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ある出来事をきっかけに夫や周囲の人々、そして自分自身とゆっくりと向き合っていく1人の女性を描く『ほつれる』がいよいよ劇場公開!

2023年9月5日

©2023「ほつれる」製作委員会&COMME DES CINEMAS

 

平穏だった日常が狂い始め、妻が自分自身の過去と向き合っていく『ほつれる』が9月8日(金)より全国の劇場で公開される。

 

映画『ほつれる』は、ひとりの女性がある出来事をきっかけに周囲の人々や自分自身と向きあっていく姿を描く。夫である文則との関係がすっかり冷え切っている綿子は、友人の紹介で知りあった男性である木村と頻繁に会うようになる。ある日、綿子と木村の関係を揺るがす決定的な出来事が起こり、日常の歯車は徐々に狂い出していく。

 

本作は、演劇界で注目を集める演出家・劇作家の加藤拓也さんが、映画監督デビュー作『わたし達はおとな』に続いてオリジナル脚本で撮りあげた長編第2作。『あのこは貴族』『愛の渦』の門脇麦さんを主演に迎え、夫・である文則を『すばらしき世界』の田村健太郎さん、木村を染谷将太さん、綿子の親友である英梨を黒木華さんがそれぞれ演じた。

 

©2023「ほつれる」製作委員会&COMME DES CINEMAS

 

映画『ほつれる』は、9月8日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のシネ・リーブル梅田や難波のなんばパークスシネマ、京都・三条のMOVIX京都、神戸・三宮のシネ・リーブル神戸等で公開。

なんて濃密な映画なのだろうか。壊れかけの夫婦生活とすべてを忘れさせてくれる不倫相手の死の間で揺れる女性の肖像から、深く誰かと関わることの難しさや複雑さが見えてくる。『ほつれる』という作品がもたらす整理できない感情や悶々とした心情は、見た後もずっと尾を引いてしまう。

 

綿子は不倫をしていた。夫である文則との関係はギクシャクしていて、冷め切っている。一方で、不倫相手の木村と過ごすひと時は、張り詰めた空気から解放されるかけがえのない時間だった。しかし、木村は交通事故に遭い、綿子の目の前で亡くなってしまう。やり場のない気持ちを抱えたまま綿子は日常に戻っていくのだが、少しずつ彼女の感情はかき乱され、目の前にある事実を直視せざるを得なくなっていく。

 

今作で描かれるもどかしいジレンマは、誰もが多かれ少なかれ人間関係において感じたことのあるものだろう。お互いに傷つけたくないし、自分も疲れたくないから、無意識のうちに人間関係で生じる面倒くさいことを避けたり、見ないフリをしたりする。しかし、相手の内面を知り、人生に深く関われば関わるほど、相容れない部分が見えてきてしまう。そして、一度絡まった人間関係は元に戻そうとしてもなかなかほどけず、あらゆる意味で収拾のつかない事態に陥る。今作の登場人物たちの行動や言動を見ていると、自分の中にある引け目みたいなものが疼いてしまう。自分もどこかで、他者との関わりで生じる面倒な部分を避けて、他人事のように振る舞っているのではないかと…。

 

ほつれてぐちゃぐちゃになった人間関係を巡る濃密な対話の時間は、きっと観客の心をざわめかせるだろう。そして、ほつれた先に待っている景色とは?ぜひ映画館でじっくり堪能していただきたい。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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