原子力会社の機密暴いた女性の実話を描く『私はモーリーン・カーニー 正義を殺すのは誰?』がいよいよ劇場公開!
©2022 le Bureau Films-Heimatfilm GmbH + CO KG-France 2 Cinema
実話を基に、労働者の雇用と安全を守るために国家的なスキャンダルに巻きこまれていく女性の姿を描く『私はモーリーン・カーニー 正義を殺すのは誰?』が10月20日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『私はモーリーン・カーニー 正義を殺すのは誰?』は、フランスの原子力会社の労働組合代表が国家的スキャンダルに巻き込まれていく姿を、実話を基に描いた社会派サスペンス。世界最大の原子力企業アレバ社のフランス民主労働組合代表を務めるモーリーン・カーニーは、中国とのハイリスクな極秘取引を知り、会社の未来と従業員の雇用を守るため内部告発をする。やがてモーリーンは自宅で襲われるが、権力側は彼女の自作自演だと自白を強要。モーリーンは屈することなく、政府の閣僚や企業のトップを相手に捨て身の覚悟で立ち向かっていく。
本作では、イザベル・ユペールが主演を務め、『デリシュ!』のグレゴリー・ガドゥボワ、『ヒトラー 最期の12日間』のアレクサンドラ・マリア・ララが共演。『ルーヴルの怪人』のジャン=ポール・サロメがメガホンをとり、サロメ監督と『ローズメイカー 奇跡のバラ』のファデット・ドゥルアールが共同で脚本を担当した。
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映画『私はモーリーン・カーニー 正義を殺すのは誰?』は、10月20日(金)より全国の劇場で公開。関西では、10月20日(金)より大阪・梅田のシネ・リーブル梅田、10月27日(金)より京都・烏丸の京都シネマ、11月3日(金・祝)より神戸・三宮のシネ・リーブル神戸で公開。
官民一体となったフランスの原子力会社と聞くと、どれだけ強大な権力を持った会社であろうか、と今なら十分に理解できる。とはいえ、東日本大震災による福島第一原子力発電所事故によって、原発に対する考え方は一変し、フランスでも、未来への不安があったようだ。となると、諸外国への売却も検討するようで…そこで、売却先がハイリスクな中国であるならば、労働組合の書記長である本作の主人公、モーリーン・カーニーは、従業員皆を守るために行動していくのは当たり前だ。本作冒頭では、社長と書記長が対等な関係であることが示されたのは驚かされる。だが、国の意向が含まれていそうな社長交代によって国を揺らがしかねない事態が起こっていく。国の意向に反する動きを起こそうとする者がいるならば、あらゆる危険な手段を使ってでも潰そうとしていた。事件の被害者になったとしても、被疑者として扱うような人間まで現れてしまい、憤りしか感じ得ない。だが、その中でも僅かな希望の光があることは信じてやまない彼女の強さが伝わってきた。近年の作品とは違ったイメージを感じさせるイザベル・ユペールによる強い女性の姿をしっかりと目に焼き付けてほしい。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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