大切な人を守る度に”自分を犠牲にしてでも…”と思える感情が湧くことがある…『By 6 am 夜が明ける前に』武田梨奈さんと丸本凛さんと向井宗敏監督を迎え公開記念舞台挨拶開催!

娘と平穏な生活を送る元SAT隊員の主婦が、後輩からの頼みで、夫と娘が就寝中に捜査に乗り出す『By 6 am 夜が明ける前に』が10月3日(金)より全国の劇場で公開中。10月5日(日)には、大阪・難波のTOHOシネマズなんばに武田梨奈さんと丸本凛さんと向井宗敏監督を迎え、公開記念舞台挨拶が開催された。
映画『By 6 am 夜が明ける前に』は、『ハイキック・ガール!』『デッド寿司』等のアクション俳優である武田梨奈さんが主演を務め、元特殊急襲部隊隊員の主婦が犯罪組織と壮絶な戦いを繰り広げる姿を活写したクライムアクション。かつて特殊急襲部隊(SAT)の一員として数々の任務を遂行してきた長瀬綾は、ある理由から退職し、現在は6歳の娘と夫と3人で幸せに暮らしていた。そんなある日、刑事時代の後輩である松岡咲良から、失踪した弟の隼人を捜す手伝いをしてほしいと頼まれ、娘と夫が眠っている深夜から朝6時までの間だけ協力することを決める。隼人の家を訪れた綾と咲良は、彼が何らかの事件に巻き込まれている痕跡を発見し、犯罪組織との激しい戦いに身を投じていく。『ブルーを笑えるその日まで』の丸本凛さんが咲良役、Netflixドラマ「地面師たち」の駿河太郎さんが半グレ組織のリーダー役を演じ、萩原聖人さん、加藤雅也さん、辻千恵さん、平埜生成さん、六平直政さんが共演。『風のたより』『夏の夜空と秋の夕日と冬の朝と春の風』の向井宗敏監督がメガホンをとり、GENERATIONS from EXILE TRIBEの片寄涼太さんが主題歌を担当した。
今回、上映後に武田梨奈さんと丸本凛さんと向井宗敏監督が登壇。8月末に第21回大阪アジアン映画祭での登壇で来阪していた武田さんは、プライベートでも大阪に来ており、今回の登壇も喜んでいる。大阪出身の向井監督は「僕は学生時代に勉学を一生懸命頑張っていた街。真面目に暮らしていた街なので、そこで舞台挨拶はすごく嬉しいですね」と感慨深げだ。
アクションシーンに見応えがある本作。武田さんは「どの作品のアクションシーンも大変な部分は沢山あると思うんですけど…」と前置きしながら、今作について「観ていただいた通り、本当に人の顔にしっかりと拳をぶつけて、パンチを当てる、という難易度が高く、ギリギリな危険度を攻めたアクションだったので。本当に皆さんを信頼し、信頼してもらい、ここまでだったらお互いに当てられるんじゃないか、と調整しながら挑みました」と振り返る。丸本さんは「アクションをやる上で、アクションコンテ動画を作られていたんです。練習を重ねているんですけど、本番は本当にリアル。作られたものじゃなく、本当に今行われているんだ!という程のリアルなアクション。本当にすごいな」と驚愕。向井監督も、武田さんについて「様々なアクションをやられてることもあるんですけど、格闘技もやっているので、人を殴ったことがあったり、人を本気で蹴ったりしたことがある人は、簡単にできるんだな」と驚いていた。なお、事前に「よくある感じの綺麗なアクションは要らない」と伝えていたようで「この世界観なので、”主婦”という力が弱い立場で人に対峙する場合、綺麗なアクションより、先手必勝で倒しに行くぞ、というアクションをしてもらいたかった。最初にアクション監督からもらったコンテはかなり綺麗な蹴りがあったんです。それは全部排除してもらい、とにかく相手を倒すことだけを目的に暴力を振るうようにしてもらった」と真意を説く。これを受け、クランクインした武田さんは「初日が娘と旦那さんとのシーンだったので、あの幸せな光景を常に頭に焼き付けて、2人の笑顔を絶対に守り抜くぞ!そして、後輩の咲良の家族を守りたい!という気持ちだけで、1つ1つのパンチを相手にぶつけよう」と意気込んでいた。
アクションシーンでは、グリーンバックを用いた撮影を行っており、向井監督は「バーチャルスタジオと呼ばれるグリーンだけのスタジオがあります。スタジオの中で、ココからココは壁がある、と想定して作っており、その中で撮影をしていく」と解説。丸本さんは、以前、グリーンバックを用いたCM撮影の経験はあったが、映画やドラマで全面的に用いた撮影は経験したことがなかった。武田さんも「背景はXRを用いたCGなので、私達は緑の中で、あそこに何があり、ここに何が見えるか、を互いに認識をしっかりと固めてお芝居しないといけない。今回は挑戦でした」と思い返す。
