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MOOSIC LAB2016 最多5冠受賞作品『光と禿』!俳優スギムさんに聞く!

2017年10月13日

ハゲた中年ミュージシャンとひねくれた盲目女子の交流を描くコメディ『光と禿』が10月7日(土)より大阪・十三のシアターセブンで凱旋上映。1月に京阪神の劇場で「MOOSIC LAB 2016」内の1作として公開されて以来に大阪での上映となった今回、主演のスギムさんにインタビューを行った。

 

映画『光と禿』は、気鋭の映像作家とアーティストがコラボレーションしたインディーズ映画を輩出する「MOOSIC LAB 2016」で観客賞・審査員特別賞・最優秀男優賞・最優秀女優賞・べストミューシシャン賞の計5部門を受賞した作品。中年のハゲたミュージシャンのスギムは、道端で転んだ盲目女性・梢を助けようと親切心で声をかけるが、そこに現れた梢の友人である友梨から痴漢と勘違いされ「変態!」と罵声を浴びせられてしまう。その夜、昼間の出来事をライブのステージで憂さ晴らしをするスギム。梢は友梨に、スギムが痴漢ではなかったことを打ち明ける。梢は謝罪をするために、スギムを探し出すこととなるが……

 

スギムさんの本業はミュージシャン。クリトリック・リスとして精力的にLIVE活動を行っている。スギムさんは活動を始めた当時について「最初は、ステージの転換時に1曲やらせてもらうことから始まり、回数を重ねていった。未だに、転換アクトでクリトリック・リスを初めて観たと言われることがある」と明かす。次第に様々な繋がりができ「お酒の付き合いからハードコアやロックンロール等やっている音楽のジャンルは違っても話が通じ仲良くなれた」ことで現在も多くのLIVEに出演している。映画については「これまでは飛び道具的な役割で出演させて頂いた。1分もない程度の出演だったとしても、クリトリック・リスの名前を使っているので、印象を残さないといけない」と心がけた。出演依頼を受けた際は「皆がクリトリック・リスを出演させたい気持ちから起こったこと。僕に対する細かい演技は現場で考えてもらっている」と解釈し、自身も前に出過ぎないように気をつけている間に撮影が終わったと感じていた。

 

今回、主演のオファーを受け、スギムさんは「僕は浮かれていた。だが、何を準備すればいいかわからない。出来ないならば、素でいこう」と当初は思っていた。主人公を演じるにあたり「台本を読んで覚えしっかり演じるのはクリトリック・リスらしくない。クリトリック・リスでなければならない妙な責任感があり、どこまで素の状態を外していいのか台本からは読み取れなかった」と手探り状態だった。だが、現場に来てみると、演技を意識しなければいけないとわかり萎縮してしまった。そんなスギムさんについて、青木監督は「お芝居について、役者でもないから自信がないと最初に聞いていたし、主役をオファーする段階でわかっていた。どうスギムさんを解せるかが僕の戦い」と受け止め「極力、自然に、と言い続けた。クリトリック・リスのキャラクターを活かし、映画にいい形に反映してくれたら」と期待した。スギムさんは「台本を読んでストーリーの概要を掴み、完璧には憶えず、自分の言葉で出せばいい」と思っていたが、周りの役者が応えてくれて救われた。現在は「監督に甘えていたところはあった」と告白している。スギムさんと共演した武田航平さんについて「いつでも妥協した演技をしなかった。2週間の撮影で、様々なタイプの演技を見たが、僕が演技できないことに対し、寄せないで自分の演技をやり切った。むしろ演技から寄せてこいと誘導してくれた」と感謝している。

 

各地での本作の舞台挨拶で、スギムさんは「ピエール瀧さんになりたい」とよく話しているが「本音ではない。音楽でやっていきたい。機会があれば映画に出演したい」と明かす。主役を担うにあたり「役者は演技を方向修正できない。役者に転向することは考えていないが、音楽をやりながら遊びの効くちょっとしたキャラを機会があればやりたい」とも。とはいえ、青木監督は「クランクインからクランクアップまでに役者としての伸びしろをスギムさんが一番感じている」と評価。今作を作るにあたって「今回、スギムさんが主役を担い、周りの役者さんを揃えて何が一番いいのか考えると、今作の脚本が出来上がった」と述べる。

 

「MOOSIC LAB 2016」で最多5冠を受賞した今作について、スギムさんは「監督とミュージシャンがコラボレーションするというお題の企画に対して、一番時間をかけているのは『光と禿』だと思っている。出演が決まって以降、東京でのLIVEに監督がほぼ毎回来てくれた。LIVE後は打ち上げ行きたいが、書き直した脚本や撮り方について煮詰めていった」と明かす。青木監督は「決定稿は直前まで迷っていたが、結果的に良い作品になった」と満足している。スギムさんは改めて「役者としては本気でやっていこうとは思っていないが、続編があれば全力で挑みます」と意欲をみせる。

映画『光と禿』は、全国で順次上映中。次回は10月21日(土)から新潟のシネ・ウインドで上映。初日には青木克齊監督と編集の田巻源太さんによる舞台挨拶が行われる。

 

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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