躍したフランスの国民的歌手バルバラを題材にしたミステリアスなドラマ『バルバラ セーヌの黒いバラ』がいよいよ関西の劇場で公開!
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謎に満ちたバルバラの生涯を映画化しようとする映画監督と女優が、現実と虚構の間で揺れ動く姿を描く『バルバラ セーヌの黒いバラ』が、関西の劇場でも12月1日(土)より公開される。
映画『バルバラ セーヌの黒いバラ』は、「ナントに雨が降る」などの名曲で知られるフランスの伝説的歌手バルバラを題材に撮りあげたドラマ。新作映画でシャンソン界の女王バルバラを演じる女優ブリジットは、バルバラになりきるため彼女の性格や歌声、動作などすべてを真似して自分の中に取り込もうとする。バルバラの存在はブリジットの中で少しずつ大きくなり、心身ともにバルバラに支配されていく。映画監督のイブもそんな彼女にのめり込み、2人は次第に現実との境目を見失っていく。バルバラ本人の貴重なステージ映像も交えながら、一個人のアイデンティティの崩壊と再生を描く…
本作では、『007 慰めの報酬』『潜水服は蝶の夢を見る』の俳優マチュー・アマルリックが監督・脚本・出演を務め、アマルリックの元パートナーであるジャンヌ・バリバールが主人公を熱演。2017年の第70回カンヌ国際映画祭ある視点部門でポエティックストーリー賞を受賞した。
映画『バルバラ セーヌの黒いバラ』は、12月1日(土)より、大阪・梅田のテアトル梅田、京都・烏丸の京都シネマで公開。また、12月15日(土)より、神戸・三宮のシネ・リーブル神戸でも公開。
マチュー・アマルリックは翻弄される役が最高!
マチュー・アマルリックは、ヒロインに翻弄される役を演じさせたらピカイチの俳優。過去の出演作『毛皮のヴィーナス』でも、次第に翻弄されていく様子は観る者を楽しませてくれた。本作では、出演だけでなく、監督・脚本までも担った。しかも、ヒロイン役はかつてのパートナーである。ここまでバルバラにほれ込んでいる様子を見ていると、結局、誰に惚れているのか、現実と映画の境がなくなっていきそうに思えてしまう。
バルバラとブリジットの境が曖昧になっていく
ヒロインであるブリジットは、バルバラを熱心に研究し、まさにバルバラになりきっている。もはや完全に本人が乗り移っているようだ。作中では、特徴的な演出が施され、時折、当時のバルバラの映像もあり、もはや、ブリジットを観ているのかバルバラを観ているのか分からなくなってしまう。これこそが、バルバラの伝記映画を作るのではなく、バルバラを演じさせた女優の物語にした由縁ではなかろうか。マチュー・アマルリックがバルバラに惚れ込んだからこそ完成した渾身の一作である。
- キネ坊主
- 映画ライター
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