シュヴァンクマイエルの本当の大人の超ディープな世界をロフトプラスワンウエストの午後にまどろもう
しばらく絶版となっていた世界のシュルレアリスト、ヤン・シュヴァンクマイエルの短編作品のDVDが久しぶりに再販することになった。発売記念イベントとしてシュヴァンクマイエルの厳選した短編作品の上映とトークイベント「午後のまどろみとチェコアニメvol.6~シュヴァンクマイエル短編アンソロジー発売記念イベント~」が大阪・宗右衛門町のロフトプラスワン・ウエストで2月25日(土)に開催される。
国営だった共産時代のチェコのアニメは、国から大きな資金援助を受け、チェコのアニメ作家にとっては“黄金時代”と呼ばれて創作に没頭できる環境だった。しかし、シュヴァンクマイエルだけはその作品の異端性を指摘され、たびたび厳しい検閲を受け、長い年月、映像制作を禁じられていた。
しかし、彼は何度検閲を受けようとその作風を変えることなく、創作を続けた。信じられるのは自らの信念のみという中、やがて彼の作品は海外で高い評価をされるようになり、国内の風向きも変わり、ついには、シュヴァンクマイエルの個人の活動が国営のスタジオの活動量を超えた。自らの創作が世の中をひっくり返した。
デビューした1964年から1989年までに作られた彼の短編作品には、シュヴァンクマイエルのマグマのようなエネルギーが詰まっている。決して世の中に流されない断固たるアイデンティティーが
伝わる。その中から、厳選した上映7作品は以下の通り。
『シュヴァルツェヴァルト氏とエドガル氏の最後のトリック』(1964年/11分)
『庭園』(1968年/16分)
『部屋』(1968年/13分)
『対話の可能性』(1982年/11分)
『男のゲーム』(1998年/14分)
『闇・光・闇』(1989年/7分)
『セルフポートレート』(1998年/2分)
イベントは短編の上映とトークが交互に進められる。トークはシュヴァンクマイエルと10年以上の付き合いを持つ“チェコアニメに命を捧げる男”アットアームズの眞部学さんがシュヴァンクマイエルの常識を超えた規格外のエピソードを語る予定。
「午後のまどろみとチェコアニメvol.6~シュヴァンクマイエル短編アンソロジー発売記念イベント~」は大阪・宗右衛門町のロフトプラスワン・ウエストで2月25日(土)12時開場13時開始、前売券2,000円 当日券2,500円(共に飲食代別、1オーダー必須[500円以上])。現在、e+からのチケット購入や電話予約や2月25日(土)6時までのウエブ予約を受け付けている。
昨年、京都みなみ会館での「『ひなぎく』50周年記念上映&シュヴァンクマイエル映画祭2016」開催時にシュヴァンクマイエルの短編作品を一気に観た。自身がシュールなものが好きだと分かって以来、一度はシュヴァンクマイエルの作品を映画館で観たいと思っていた頃のタイミングだ。
シュールの極みといった作品が多くあるが、続けて観ていくうちに作品に通じる社会性やテーマなどがあることに気づく。今回、厳選された作品を合間に解説等を聞きながら鑑賞できるので、シュヴァンクマイエルに少しでも興味があるなら、気軽にイベントに訪れてみてはどうだろうか。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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