ニートの日常がゆっくりと変化していく『ローリング・ガール』がいよいよ劇場公開!
©2022. KWAK Min-seung. All rights reserved.
新型コロナウイルスが全世界で蔓延する中、家にひきこもっていたニートの女性が、祖母を看病する母の代わりにキンパ店を店番する中で、常連たちとの交流を通し成長していく『ローリング・ガール』が2月2日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『ローリング・ガール』は、コロナ禍の韓国を舞台に、母親の経営する店で働くことになったニートの女性が、店を訪れる人々との交流を通じて人生を好転させていく様を描いたドラマ。世界中で新型コロナウイルスが蔓延するなか、25歳でニートのジュリは、人との交流を避けて家に引きこもっていた。母親のヨンシムは厳しい状況のなか、キンパ(韓国の海苔巻き)の店を経営している。ある日、病気の祖母の看病のためヨンシムが店を離れることとなり、ジュリが店番をすることに。店を起点にさまざまな人との交流が生まれ、日常が大きく変化するジュリ。店番の日々を通して、次第に彼女自身も変化していく。
本作では、主人公ジュリを演じるのは、『ペルソナ 仮面の下の素顔』『賢い医師生活』『ムービング』等の話題作に多数出演するシム・ダルギ。チョン・ウンギョン、ウ・ヒョウォンらが共演。クァク・ミンスンが監督を務めた。
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映画『ローリング・ガール』は、2月2日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・心斎橋のシネマート心斎橋で公開。また、京都・烏丸の京都シネマや神戸・新開地のCinema KOBEでも順次公開予定。
観終わると、キンパが食べたくなる。食べ物がフィーチャーされている作品あるあるの現象だけど、今回は食べたくなるだけでなく、自分でキンパを巻いてみたくもなる。そういえば、タイトルの『ローリング・ガール』はキンパを巻く(roll)から、の意味以外にも何かニュアンスが込められているのだろうか?「roll」といえば、「どうしたら良いのかわからないけど、とりあえず進んでいく」という意味の「Roll with it」が思い浮かぶ。ちなみに、「キムパ」は「キム(海苔)」と「パプ(ご飯)」を合わせた言葉、つまり「海苔巻きご飯」の意味である。劇中では、キンパが韓国の町のファーストフードなんだな、と親しみ深く描かれていた。主人公が働くお店には、常連のおばちゃん、たまたま通りがかった学生、わけあり?の少年など様々な客が訪れる。お店の壁に掲げられたメニューによる、価格は3,000ウォン~(日本円では、ざっくり300円~程度)。ハンバーガー1個分と同じくらいの価格帯であるキンパはとても身近な食べ物だ。
主人公のジュリは登場シーンから仏頂面。その後もほぼノーメイクでムスっとしている表情が多い。態度もどことなくダルそうで、人生あまり楽しくないのかな…という第一印象だ。しかし、キンパが美味しく出来て思わずニンマリする表情や、後半のとある場面での仕草などは、それまでのギャップも相まって可愛らしい。とある事情で朝から大量のキンパを作ることになった日の「その行動」には、思わず「わかる~」と共感でニヤニヤしてしまった。80分程度とコンパクトで鑑賞しやすく、ほのぼのとした本作も韓国映画の魅力だ。この数年のコロナ禍の閉塞感を捉え、「今の雰囲気」をリアルに表現しているしっかりとした作品で、とても印象良く感じた。
fromNZ2.0@エヌゼット
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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