マンションで発見された身元不明の死体をめぐる住民の騒動を描いたブラックコメディ『四十四にして死屍死す』が第18回大阪アジアン映画祭のスペシャル・オープニング作品として世界初上映!
©2023 One Cool Film Production Limited, 852 Films Limited, Icon Group Limited, the Government of the Hong Kong Special Administrative Region All Rights Reserved.
ある晩、あるマンションで発見された身元不明の死体をめぐる住民の騒動を描いたブラックコメディ『四十四にして死屍死す』が第18回大阪アジアン映画祭のスペシャル・オープニング作品として世界初上映された。
映画『四十四にして死屍死す』…
義母の住む高層マンションで、妻と娘、義兄と暮らすミンは、ある夜、玄関先で裸の男性の死体を発見し、家族と大騒動に。自分たちの部屋が“事故物件”となり、資産価値が暴落することを恐れ、義母の号令のもと死体を隣人の玄関先に移す。やがて同じ階に住む、余生を静かに過ごす老夫妻、禁止された犬を飼う女性とそのメイド、怒りっぽい父親と気難しい息子が、次々とこの騒動に巻き込まれていく。熱血警備員と監視カメラの目をかいくぐり、彼らは死体を運び出すことができるのか。そして死体はどこからやってきたのか?マンションを舞台に繰り広げられる一夜のブラックコメディは、風評被害がもたらす恐怖から無責任行動に突き進む家族の悲喜こもごもを映し出し、死体騒動を通して今を生きる香港人の姿を描いている。
本作を手掛けたのは、現代のシリアスな問題を軽やかなコメディに昇華させた新鋭であるホー・チェクティン監督。長編初監督作となる前作『正義迴廊(原題)』が香港電影金像奨(4月16日最終結果発表予定)で作品賞、監督賞、新人監督賞など最多部門でノミネート。興行成績を次々と塗り替える大ヒットとなっている。個性豊かな登場人物に命を吹き込むのは、本映画祭での上映作品『香港ファミリー』や昨年上映の『ママの出来事』に出演のテレサ・モー、『全力スマッシュ』、『エリサの日』のロナルド・チェン、『ミッドナイト・アフター』、『王家欣 ウォン・カーヤン』のウォン・ヤウナム、『僻地へと向かう』のジェニファー・ユー、人気グループMIRRORのメンバーで『香港ファミリー』にも出演のイーダン・ルイ、同じくMORRORメンバーで『ママの出来事』に出演のジャー・ラウ、『エリサの日』、『G殺』のハンナ・チャン(陳漢娜)、そして『正義迴廊(原題)』で金像奨主演男優賞にノミネートのヨン・ワイルン等ベテランから若手まで近年の香港映画界を彩る俳優陣が勢揃いした。脚本は『ミッドナイト・アフター』のコン・ホーヤン(江皓昕)が手がけている。
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映画『四十四にして死屍死す』は、3月19日(日)18:30より梅田ブルク7でも上映。
決して広すぎることはない高層マンションのとある部屋の玄関先で死体を発見。通常なら通報することになるだろうが、住んでいる部屋が“事故物件”となり、資産価値が暴落するといった先々のことを考えるならば、如何にしてなかったことにすべきかを考える…これは、どこの国でも同じように考えることだろうか。熱血警備員と監視カメラがしっかりとある中で外に持ち出すことはどれだけ大変なことであるか容易に想像できる。映画にするならハチャメチャな騒動になっていくブラックコメディが出来上がりますよね。これだけでもおもしろい作品が出来上がりそうなのに、まさに現代の香港に存在している情勢を様々に盛り込んでおり、或る種の社会派作品としても成立していることが興味深い。世の中に対してデモを起こしていくようなことにならなくとも、日々生きている中で抱えてしまう不満を作中でしっかりと発散していこうとする姿勢もユニークだ。近年の大阪アジアン映画祭で上映される香港映画で観る俳優達が若手監督に対してアドリブや即興含め活き活きと演じているのも好感が持てる。なんだかんだあっても、最後まで観終えると、良かったねぇ、と感じられる悲喜交々な一作だ。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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