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堺雅人さんから”こんなクレイジーなアニメだったんですね”…『プロメア』今石洋之監督、コヤマシゲトさん、若林広海さんを迎え舞台挨拶開催!

2019年6月1日

近未来を舞台に、炎を操る人種と彼らに対抗するべく生まれた高機動救命消防隊が繰り広げる死闘を、斬新なビジュアルで描く『プロメア』が公開中。今回、大阪・難波のTOHOシネマズなんばに今石洋之監督、コヤマシゲトさん、若林広海さんを迎え、舞台挨拶が開催された。

 

映画『プロメア』は、TVシリーズ『天元突破グレンラガン』『キルラキル』を手がけた今石洋之監督と脚本家の中島かずきさんが、再びタッグを組んだ完全オリジナルの劇場アニメ。突然変異で誕生した炎を操る人種「バーニッシュ」の出現をきっかけに、未曾有の大惨事である「世界大炎上」が起こり、世界の半分が焼失した。それから30年後、一部の攻撃的なバーニッシュが「マッドバーニッシュ」を名乗り、再び世界を危機に陥れる。これにより、対バーニッシュ用の高機動救命消防隊「バーニングレスキュー」の新人隊員ガロと、マッドバーニッシュのリーダー、リオという、それぞれ信念を持った熱い2人の男がぶつかり合うことになる。主人公ガロに松山ケンイチさん、宿敵リオに早乙女太一さん、そしてガロの上司クレイに堺雅人さんと実力派俳優が声の出演。アニメーション制作は「キルラキル」も手がけたTRIGGER。

 

上映後、今石洋之監督、キャラクターデザインのコヤマシゲトさん、クリエイティブディレクターの若林広海さんが登壇。上映後の舞台挨拶であるため、リラックスした雰囲気の中で大いに盛り上がった時間となった。

 

今石監督は、『キルラキル』を手掛けた後「すぐ次をやろう。次は映画だね」と本作に取り組み始めた。誘われたコヤマさんは乗り気だったが「キャラクターデザインを依頼され、TRIGGERは優秀なアニメーターが沢山おり、最初は遠慮してしまう」と当時の気持ちを告白。だが、作品のねらいを聞き、応じていく。本作は、CGを大量に取り入れた映画であり、今石監督は「アニメーションとCGの両方に対応できるデザインを求めていた。通常のアニメーターだと難易度が高いので、コヤマさんに依頼しました」と明かす。

 

デザインや色彩設計について、本作は通常のアニメーションとは違うアプローチを執っており、今石監督は「CGと作画と背景による表現がつながるようにするために全てが歩み寄って1つの最終形態を作っている。その中で色に拘っている。通常とは違う色を使って統一することが新しい」と魅力を感じている。コヤマさんも、濁った色は使いたくない意図を掴んでいく。他にも、炎の表現が幾何学模様で印象に残る。今石監督からの提案で「作画とCGと背景の統一を図るために、シンプルな形を勢力別にデザインのモチーフを決めていくと、デザインが早く決まる。それぞれの形で一番格好良いものを目指すと統一がとれやすくなる」と説く。若林さんも「日本のスタッフだけでやるとリアルな表現が多くなる。デザインも攻めてみたかったので、今回は街の風景や幾何学なデザインも海外のスタッフを入れて、コンセプトデザインを作り続けてきた」と探求している。

 

主要キャラクターの3人は、松山ケンイチさん、早乙女太一さん、堺雅人さんの俳優3人が担っている。今石監督は「堺さんがオカしくなかったですか?二面性を期待して堺さんにお願いしてデザインをしていた。実際にアフレコして、えぇ~!と思って、最高だな、この壊れ方」とお気に入り。これには誰もが「想像を超えてましたね」と唸るばかり。今石監督は「あの声を聞いて、イっちゃった顔を書くことになりました」と打ち明ける。若林さんは「TRIGGERのアニメは声を入れてもらった後に、表情を変えた絵に付け直す。パワフルな演技をする役者さんが多いので、合わせることになる。堺さんもある程度は想像していたにも関わらず、それを超えてきた」と絶賛。試写では偶然にも堺さんが隣に座っている状況で今石監督は観ており「こんなクレイジーなアニメだったんですね」と堺さんから感想を告げられた。当時は戸惑ってしまったが「あなたの芝居も相当クレイジーでしたよね」と返せなかっことを残念がっている。アニメーション制作では、スタジオの中にいるスタッフの半分以上は、どういう作品になるのか把握できないことが多く「私達はTVシリーズをずっと手掛けていた。TVシリーズは第1話が出来たら分かる。映画は、第1話と最終話を同時に納品しているような感覚」と物語った。

 

今作では、スタッフ間の情報共有でも苦労しており、今石監督は「僕とコヤマさんしか正解が分からない中で膨大な量を処理していかないといけなかった」と振り返る。特に、色トレース作業には注力しており「通常は線画を描くまでの作業。色を着けていく頃は、最終工程でスケジュールが押し迫っていた。追い上げていく際には、仕上げの色塗りが通常の3倍かかる」と述べ「最終的に、スケジュールが大変なことになる。全部僕のせいですが、やった甲斐があった画面になっている」と万感の思いを伝えた。若林さんは、複数の業務を同時進行で担当しており「クライマックスの1ヶ月が凄かった。本編の対応もしながら宣伝対応の監修もしており、一番大変だった」と打ち明け、本編のクオリティを天秤にかけながら対応する日々を笑いながらも「みんなで頑張りました。この3人は特に妥協出来ない」と揺るぎない思いを語る。

 

本編の音楽は澤野弘之さんが制作した。当初、今石監督は前半の戦闘シーンに用いる楽曲として挿入歌を依頼している。だが、出来上がった楽曲はストーリーのテーマを深読みしており、リオ寄りな感情のテーマだと読み取った。そこで、リオが覚醒した暴走シーンで流した方が良いと判断して切り替え「リオのテーマに近くなった。見事に絵とハマった」と実感している。また、本作ではロボットの戦闘シーンも印象的だが「ロボットは、構想の初期から存在していた。必殺技がシナリオ修正の最後になって登場してきた」と驚いた。コヤマさんとしては「初めからロボットアニメだとは見せない。あくまでキャラクター達によるストーリーである。観ていると、途中からロボットものになっていくようにした」と解説する。なお、キャラクターのデザインが終わったら、ロボットのデザインをさせてもらえるように云われていたことから、どのデザインにも力を入れて取り組んできた。最後に、今石監督は「皆さんの力でさらに盛り上がっていきたい」と思いを伝え、舞台挨拶は締め括られた。

 

映画『プロメア』は、全国の劇場で大ヒット炎上(上映)中。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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