カットをかけず撮り続け、予想以上の仕上がりに…!『ばあちゃんロード』文音さんと篠原哲雄監督を迎えて関西上映初日舞台挨拶開催!
結婚を控えた孫娘と足をけがして施設で暮らす祖母が一緒にバージンロードを歩くという目標に向けてリハビリを重ねる姿を描く『ばあちゃんロード』が4月21日(土)より関西の劇場で公開。公開初日には、主演の文音さんと篠原哲雄監督を迎えて舞台挨拶が開催された。
映画『ばあちゃんロード』は、施設で車椅子生活を送る祖母とおばあちゃんっ子の孫娘が一緒にバージンロードを歩くため奮闘する姿を描いたヒューマンドラマ。幼い頃から両親が共働きだったため祖母キヨに育てられた夏海は、父の跡を継いで漁師を目指す友人の大和からプロポーズされ、結婚を決める。自宅で足を骨折して以来、施設で車椅子生活を送るキヨのもとへ報告に訪れた彼女は、すっかり元気をなくしたキヨを励ますべく、結婚式のバージンロードを一緒に歩くことを思いつく。キヨは夏海のひたむきな思いに心を動かされ、希望を取り戻していく…
関西での公開初日を迎え、長渕剛さんと志穂美悦子さんのご長女である、本作主演の文音さんと篠原哲雄監督を迎えるということから、シアター内は満席で立ち見のお客様も。上映後、2人は登壇し、各々に感謝の気持ちと共に挨拶する。なお、本作は、ぴあ映画初日満足度ランキングにおいて実写映画では第1位を獲得。これを受け、文音さんは「『コナン』『クレヨンしんちゃん』新作の次に並んでおり、温かいランキングだなぁ」とランクインした喜びを表す。篠原監督は「あ、はい」と返しながらも、立ち見のお客さんをねぎらった。
本作は、「映画美学校プロットコンペティション2016」の最優秀作品賞となった作品。プロットとは映画の概要を2ページ程度で書いたもの、脚本の前段階にある。プロットを読んだ文音さんは「おばあちゃんと一緒にバージンロードを歩く心温まるストーリーになる」と直感。自身のおじいちゃんとおばあちゃんについて「幼い頃に育ててもらった思い出があったが、私が15,6歳の頃に亡くなっている」と明かし「おばあちゃんに甘えていく夏海の気持ちに共感できた。温かい作品になるんじゃないか」とオファーを受けた。
草笛光子さんと文音さんは、3年前に連続ドラマで共演している。本作と同じく、おばあちゃんと孫の設定だった。共演後も、トレーニングを日々行っている草笛さんが文音さんをご自宅に招待し一緒にトレーニングをする等、プライベートも交流がある。共演の知らせを聞き「私達にしか出来ないことがある」と確信。篠原監督は「草笛さんに動かないようにして頂くことが課題だった。体が自然に動いてしまうこともあったので、抑えて頂いた」と述べ、撮影中は「動かないでと気持ちが入っていた」と肩に力を入れながら取り組んでいた。文音さんについては「本気でおばあちゃんを励ましてくれた。人に対してひたむきになる人だと感じ、演技にも出ている」と評価し「草笛さんのリアクションも自分の言葉で実感がこもっていた。良いハーモニーで演じてくださった」と絶賛。
本作では、長回しのシーンが多くある。文音さんは「監督がカットを全然かけてくれなくて…台本上だとセリフが終わっているのに、カットがかからないシーンが沢山あった」と当初は困惑。だが「『カット!』が言われるまで役者は芝居を続けなければいけない。監督がカットをかけない分、シーンの後も役の気持ちを維持できた。結果的に、次のシーンに入りやすかった」と振り返り「挑戦的だが楽しい現場だった」と懐かしむ。篠原監督としては「長いシーンを僕は見たくなってしまう。カットを入れるべきだが、何をしてくれるんだろうという気持ちで撮っている」と説明した。
最後に、篠原監督は「映画は、まだまだ始まったばかり。淡々と日常を描いている作品であり、日本映画の中でもあまり目立たないかもしれない」と控えめだが「ぴあ映画初日満足度ランキングでは実写映画第1位を獲得しており、内容的には悪くないと自負しています」とアピール。文音さんは「私たちは東京・横浜・神戸・大阪と回ってきましたが、大阪の人が温かくて。涙が出てきそうな…」と、もはや涙腺は崩壊ぎみ。本作が『三本木農業高校、馬術部』以来、10年ぶりの主演作であることを告げ「監督が先頭になって舵を取り、キャストもスタッフも皆で手をつないで家族のようになって撮った作品」だと述べる。本作を通して「愛は形がなくて目にも見えないが、感じることができる。映画が出来上がり、愛にあふれている映画だと感じた。それを感じて頂けたのではあれば、自分の大切な人と愛を感じあってほしい」と伝え、舞台挨拶は締め括られた。
映画『ばあちゃんロード』は、4月21日(土)より 大阪・梅田のテアトル梅田と神戸・三宮のシネ・リーブル神戸にて公開中。また、京都・烏丸の京都シネマでも6月2日(土)公開予定。
- キネ坊主
- 映画ライター
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