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大人の世界をのぞき、人々の心の痛みに触れていく少女のひと夏を描く『ルノワール』がいよいよ劇場公開!

2025年6月17日

©2025『RENOIR』製作委員会 / International Partners

 

1980年代後半の夏を舞台に、闘病生活を送る父、仕事に追われる母と暮らすマイペースな少女が、事情を抱えた大人たちと、豊かな想像力を通して触れ合う様を描く『ルノワール』が6月20日(金)より全国の劇場で公開される。

 

映画『ルノワール』は、日本がバブル経済のただ中にあった1980年代後半の夏を舞台に、闘病中の父と、仕事に追われる母と暮らす11歳の少女フキの物語。マイペースで想像力豊かなフキが空想にふけりながらも、周囲の大人たちの人生に触れていく様子を通して、人生のままならなさや人間関係の哀感を温かなまなざしとユーモアをもって描く。1980年代後半、11歳の少女フキは、両親と3人で郊外の家に暮らしている。ときに大人たちを戸惑わせるほどの豊かな感受性を持つ彼女は、得意の想像力を膨らませながら、自由気ままに過ごしていた。そんなフキにとって、ときどき覗き見る大人の世界は、複雑な感情が絡み合い、どこか滑稽で刺激的だった。しかし、闘病中の父と、仕事に追われる母の間にはいつしか大きな溝が生まれていき、フキの日常も否応なしに揺らいでいく。

 

本作は、長編初監督作『PLAN 75』が第75回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門でカメラドール(新人監督賞)の次点に選ばれるなど、国内外で高い評価を得た早川千絵監督の長編監督第2作。フキ役はオーディションで選出され、撮影時は役柄同様に11歳だった鈴木唯さん。フキの母である詩子を石田ひかりさん、父の圭司をリリー・フランキーさんが演じるほか、中島歩さん、河合優実さん、坂東龍汰さんらが顔をそろえた。2025年の第78回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品され、早川監督にとってデビューから2作連続でのカンヌ映画祭出品となった。

 

©2025『RENOIR』製作委員会 / International Partners

 

映画『ルノワール』は、6月20日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のや大阪ステーションシティシネマや難波のなんばパークスシネマ、京都・三条のMOVIX京都や烏丸御池のアップリンク京都、神戸・三宮のkino cinema 神戸国際等で公開。

インディペンデント作品の頃から、生きることや死ぬことについて、様々な視点から見つめた作品を手掛けてきた早川千絵監督。最新作においては、11歳の少女からの視点を以て、生きることや死ぬことを感じながら、移ろいやすい人間の在り方を描いている。とはいえ、移ろいやすい人間は、心が不安定でもあるわけで、本作に登場する人間を見ていると、子どもであれど大人であれど、危うさを感じずにはいられなかった。一体どんな人間なんだろう、この人物は?と思っていたら、道徳的にも危険な判断や行動をしており、不安が募ってしまう。だが、一線を超えるか超えないかの狭間に立っている中で、ギリギリ踏ん張っているようにも感じられた。いや、超えてしまっている登場人物も存在していたか。そういった人間が周囲にいる中で、この11歳の少女は、11歳なりに自らの頭で考えて行動し、健気にこの世界を生きているように感じられた。そんな或る1980年代後半のひと夏での出来事を丁寧に美しく描いているのが本作である。長編監督第2作にして、このような作品を手掛けたならば、次作ではどのような物語が描かれるのか、今から楽しみで仕方がない限りだ。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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