ベテラン俳優の方々との共演でもある本作。加藤雅也さんが自身の上司であった丸本さんは「休憩時間は、共通の趣味であるカメラのお話をしたり、梨奈さんもカメラを撮っていらっしゃったりするので、3人でお話したりもしていました」と明かし「本当にすごく優しいお方です」と絶賛。そんな風に話す丸本さんを見ながら、武田さんは「凛ちゃんは凄く優しい子で、心がピュアな方なので、人を殴りに行っても、優しさが出ちゃうんですね。人を殴ったことがない、ということで、人を殴るイメージだけは伝えました」と微笑ましいエピソードを伝えていく。そして、アクション監督の遊木康剛さんから教わったこととして「目の前に、ホントに憎い人がいる。この人がいるから、自分の大切な人を守れないんだ…というイマジネーションをして、思いっきり殴ってほしい」というアドバイスを紹介。これを受け、丸本さんは「アクションの練習がホントに大変。悔しい思いもして…憎い人を思い浮かべ、というのは難しいです」と本音を吐露せざるを得なかった。そんな2人のアクションを観て、向井監督は、丸本さんついて「すごく頑張り、なんとかこちらの要望に応えようと一生懸命になってくれていた」とフォローし、武田さんについて「リクエストを1つ1つ理解をしてくれて、すぐに対応してくれたので、すごくやりやすかったですね」と太鼓判を押す。元々、武田さんは、萩原聖人と別作品で共演しており、共通の知り合いとして向井監督がおり、偶々3人で食事をする機会があり、向井監督から「主婦が戦う映画を撮りたいんだよね」と聞き「3人で出来たら良いですね」と応えたことが発端のようだ。向井監督としては、当初は短編作品の予定だったが、バーチャルスタジオを運営する株式会社アエックスの社長に相談してからしばらく経った後に、お互いに長編作品への意向があり、企画が成立していった経緯がある。
初めて台本を読んだ時、武田さんは「戦うお母さんが朝6時までに家に帰らなきゃいけない、というテーマはずっと伺っていたので、なんておもしろいテーマなんだろう、と。母の裏の顔を描くエンタメ要素のある作品は私も興味があった」と思い返していく。丸本さんは、演じた咲良について「自分の年齢より4~5歳上の設定、かつ警察役。アクションも私にとっては初挑戦だったので、本当に自分ができるかな、という不安が大きかった」と打ち明ける。とはいえ、武田さんは「当時は未成年、19歳だったんです。大人達に囲まれて、食らいついてきてくれたので、私もすごく…」とフォローしていく。
本作を製作し、向井監督は「今回、70%以上がグリーンパックでの撮影なので、公園のシーンにしてもアパートのシーンにしても、分からない程に作っているので、車が止まっているシーンは実際に撮影しているんですけど、車の後ろに映っているアジトは何もないところに建っている。暗がりで歩いているのもグリーンバックでの撮影だった。日常の風景の中の撮影で一度試したかった。これからの撮影の手法が広がったな」と実感している。武田さんは「私はまだ母親の経験はないんです。守りたい者がいる人は強い、と綾も言っているんですけど…」と前置きしながら「年齢を重ねて、私も、家族、友人、周りにいる大切な人を守る度に、自分を犠牲にしてでも、と思えるような感情が30代になってきてから湧くことがあるので、この年齢でこの役をやらせていただけたことがありがたいなぁ」と感謝していた。丸本さんは「クランクインから出会った皆さん、舞台挨拶で各地域に回って出会える皆さん、本当にすごく幸せなことだな、と思います」と身に沁みている。
最後に、武田さんは「私達、普段は東京にいて、SNS等で映画やります、と告知した時、どれだけのお客さんが来てくれるんだろう、と不安な気持ちもあったんです。こうやって皆さんが観に来てくれて、映画届いたな、と思って嬉しいです」と安堵しながらも「まだまだこの映画を沢山広めて、沢山の方に少しでもこの映画を観て、家族っていいな、とか、アクションを観てスッキリしたな、とか少しでも何か心に残れば嬉しいな」と思いを込め、舞台挨拶を締め括った。
映画『By 6 am 夜が明ける前に』は、10月3日(金)より全国の劇場で公開中。関西では、大阪・梅田の大阪ステーションシティシネマや難波のTOHOシネマズなんば、京都・二条のTOHOシネマズ二条、神戸・三宮のOSシネマズミント神戸等で公開。

- キネ坊主
- 映画ライター
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- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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