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有害な男性性の継承を描く『サターン・ボウリング』がいよいよ劇場公開!

2025年9月30日

©Ex Nihilo – Les Films du fleuve – 2021

 

異母兄から亡き父のボウリング場を委ねられた弟が、父への恨みから揉め事を起こしている最中に、殺人事件が発生する『サターン・ボウリング』が10月4日(土)より全国の劇場で公開される。

 

映画『サターン・ボウリング』は、父の遺産としてボウリング場を継いだ異母兄弟の周囲で連続殺人事件が起こる様を通して、現代社会に潜む悪を浮き彫りにするネオノワール。街をさまよい歩き、時々働くクラブ「ル・カルゴ」の外にある他人の車で寝泊まりする生活を送っているアルマン。ある日、異母兄弟で警察官のギヨームがハンターだった父親の死を告げに現れる。ギヨームは父親と疎遠になっていた弟と和解するため、アルマンに父が遺したボウリング場「サターン・ボウリング」を経営するチャンスを与える。ボウリング場を継いだアルマンは父の仲間たちに対して出入りを控えるように要求するなど、問題を起こす。一方、ハンターたちは、動物愛護活動家のスアンにメディアで挑発されて暴力事件を起こしかけるが、ギヨームによって制止される。ギヨームは偶然出会ったスアンと愛を育む中、地元の墓地から複数の若い女性の死体が発見され、連続殺人事件が起こっていることが明らかになるが…

 

本作は、アニエス・バルダの『冬の旅』の編集を担当し、『走り来る男』等の映画でメガホンもとるパトリシア・マズィの長編監督第5作。撮影を『落下の解剖学』のシモン・ボーフィスが担当。アリエ・ワルトアルテ、アシル・レジアニ、Y・ラン・ルーカス、レイラ・ミューズらが出演している。

 

©Ex Nihilo – Les Films du fleuve – 2021

 

映画『サターン・ボウリング』は、10月4日(土)より全国の劇場で公開。関西では、10月4日(土)より京都・烏丸の京都シネマ、10月15日(水)より京都・舞鶴のCine Grullaで公開。

他人の車で寝泊まりする、とった生活を送っている弟と、警察官の兄による異母兄弟の周囲で連続殺人事件が起こる有様を通して描いていくネオノワールである本作。本作を観ていくと、効果的に弟と兄の視点で切り替えていくノワールとして描いていく様子は秀逸である。だが、時として強烈過ぎる事件を見せつけられてしまい、目も当てられない状況を見せられるのは辛過ぎる。本作は、R18+指定であるため、観る方は覚悟しておくことをお伝えしておきたい。だが、そんな強烈な次元の中に、登場人物の心の中に潜んでいる”有害な男性性”を描こうとしているのだから、パトリシア・マズィ監督の才能には注目しておくべきだ。その”有害な男性性”がどのように継承されてきたか、本作の中には明確には描かれていないが、周囲の人物にも潜んでいることは明らかであり、集団によってなされる業の深さにはいかんともし難い感情を抱かずにはいられない。1人の人物に起因してもたらされた集団心理であるか定かではないが、その集団に混じってみるか、周囲から虎視眈々と見つめるだけにしておくか。取り込まれてしまったら抜け出すことが出来ないものを端的に描いているようだ。本作を観終えた時にどのような感情を抱くことになるか、明確に言葉にしておくことが大事でもある作品であった。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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