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京都立誠シネマで『FORMA』上映3年目 DVD化予定なし 劇場で鑑賞するべし!!

2016年12月21日

京都立誠シネマで映画『FORMA』が12月24日(土)から12月28日(水)まで上映される。2014年に初公開して以降、立誠シネマでは今回で3度目の上映が行われる。

『FORMA』は2人の女性が抱く憎しみの連鎖によって引き起こされる悲劇を通して、人間の本質や心の闇に迫ったヒューマンサスペンスドラマ。金城綾子はある日、同級生だった保坂由香里と再会し、由香里は綾子に誘われて同じ会社で働くことになる。しかし、綾子は徐々に由香里を冷たく扱うようになり、由香里は追い詰められていくが、由香里に理不尽な態度をとり続ける綾子には、ある積年の思いがあった…

本作は、2013年の第26東京国際映画祭で日本映画スプラッシュ部門作品賞、2014年の第64回ベルリン国際映画祭フォーラム部門で国際批評家連盟賞を受賞するなど、高い評価を獲得した。関西では、2014年に立誠シネマや元町映画館で公開されたが、故あってDVD等にはならないとのこと。立誠シネマは、本作を劇場で鑑賞してもらうべく、2015年末、そして今年の年末にも上映が企画された。

『FORMA』は12月24日(土)から12月28日(水)まで連日18:00~20:25に上映される。期間中は毎日、坂本あゆみ監督が来館、12月25日(日)には出演している梅野渚さんが来られ舞台挨拶が行われる予定。

2015年末に本作を立誠シネマで鑑賞し、どうしてもこの作品をより多くの映画好きに広めたいという想いが、このサイトを開設した理由の一つでもある。

遅ればせながら初めて鑑賞した2015年の際は、鑑賞後に物凄い映画を観てしまったという感覚が身体に残り、しばらく呆然としながら興奮が冷めない体験を久しぶりに味わった。
本作は幼馴染みだった二人の女性がある日たまたま再会し、最初は友好的に見えたが、次第に積年の思いによって憎み合うサスペンスである。積年の思いについては起因となる出来事があるのだが、二人の捉え方は相違している。一人は後々の人生に残る心の傷をつけられたと思っているのに、もう一人は日常にある出来事でしかないと感じていた。

登場人物の心象風景をカメラは一歩引いたところから捉えている。障害となる物体や騒音をあえて挟んで登場人物を映し出す。観客は現場にいる第三者として会話を遠回しに聞いている感覚に陥る。また、映像の中には何かが隠されているように感じる。セリフの内容や突然現れる物体が何を意味するのか具体的には分からないままストーリーは進められる。終盤への伏線を張っているのではないかと想像力を働かせてしまう。極めつけは、24分にも及ぶ長回しによるクライマックス。またもや現場から一歩引いたところにカメラが置かれて撮影される。あえて直接的に映し出されないことによって事の重要性を印象深くしている。伏線が全て繋がり事件の真相が判明した時、想像さえしなかった出来事が発生する。もはや絶望しか感じさせず恐ろしさに震えることしかできない。女性同士のマウンティングを題材にした作品ではあるのだが、効果的に男性側の心理面を取り入れた内容になっている。性別を問わず、人間の『FORMA(ラテン語で本質を意味する)』を捉えた作品といえる。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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