実体験から生まれた、”突然の診断”と向き合う私たちの物語…『藍反射』がいよいよ劇場公開!
©2025 RANHANSHA
恋人との結婚を夢見る女性が、婦人科でホルモン異常を診断されるも、忙しさを理由に自らの体を顧みないまま、恋人の間に溝ができていく『藍反射』が3月6日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『藍反射』は、20代の未婚女性の不妊治療を題材に描いたドラマ。突然の診断に直面した主人公が身体の悩みを誰にも相談できないまま周囲との関係に悩み、さまざまな人々との出会いを通して自分を見つめなおしていく姿を描き出す。25歳の深山はるかは、恋人との結婚を夢見ながら、仕事やボランティアに奔走する日々を過ごしていた。ある日、同窓会で再会した友人が不妊治療中であることを知りショックを受けた彼女は、勧められるまま婦人科を受診する。男性ホルモンが多いと診断されるも対症療法的にやり過ごしてしまった彼女は、不調を抱えながら迎えた大切な日に、大量の出血に見舞われる。これまで持ち前の行動力で他者のために奔走してきたが、自身の悩みは誰にも共有することができない。そんな折、はるかは薬局で万引きを疑われている中学生の優佳里と出会う。
本作では、26歳で難治性不妊症と診断された経験を持つ気象キャスターの千種ゆり子さんが企画・プロデュースを務め、『愛のくだらない』の野本梢さんが監督・脚本を手がけた。『溶ける』の道田里羽さんが主人公のはるか、『ジオラマボーイ・パノラマガール』の滝澤エリカさんが中学生の優佳里を演じている。

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映画『藍反射』は、3月6日(金)より全国の劇場で公開。関西では、4月3日(金)より大阪・梅田のテアトル梅田で公開。また、神戸・元町の元町映画館でも近日公開。
主人公はるかは、親友から不妊治療中であると伝えられ狼狽える。自身も生理が来ないことが心配になり行った産婦人科で多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と診断された。同棲している彼氏との将来を真剣に考え始めた最中、子供が出来ない体かもしれないという現実を突きつけられたのである。卵子凍結を試みようとするが、医療費は高額で、毎日決まった時間に自身で注射をしたりしなければならず疲弊していく。その一方、中学生の優佳⾥は生理が来ないことから妊娠の二文字が頭をよぎる。
「生理が来ない」という現象は、あらゆる角度で女性を恐怖へと陥りさせてしまう。その時こそ理解を示してほしいのに、劇中の男性は当事者意識に欠けた態度で向き合おうとしない。社会は、子どもを持つことが女性の最大の幸せであると推奨してくる。それなのに、私たちは、その根幹である妊娠、出産、それに付随する月経などに関する身体的なメカニズムについて驚くほど無知なまま大人になる。女性は物心ついた頃から痛みに耐え、「タイムリミット」に怯えてしまう。よく分からないのに、確実に身体が変化するのは本当に怖い。
観ていて胸が苦しくなるほど詳細でリアルに治療の日々が描かれるが、主人公を演じる道田里羽さんは、全身から発せられるポジティブな空気感とチャーミングな表情で物語を牽引していく。女性の体についての映画だが、安易な「女性同士の団結」や「劇的な救済」は描かれない。登場する彼女達はお互いを対岸で見守り、手を振り合う。自分の体のことすら満足に理解できないのに、ましてや他人の苦痛など分かち合えるわけがない。けれど、それでも静かに相手を見ている事、見守っていると伝える事は出来るはず。分からないまま、それでも他者の痛みに寄り添いたいと思わせてもらえた一作。
fromマスダ
大抵のことは何とかなる!と思っている主人公は、友達のためならと学生時代から内定先の企業に企画提案を行い、実現させる。お金がなくても努力で大学の特待生になったり、就活も自分の望む通りの道に進めていそう。親しみやすいし、明るいし、本当に何とかしてきた。そんな彼女でも、生殖にかかわる体の不調においては関わることを躊躇うし、自分のことでさえなかなか相談できずにいる。
食生活やライフスタイルの変化、ストレスフルな社会では、発症する人も増えているのだろう。10代からの経験値で「まぁ、これくらいあるよな」と思ってしまったり、当たり前に備わっている機能だと思ってしまうからこそ、ある種正常性バイアスが邪魔をしてしまうのかもしれない。
異変を相談するのは誰しも怖さを抱えるものだと思うが、そもそも誰もが結婚して子供!な世の中ではないので、相談にしたって気を遣う。産む意思がない人、授かりにくい人、年齢の高低…。センシティブ度合いだけが上がっていく。しかし、病気の進行は止まらない。映画を通してみんな形は違えど悩んでいるんだと思えれば、相談しても良いんだという空気を醸成できるはず。少なくとも、病院に行くことへの不安は解消できるだろう。
AIの急速な発展も伴い、情報がより複雑になっている現代では、会話がもっと重要視されても良いと思っている。自分で情報を取捨選択するのは難しい。気軽に相談のようなものができるAIと会話をする前に、病院へ駆け込もう。患者を思い、研鑽を積んだお医者さんがそこにはいる。その人の話を聞くことが最適解である世の中でありますように。
fromブライトマン
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
- 最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

















