人間の本性は“卑猥”、セックスビデオ流出した名門校教師の姿を描く『アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ 監督(自己検閲)版』が関西の劇場でもいよいよ公開!
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夫との夜の営みを写したビデオがネットで拡散された教師が、事情説明に向かう道中を描く『アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ 監督(自己検閲)版』が4月29日(金)より関西の劇場でも公開される。
映画『アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ 監督(自己検閲)版』…
コロナ禍のブカレストの街をさまよい歩く女性エミ。名門校の教師である彼女は夫とのプライベートセックスビデオをネット上で拡散されてしまい、夜に開かれる緊急保護者会を前に、事情説明のため校長宅へ向かっていた。彼女の不安といらだちは街の人々が抱える怒りや絶望と重なりあい、猥雑で怒りをはらんだ空気が徐々に膨れ上がっていく。
本作は、ルーマニアの鬼才ラドゥ・ジューデ監督が、世界的パンデミックとその後の社会の閉塞感を背景に、人間の「性」をアイロニーに満ちたまなざしで描き、2021年の第71回ベルリン国際映画祭で金熊賞に輝いた作品。日本では「イメージフォーラム・フェスティバル 2021」で特別上映された後、ジューデ監督自ら追加編集を施した「監督〈自己検閲〉版」を劇場公開。「監督〈自己検閲〉版」はぼかしやカットの追加のみならず、ジューデ監督によるアイロニカルでユーモアあふれるメッセージが本編の所々に映し出される。
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映画『アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ 監督(自己検閲)版』は、関西では、4月29日(金)より大阪・梅田のシネ・リーブル梅田や京都・烏丸御池のアップリンク京都で公開。
監督の自己検閲版というだけあって、控えめの演出なのかと想像していたが、自己検閲版の本作であっても、監督のユニークさが反映されているのがおもしろい。三部構成のうち、第二章にある”簡易辞典”の手法といった斬新さは、映画の常識すらも打ち破る。目新しさだけでなく、映画を観る前の予習すら必要とさせない監督の自由な映画作りには、「映画」というジャンルへの愛を感じる。第三章の、保護者VS教師という枠組みを超えた人間同士による本性の晒し合いは、鑑賞している側でも目を背けたくなるほど。保護者達の詭弁の数々を世間の声とするなら、教師側の声は監督の意見とでも言うべきだろうか。一触即発なテーマを扱いながらも、エンディングを3パターンに分けており、コメディと皮肉のバランスが絶妙なので、観ていて不快感がない。まさに常人の域を超えた業である。
fromねむひら
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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