日露戦争の真只中に中国から東京に留学してきた芸術家青年の人生を揺るがしていく『1905年の冬 <デジタルリマスター版>』が第19回大阪アジアン映画祭の特集企画 台湾:電影ルネッサンス2024で日本初上映!
日露戦争の真只中であり、辛亥革命間近の頃に中国から東京に留学してきた芸術家青年が様々な人々に出会い人生が揺らいでいく姿を描く『1905年の冬 <デジタルリマスター版>』が第19回大阪アジアン映画祭の特集企画 台湾:電影ルネッサンス2024で日本初上映された。
映画『1905年の冬 <デジタルリマスター版>』…
日露戦争の時代に、西洋絵画と音楽を学ぶために日本を訪れ、帰国後、中国の美術界に影響を与えた若き知識人、李叔同(弘一)を描いた歴史ドラマ。エドワード・ヤンの記念すべき映画界入り初仕事作品(脚本、出演)。ツイ・ハーク出演。監督は、エドワード・ヤン作品のプロデューサーである余為彦の兄にあたる余為政。
映画『1905年の冬 <デジタルリマスター版>』は、3月10日(日)21:20よりT・ジョイ梅田 でも上映。
日露戦争の真只中であり、中華民国が出来上がることになる辛亥革命が起こるまで5~6年という緊迫感ある時期に日本に留学することが出来たんだな、と感心する次第。とはいえ、留学生同士が各々の意見や思想を持ちながら、革命を起こすべく議論を交わしていくので、いつの時代も変わらぬ空気があるんだな、と思わされる。とはいえ、同世代の学生と共に励んでいく時間以外では、お世話になった日本人との交流が大きな意味を成していく。住ませてもらった住処の夫人には良くしてもらいながらも、抱える思いは十分に伝わってくる。外に目を向ければ、大人の社交場で女性と関わっていく。自国から外に出てみれば、様々な価値観にふれ、その後の人生に関わる面では大きく揺らいでいく。これらの物語を製作する上で、2/3は日本で撮られているようで、台湾映画ニューウェーブの先駆けとなっていくような作品に日本が関わっていることは興味深い。台湾で長く続いた戒厳令下において日本がどれだけ重要であったか改めて実感させられる貴重な作品であった。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
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