“人を喰いたい”という欲望に囚われた青年が闇バイトをきっかけに破滅へと疾走する『竜宮の誘い』が「田辺・弁慶映画祭セレクション2026」で上映!
©Yamada Jun /Cinemago
“人を喰いたい”という願望に囚われた青年が、スマートフォンを拾ったことをきっかけに、違法な大金を得て破滅の道をたどる様子を描く『竜宮の誘い』が5月8日(金)より「田辺・弁慶映画祭セレクション2026」で上映される。
映画『竜宮の誘い』は、食人願望にとらわれた男が破滅の深淵へと陥っていく姿を描いたクライムサスペンス。キャバクラでボーイとして働く青年のサトウは、「人を喰いたい」という欲望を内に抱えていた。そんなサトウは、ある日、勤務先でスマートフォンを拾うが、それをきっかけに、謎めいた2人組の男たちに脅迫され、運び屋の闇バイトを強いられる。違法だが稼ぎのいい運び屋の仕事で大金を得たサトウは、やがてその稼ぎを使って己の欲望を満たすため動き始めるが…
本作は、新人監督の登竜門として知られる第19回田辺・弁慶映画祭で史上初めて、サスペンス映画としてグランプリを受賞した。サトウ役は、本作が映画初出演にして初主演の俳優である戸張瞬さんが務めた。

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映画『竜宮の誘い』は、5月8日(金)より東京・新宿のテアトル新宿で開催の「田辺・弁慶映画祭セレクション2026」で上映。関西では、大阪・梅田のテアトル梅田で開催の「田辺・弁慶映画祭セレクション2026」で6月17日(水)と6月18日(木)で上映。また、6月27日(土)より大阪・十三の第七藝術劇場で公開。
「人を喰べてみたい」という願望を抱きながら日々を過ごす青年サトウは、ある日、1台のスマートフォンを拾う。写真フォルダを開くと死体の写真が。持ち主は闇の組織に属する男で、半ば強制的に仕事に加担させられる。
現代日本の日常×血の臭いがする闇稼業でいうと、『ベイビーわるきゅーれ』や『メランコリック』が記憶に新しい。今作はそれらを想起させつつも、そのどれとも違う新しい質感がある。例えば、従来の”うだつの上がらない主人公”であれば、スマホを拾っただけなのに…という巻き込まれ型になりがち。だが、サトウは、闇バイト初出勤直後に”人喰い”の実行を計画し始める。そこに、人間らしい葛藤はなく、自身の秘めた願望を闇側から後押しされた、誘われたと捉えているようにすら見える。
そもそも闇堕ち前から相当不気味なキャラクター。性欲、食欲、加虐欲旺盛で、主に女性を自身の目的を果たすためのツールのように扱う。無表情棒読み演技が、彼の”話通じない人”感に拍車をかけており、主人公にも関わらず、最初から最後まで感情移入が出来ず、見ている側の緊張を煽る。その他にも、サトウが運ぶことになる”何か”を用意しているのが、何故かアロハな装いのマダム集団であったり、その”何か”の処理を養豚場の寡黙な父娘が行っていたり、と決して派手ではないけれど、これまで見たことのない新鮮な設定が多く目が離せない。
特に、映画欲を最も刺激されたのは、サトウが初めて闇バイトに向かう地下鉄の場面。誰がいつどのタイミングで接触してくるのか分からないまま指示通りに動くサトウの視界に嫌というほど入ってくるのは、電車で乗り合わせた人やすれ違う人の目、目。ハラハラする受け渡しシーンや電車を使った逃走シーンは多くあれど、乗り合わせた人の黒目を強調した描写はあっただろうか。ただ他人と目が合うという事をこんなに恐ろしく表現出来るとは。作品全体に流れる緊張感、不穏さをぜひ途中停止の出来ない映画館で体感し、このダーク且つフレッシュな世界観に心を支配されてほしい。
fromマスダ
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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